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工場システムのセキュリティ対策ガイドラインを分かり易く解説!3つのステップで実践へ | 脆弱性診断とは

工場システムのセキュリティ対策ガイドラインを分かり易く解説!3つのステップで実践へ

近年、工場のDX(デジタルトランスフォーメーション)化が急速に進み、生産性の飛躍的な向上や効率化が期待されています。 しかしその一方で、これまで閉じられた環境にあった工場の制御システムがインターネットや社内ITシステムと繋がることで、新たなサイバー攻撃の脅威に晒されるリスクも高まっています。 「うちの工場もそろそろ対策を考えなければ…」 と思いつつも、経済産業省から出された『セキュリティ対策ガイドライン』は100ページ超え。 専門用語も多くてどこから手をつければ良いのか、と悩んでいる方も多いと思います。 専門的な知識がないと、どこが本当に重要で、何を優先すべきか判断するのは難しいですよね。 そこでこの記事では、脆弱性診断の専門家(株式会社アイ・エフ・ティ)が、その難解なガイドラインを中小工場の視点で「超訳」し、「最重要ポイントは何か」「なぜそれが重要で、どう実践すべきか」を、具体的な優先順位と根拠まで含めて徹底解説します。 この記事を読んでわかること 工場セキュリティガイドラインの理解と重要性 自社で取り組むべき優先順位 工場特有のセキュリティ対策ポイント 継続的な対策と専門家活用のヒント この記事を読めば、ガイドラインの核心を深く理解し、自社で取り組むべきことの優先順位と、その理由を明確にできるはずです! 工場のセキュリティガイドライン遵守は今や必須!その背景とは? 経済産業省が策定した「工場システムにおけるサイバー・フィジカル・セキュリティ対策ガイドライン」(以下、ガイドライン)は、工場のサイバーセキュリティ対策を進める上で、企業が自主的に取り組むための共通の指針を示すものです。 まずは、このガイドラインが生まれた背景や目的、そしてその全体像を簡単に見ていきましょう。 なぜガイドラインは作られた?DX化によるリスクとその目的 工場のIoT化やDX(デジタルトランスフォーメーション)が進み、生産性が向上する一方で、 これまで閉じられていた工場の制御システム(OT)がインターネットや社内ITシステムと繋がるようになりました。 これは、サイバー攻撃の新たな標的となり得ることを意味し、実際に国内外で工場が被害に遭う事例も増えています。 このような背景から、経済産業省は2022年11月に本ガイドラインを策定しました。 その目的は、企業が自主的にセキュリティ対策を進めるための「共通の指針」を示し、産業界全体のセキュリティレベルを向上させること、そして安全なDX推進を支援することです。 ガイドラインの全体像と3つのステップを理解しよう ガイドラインの中心は、「セキュリティ対策企画・導入の進め方」で、対策を以下の3つのステップで進めることを推奨しています。 ステップ1:現状把握とリスク評価(準備):自社の状況を整理 ステップ2:対策の立案(計画):リスク評価に基づき、具体的なセキュリティ対策の計画 ステップ3:対策の実行と継続的改善(実行・改善):計画を実行し、PDCAサイクルで見直し また、工場内をセキュリティレベルに応じて区分けする「ゾーン」管理や、実践的な「チェックリスト」「調達仕様書テンプレート」といったツールも提供されており、企業が具体的なセキュリテイ対策を進めるためのヒントが詰まっています! サプライチェーンを守る!今、工場にガイドライン対応が必須なワケ DX化によるリスク増大に加え、サプライチェーン全体でのセキュリティ確保が強く求められています。 万が一、自社がサイバー攻撃の起点となって取引先にまで被害が及んでしまえば、長年築き上げてきた信用も一瞬で失いかねませんよね。 実際に、大手企業を中心に取引先へ一定水準以上のセキュリティ対策を求め、監査で確認する動きが加速しています。 