2024.09.25
【専門家監修】脆弱性診断の対象サイトの特徴から診断のやり方まで解説
2023年、大手ゲームソフトウェアメーカーがランサムウェア攻撃を受け、最大39万件の個人情報が流出し、業務が一時停止する事態となりました。そして2024年、今度は大手システム開発企業で150万件を超える個人情報漏えい事件が発生。これらの出来事は、サイバー攻撃の脅威が急速に拡大し、企業の規模を問わず誰もが標的になり得ることを如実に物語っています。 日本サイバーセキュリティ協会(JCSA)の最新レポートによると、2023年のWebアプリケーションに対する攻撃は前年比35%増。特に目を引くのは、AIを悪用した新種の攻撃の急増です。この数字は、多くの企業がこの新たな脅威に対して十分な備えができていない現状を浮き彫りにしています。 こうした最新の脅威を含む潜在的なリスクを事前に発見し、適切な対策を講じるために不可欠なのが脆弱性診断です。 この記事では、脆弱性診断の基本から実践的な内容まで、分かりやすく解説していきます。特に注意が必要なサイトの特徴や、効果的な診断手法、さらには自社のセキュリティ状況をチェックする方法まで、幅広くカバーしていきますので、ぜひ最後までご覧ください。 要注意!脆弱性診断を実施すべきサイトの4つの特徴 脆弱性診断は多くのウェブサイトにとって欠かせませんが、ある特徴を持つサイトではより綿密な対応が求められます。 個人情報や決済情報を取り扱うサイトやアプリ ECサイトやオンラインバンキングなど、センシティブな情報を扱うサイトは最優先で診断すべきでしょう。SQLインジェクションやXSS攻撃のリスクが高く、データ漏洩を防ぐには定期的な診断が不可欠です。 大規模なユーザーベースを持つサイト 多くのユーザーを抱えるサイトも要注意です。ユーザー数が多いほど攻撃の影響が広範囲に及ぶため、認証システムやセッション管理の脆弱性には特に気を配る必要があります。 動的コンテンツを提供するWebアプリケーション 会員制サイトのような動的コンテンツを扱うWebアプリケーションは、セッションハイジャックやCSRF攻撃の標的になりやすいです。ユーザー入力の適切な検証が肝心です。 APIを利用して外部とデータをやり取りするサイトやアプリ APIを介してデータのやり取りを行うサイトやアプリは、APIキーの漏洩や認証の不備などに注意が必要です。APIセキュリティに特化した診断を行うことをおすすめします。 これらの特徴を持つサイトは特に警戒が必要ですが、どのウェブサイトも定期的な脆弱性診断を怠らないことが大切です。 脆弱性診断の具体的な2つの手法:自動診断vs手動診断 脆弱性診断には主に自動診断と手動診断という2つの手法があります。それぞれに特徴があるので、簡潔に紹介しましょう。詳しい内容は別の記事で掘り下げていきます。 自動診断 自動診断ツールを使ったスキャンは、短時間で幅広い脆弱性を見つけられるのが強みです。コスト面でも効率的で、定期的な診断に向いています。ただし、既知のパターンに基づいて診断するため、複雑な脆弱性や新手の攻撃手法を見逃すことがあるのが弱点です。 手動診断 一方、専門家による手動診断は、より細やかで柔軟なチェックが可能です。システムの特性に合わせたカスタマイズされた診断ができるのが魅力。ビジネスロジックの脆弱性など、ツールでは気づきにくい問題も発見できます。ただ、時間とコストがかかるのがネックです。 多くの場合、この2つの方法を組み合わせることで、効率的かつ精度の高い診断ができます。具体的な実施手順やおすすめのツールについては、別の記事で詳しく解説する予定です。 脆弱性診断の対象となるシステムやアプリケーションは? 次は、主な診断対象を見ていきましょう。 Webアプリケーション(Webサイトを含む) 最もよくある診断対象と言えます。入出力処理、認証・認可機能、セッション管理、Webサーバ設定など、様々な角度から検査します。特にSQLインジェクションやクロスサイトスクリプティング(XSS)といった脆弱性には要注意です。 スマホアプリ:OS別で注意 モバイル環境ならではの弱点、例えば不適切なデータ保存やセキュアでない通信などをチェックします。iOSやAndroidなど、OSごとの特性を踏まえた診断が求められます。 プラットフォームとクラウドサービス ネットワーク機器、OS、サーバ、ミドルウェアの脆弱性を洗い出します。クラウド環境では、ちょっとした設定ミスが情報漏洩につながる可能性があるため、そこも重要な診断ポイントになります。 自社サイトの脆弱性診断必要性をチェックしてみよう 自社のウェブサイトやアプリケーションが脆弱性診断を必要としているかどうかを判断するには、以下のチェックポイントを確認することが有効です。 具体的なチェックリスト 以下のチェックリストを確認し、当てはまる項目にチェックを入れてください。 個人情報や機密データを扱っている オンライン決済機能を提供している 過去1年以内にセキュリティインシデントが発生した 最後に脆弱性診断を実施してから6ヶ月以上経過している 最近、大規模なシステム更新や新機能の追加を行った 外部からのアクセスが可能なAPIを提供している ユーザーからの入力を受け付けるフォームがある 複数のサードパーティ製プラグインやライブラリを使用している これらの項目のうち、1つでもチェックが入った場合、脆弱性診断を検討してください。チェックの数が多いほど、脆弱性診断の優先度は高くなります。 現状のセキュリティ体制もチェックを セキュリティ体制についても以下の点を確認してください。 セキュリティポリシーが明文化され、定期的に更新されている セキュリティ担当者が明確に指名されている 開発チームがセキュアコーディング(※1)の訓練を受けている インシデント対応計画が策定され、定期的に見直されている これらの項目にチェックが入らない場合、脆弱性診断と併せてセキュリティ体制の強化を検討すべきです。 ※1:セキュアコーディングとは、サイバー攻撃に強い、安全なソフトウェアを開発するためのコーディング手法のこと 脆弱性診断ツールの選び方:6つの重要基準 自社サイトで脆弱性診断を実施することを決めたら、次は脆弱性診断ツールの選定です。適切なツールを選ぶことで、より精度の高い診断結果を得ることができます。 以下に、ツールの選定基準を簡潔に説明します。 コスト スキャン範囲 使いやすさ サポートの有無 レポート機能 カスタマイズ性 これらの基準を考慮し、自社のニーズに最も適したツールを選択することが重要です。 当社でも独自の脆弱性診断サービスを提供しており、プロによるカスタマイズされた診断が可能です。ツールの詳細な特徴や選定プロセスについては、別記事で詳しく解説いたします。 まとめ さて、ここまで脆弱性診断について幅広く見てきました。その重要性、どんなサイトが要注意か、具体的な診断方法、そしてツールの選び方まで。サイバー攻撃の手口は日々進化しているので、診断と対策を怠らないことが大切です。 脆弱性診断は専門的な知識と経験が必要な分野です。当社では、15年以上の診断実績を持つ専門家チームが、お客様のニーズに合わせた診断サービスを提供しています。業界最先端の診断ツール「Vex」を使って、Webサイトやシステムの脆弱性を隅々まで評価します。 セキュリティ対策について不安や疑問がある方は、どうぞお気軽にご相談ください。 詳しい内容は、脆弱性診断サービスのページもチェックしてみてください。