ガイドラインへの対応は、こうした要求に応え、自社の信頼性を示す上で重要です。 国も中小企業の取り組みを後押ししており、2025年4月には中小企業向けの解説書「工場セキュリティの重要性と始め方 」も公開されました。 ガイドラインへの対応は、自社を守るだけでなく、取引先との信頼関係を維持し、供給責任を果たすための重要な取り組みなのです。 参考:工場セキュリティの重要性と始め方 (経済産業省) 工場セキュリティガイドラインの基本と3つのステップ ここからは、いよいよ「工場システムにおけるサイバー・フィジカル・セキュリティ対策ガイドライン Ver1.0」の本編解説です。 難解に思えるガイドラインも、その骨組みと大切なポイントさえ押さえれば、中小工場の皆さんがセキュリティ対策を進める上で、きっと大きな助けとなるはずです。 私たち専門家の視点から、「超訳」し、具体的なアクションに繋がるよう、分かりやすく解説していきます。 【ステップ0】まず理解すべき!ガイドラインを読み解くための基本原則 このガイドラインは、工場のDX化に伴い高まるリスクに対応するために策定されました。 ここで言うリスクとは、情報システムなどが存在する目に見えない「サイバー空間」と、実際に設備や機械が稼働している現実世界の「フィジカル空間」、この両方がより密接に繋がることで生じる、サイバー・フィジカル両面のリスクを指します。 ガイドラインは、企業がこれら両面のリスクに対して自主的にセキュリティ対策を進める際の「指針」となることを目指しています。 その対象範囲は、工場の頭脳とも言えるOTシステムから、日々の稼働を支える空調や電源といった付帯設備に至るまで、まさに「工場敷地内のモノすべて」を網羅しています。 想定読者は、経営層から現場のIT/OTエンジニア、購買担当者まで幅広く、各々の役割に応じた対応が示されています。 工場セキュリティでは、工場ならではの、こんな視点が大切になってきます。 BC(Business Continuity:事業継続性) S(Safety:安全性) Q(Quality:品質) D(Delivery:納期) C(Cost:コスト) 基本構造は「経営層・工場側・IT部門の三位一体」での取り組みを前提とし、「3ステップ(準備→立案→実行・運用)×PDCAサイクル」で継続的な改善を目指します。 この取り組みを実りあるものにするためには、特に以下の3点が重要になると、私たち専門家は考えています。 まずはここから!ITとOTの「文化の違い」を理解する オフィス環境のITセキュリティと、工場現場のOTセキュリティでは、優先すべきことや許容されるリスクが違うことを認識します。例えば、ITでは機密性が重視される一方、OTではシステムの安定稼働(可用性)が最優先されることが多いのです。 ガイドラインは「答え」ではなく「考える道具」と捉えること ガイドラインに書かれていることを全てそのまま実施することが目的ではありません。 自社の規模、業種、取り扱う製品や技術、現在のリスク状況などを踏まえ、ガイドラインを「自社にとって何が最適か」を考えるためのフレームワークとして主体的に活用する姿勢が大切です。 セキュリティは「コスト」ではなく「戦略的投資」と認識すること セキュリティ対策には、もちろん費用がかかります。しかしそれを単なる「コスト」と捉えるのではなく、サイバー攻撃による甚大な被害(生産停止、信用失墜、賠償責任など)を未然に防ぎ、事業を継続し、 さらには取引先からの信頼を得て競争力を高めるための「戦略的投資」であるという認識を経営層が持つ必要があります。 これらの基本原則と重要ポイントを念頭に置くことで、ガイドラインが示す3つのステップを、より自社の実情に合わせて効果的に進めていくことができるはずです。 【ステップ1】工場の「弱点」と「守るべきもの」を見つける ガイドラインが示すセキュリティ対策の最初のステップは、 「自社の工場が今どのような状況にあり、何を保護すべきで、どのような危険に直面しているのか」 を正確に把握することから始まります。 ステップ1では、以下の7つのポイントで自社工場を徹底的に「見える化」していきます。 ステップの主題 問いかけ / 具体的なテーマ 具体的な進め方 1-1. ゴール設定 何を目指し、どんなルールを守るべきか? 会社の目標とセキュリティリスクを結びつけます。法律や業界ルール、取引先からの要求など、守るべき外部の決まり事もハッキリさせます。 1-2. 仕事の流れを知る 工場内の「業務プロセス」を見える化 工場の中で、モノや情報がどう動き、どんな順番で仕事が進んでいるか(例:調達→製造→検査→出荷)を洗い出し、図などで誰にでも分かるようにします。 1-3. 業務の優先順位付け 「止まったら困る仕事」はどれ? 洗い出した仕事がもし止まったら、会社全体にどれくらい影響が出るか(安全・品質・納期・コスト面で)を考え、重要度に応じて順番をつけます。 1-4. 守るべきモノをリストアップ 大切な「資産」は何か? 仕事で使う大事な「情報」(技術情報など)、「モノ」(重要設備など)、「人」(専門スキルを持つ人)を具体的に全部書き出します。IT/OT資産の棚卸しもここで行います。(優先度:高) 1-5. 資産の優先順位付け 「絶対に守りたいもの」はどれ? 1-4で書き出した「守るべきモノ」がもし攻撃されたり壊れたりしたら、会社がどれくらい困るかを評価し、特に大事なものから順番をつけます。(優先度:高) 1-6. 工場をエリア分け 場所・仕事・資産を関連付ける 工場の中を、機能やセキュリティの重要度に合わせていくつかの区画(ゾーン)に分けます。そして、どのエリアでどんな仕事をして、何を扱っている(守るべきモノがある)のかを紐付けます。(優先度:高) 1-7. エリアごとの危険予測 どんな脅威が、どんな影響をもたらすか? 分けたエリアごとに、どんな危険(ランサムウェア、不正アクセス、故障、災害など)が潜んでいるか、もしそれが起きたらどんな被害が出るかを整理し、その深刻さを評価します。(優先度:高) では、なぜ最初にこのステップ1「現状把握とリスク評価」を確実に行う必要があるのでしょうか? 私たち専門家の視点から見ると、主に3つの理由があります。 守るべき対象がはハッキリとし、対策の焦点を絞れる 本当に危険な箇所が見え、効果的な優先順位がつけられる 対策の必要性が納得でき、経営視点で合理的な判断が下せる これらが曖昧なままでは、どんな対策も的外れになったり、効果が半減したりしかねません。 だからこそステップ1は、効果的なセキュリティ対策を行うための、「土台作り」と言えるのです。 【ステップ2】システムと物理の両側面から対策計画を立てる ステップ1で自社の現状とリスクが確認できたら、具体的な対策を計画する「セキュリティ対策の立案」のステップへと進みます。 ここでは、システム構成面(サイバー)と物理設備面(フィジカル)の両面から、工場ならではの事情を踏まえ、、実効性の高い計画を立てることが求められます。 ステップ2では、主に以下の2つの大きな方針と具体的なアクションプランを策定します。 ステップの主題 具体的な進め方 2-1. セキュリティ対策方針の策定 ステップ1で把握した工場の現状を基に、工場システム全体のセキュリティ対策における基本的な考え方、何を優先して守るか、そしてどこまでのレベルを目指すのかを決定します。 具体的に「何を最優先で守るのか」「どの脅威に対して、どこまで備えるのか」という明確な目標を設定します。これは、業務の重要度や脅威の深刻さを考え合わせて、対策の度合いを決めていきます。 2-2. 想定脅威に対するセキュリティ対策の決定 ステップ1で特定したそれぞれの想定脅威に対し、システム面・物理面の両方から、具体的な防御策や対応策を個別に検討し、計画に落とし込みます。 特定された脅威に対して具体的な対策を紐付けていきます。 対策は、大きく「システム構成面」と「物理面」、そして「日常的な運用管理」の観点から検討します。 システム構成面でのセキュリテイ対策 ネットワークを安全に区切り(ゾーン化)、どこからどこへアクセスできるかを適切にコントロールします。 サーバーや端末、制御機器などのセキュリティ設定を強化し、使用するソフトウェアやサービスが安全性を確保、もし問題が起きた時の対応手順も確立しておきます。 不正な通信がないか監視したり、ログ(記録)の管理も大切です。 物理面でのセキュリテイ対策 建屋や設備が自然災害(地震、水害など)に耐えられるようにし、安定して動き続けられるようにします。 重要な機器は盗難や破壊から守ります。 不正なモノの持ち出し(例えばUSBメモリなど)・持ち込みを防ぎ、重要なエリアへは物理的に立ち入りを厳しく管理します。 日常的な運用・管理に関わるセキュリテイ対策 導入したセキュリティ対策が常に有効に機能しているか定期的に確認し、システムの動きを監視します。 設定を変更した場合はきちんと記録を残し、許可されていないデバイス(私物のUSBメモリなど)の利用を禁止するといったルールを徹底し、日々の運用の中でセキュリティを維持していきます。 これらの具体的な対策をより実効性のあるものにするため、私たちIFTは、対策を考える上で特に次の3つの視点が鍵になると考えています。 「脅威起点」と「資産価値起点」の両方から考える 「何から守るか(脅威起点)」と「何を重点的に守るか(資産価値起点)」の二つの視点で対策を検討することで、バランス良く効果的な計画が生まれます。 中小工場こそ「基本の徹底」 高度で高価な対策の前に、まずはパスワードの管理や不要な接続の遮断、ソフトウェアを最新の状態に保つといった「基本対策」を徹底するだけで、リスクは大幅に減らせます。 物理セキュリティはサイバーセキュリティの「最後の砦」 どんなにサイバー対策を固めても、物理的に侵入されてしまえば意味がありません。特に工場では、サイバーとフィジカル両面での多層防御が不可欠です。 【ステップ3】対策の実行と運用、一度だけで終わらせないために ステップ3では、いよいよ立案した対策を実行に移し、日々の運用へと落とし込んでいきます。 しかし、セキュリティ対策は一度導入したら「はい、おしまい!」というものではありません。 時代の変化や次々と現れる新たな脅威に合わせて、継続的に見直し、改善し続けることが何よりも大切なのです。 ステップ3で特に重要な活動は、大きく3つに分けられます。 主要な活動 具体的な取り組み内容 1. 日々の運用と、もしもの時への備え 普段からセキュリティを意識した運用を心がけ、万が一の事態(インシデント)にはOODAループ(※)ですぐに対応します。具体的には、ログの監視、インシデント発生時の対応手順の確認、アカウントやシステム構成の適切な管理、従業員への情報共有や教育などを行います。 2. 対策を常に最新の状態に保つ活動 一度導入した対策が古くならないよう、定期的に効果をチェックし、必要なら改善します。新たな弱点(脆弱性)の情報収集や評価、修正プログラム(パッチ)の適用も計画的に行いましょう。また、いざという時に備え、模擬訓練で対応力を高めておくことも大切です。 3. サプライチェーン全体の安全確保 自社だけでなく、取引先も含めた全体のセキュリティレベル向上を目指します。そのため、取引先に自社のセキュリティ基準を伝え、状況を確認し合うことが重要です。特に、VPNなど外部との接続部分は攻撃の入口になりやすいため、弱点管理を徹底しましょう。 PDCAサイクル: 「計画(Plan)→実行(Do)→評価(Check)→改善(Action)」という流れで、中長期的な視点からじっくりとセキュリティ体制全体を改善していくための枠組み。 OODAループ: 「監視・観察(Observe)→状況判断(Orient)→意思決定(Decide)→行動(Act)」という流れで、日々刻々と変化する状況や、突発的な脅威・インシデントに対して、素早く柔軟に対応するための思考・行動プロセス。 これらの活動を効果的に継続していくために、私たちIFTは以下の点を特に重要だと考えています。 PDCAとOODA、それぞれの役割を理解し、連携させましょう 中長期的な改善(PDCA)と、日々の脅威への迅速な対応(OODA)。この二つをバランス良く回すことが、「生きた対策」の鍵です。 中小工場におけるインシデント対応の現実的な解決策 専門チームがなくても、発生時の責任者・連絡先・初動手順を明確にし周知するだけで、被害を最小限に抑える第一歩となります。 サプライチェーン対策は「できる範囲から」始める 全ての取引先に高いレベルを求めるのは現実的ではありません。まず影響の大きい重要な取引先から、セキュリティの相互理解を深めましょう。 ガイドラインを実践するために!組織体制と便利ツールの活用法 大切なのは、ガイドラインの3つのステップを理解することではなく、それらを工場全体で着実に実行し、継続していくための「推進力」です。 ここでは、ステップ1~3で学んだことを実際の行動に移し、組織に根付かせるための「組織体制のポイント」と、その助けとなるガイドライン付属の「便利ツールの使い方」を解説します。 全社で取り組む!セキュリティ対策を成功させる組織体制の作り方 ガイドラインを工場全体で取り組むためには、しっかりとした土台、すなわち「組織体制」が不可欠です。 特定の誰かや一部門に任せるのではなく、関係者全員がそれぞれの役割を担い、連携しなくてはいけません。 役割分担と部門間の連携を明確に 各部門の得意分野を活かした役割分担を明確にする。 部門間で定期的に情報共有し、課題を協議できる仕組みを設ける。 経営層の強いコミットメントを示す 経営層がセキュリティ対策の重要性を明確に方針として示す。 必要なリソース(予算・人員)を確保することを宣言する。 経営トップのリーダーシップにより、全社的な協力体制を構築する。 日々の実践と万が一への備えを怠らない セキュリティインシデント発生時の「緊急対応フロー」を具体的に定める。 緊急対応フローの習熟度を高めるための訓練を実施する。 全従業員への継続的なセキュリティ教育で意識と知識を浸透させる。 外部業者とは契約段階からセキュリティ要件を明確にする。 もっと具体的に!ガイドライン付属資料の上手な使い方 ガイドラインには、本文の解説を補足し、より具体的な理解や実践を助けるための豊富な情報が付録として提供されています。 ここでは、それぞれの付録が「どんな時に」「どのように役立つのか」を簡単にご紹介します。 こんな時に役立つ どの付録を見ればいいか(付録名と内容) ガイドラインに出てくる専門用語や略語の意味が分からない 付録A『用語/略語』 ガイドライン内の専門用語や略語を解説。本文読解中の疑問解消や正確な内容理解に。 工場セキュリティに関して、法律や社会的な要求を知りたい 付録B『工場システムを取り巻く社会的セキュリティ要件』 工場システムに求められる法規制、標準規格、市場・取引先からの要求事項などを整理。自社の対策検討時に守るべき外部ルール把握の基礎情報に。 自社が目指すべきセキュリティ対策のレベル感を知りたい 付録C『関係文書におけるセキュリティ対策レベルの考え方』 代表的な基準での「対策レベル」の考え方を紹介。自社が目指す対策の強さや度合い設定の参考に。 特定のテーマについて、もっと詳しく知りたい情報がある 付録D『関連/参考資料』 国内外の関連規格、他のガイドライン、調査レポートなどをリストアップ。専門情報や他社事例を探す手がかりに。 自社のセキュリティ対策状況を具体的に自分でチェックしたい 付録E『チェックリスト』 35項目以上の必須対策項目について、自社の達成度を段階評価できる具体的なリスト。現状把握のセルフチェックから継続的な改善活動まで幅広く活用可能 システムや機器を買う時に、どんなセキュリティ要件を業者に伝えればいいか知りたい 付録F『調達仕様書テンプレート(記載例)』 製品・サービス調達時に業者へ求めるべきセキュリティ要件の雛形と記載例。RFPや契約に活用することで、客観的な業者選定やトラブル防止に。 ガイドラインを読んだ後に注意してほしいこと 経済産業省のガイドラインは工場セキュリティ対策の「共通の指針」ですが、活用法を間違えると、せっかくの努力が水の泡になることも。 ここでは、特に中小工場が陥りがちな点と、それを回避するための対策を解説します。 「読んだだけ」で満足していませんか? 一度は目を通したものの、「難しくて分からない」「どこから手をつければ…」と行動に移せないのはよくある話。時間や専門人材不足も背景にあるかもしれません。 まずは、自社の業務やリスクを「見える化」し、ガイドラインを自社に置き換えて理解。 その上で、いきなり大きなことをやろうとせず、具体的な行動計画を小さな一歩から立てて、確実に実行していきましょう。 「全部一気に」やろうとしていませんか? 「あれもこれもやらなければ」と焦り、リソースが分散して中途半端になったり、担当者が疲弊してしまったりする状況です。 特に中小工場では、限られたリソースの中で効果を出す必要があるため、この傾向に陥りやすいでしょう。 大切なのは、「選択と集中」の考え方で、まずはもっとも重要で効果が高いと思われる対策から段階的に導入していきましょう。 「一度導入」で終わりと思っていませんか? セキュリティシステムの導入やルール整備で満足し、運用や見直しを怠ると、対策は時間と共に陳腐化してしまいます。 サイバー攻撃は巧妙化し、新たな脆弱性も日々発見されます。 PDCAサイクルで継続的に改善し、日々の運用やインシデント発生時にはOODAループで即座に対応。 定期的な見直しや情報収集も重要です。 「常に変化に対応し続ける」という意識を持つことが、持続可能なセキュリティ体制の構築に繋がります。 工場セキュリティ担当者の疑問を解決!ガイドラインQ&A ここでは、中小工場の担当者や経営者の皆様が特に疑問に思われるであろうポイントについて、私たち株式会社アイ・エフ・ティがセキュリティの専門家の視点からお答えします。 Q1. 工場のOTセキュリティ、ITとは何が違う?特に注意すべき点は? A. OT環境は「止めない」が最優先。だから、オフィスとは違い、古いシステム、パッチ困難な機器、物理アクセス箇所といった特有の弱点への対策と診断が特に重要です。 特に以下の点には注意して下さい。 可用性最優先: 生産停止が莫大な損失に直結するため、ITのように頻繁なパッチ適用や再起動は難しい。 レガシーシステムの存在: メーカーサポート切れのOSや制御機器が多く、新たな脆弱性への対応が困難。 リアルタイム性の要求: セキュリティ対策が工場のシステムのパフォーマンスに影響を与えない配慮が必要。 物理的なアクセス: 制御機器が工場現場に剥き出しで設置されていることも多く、不正な操作や誤った操作によるリスクも考慮すべき。 専門人材の不足: ITとOT、両方のセキュリティ知識を併せ持つ人材は、残念ながらまだ少ないのが現状です。 こうした特有の課題に対しては、OT環境に精通した専門家による診断は不可欠と言えます。 Q2. 「スマート工場化」を進めたいが、セキュリティ面で何から準備すべき? A. スマート工場化は新たな接続点やデータ連携を生み出すため、初期段階での徹底した脆弱性診断とリスクアセスメントを強く推奨します。 以下のステップで準備を進めることをお勧めします。 現状の見える化: 工場内のIT/OT資産とネットワーク構成を正確に把握する。 導入システムの明確化: 導入する新技術と既存システムがどこでどのように連携するのかを特定する。 リスクアセスメント: 新たな接続点でのセキュリティリスクを洗い出し評価する。 セキュリティ要件の定義: リスク評価に基づき、満たすべき対策要件を明確にする。 ガイドライン参照: 自社要件に漏れがないか、より強化すべき点がないかを確認する。 新しいシステムを導入する際の脆弱性や、既存システムとの連携部分に潜むリスクを早い段階で発見するためにも、計画段階からの診断が非常に効果的です。 Q3. 取引先とのセキュリティ連携、どんな点に気をつければ良い? A. サプライチェーン全体のセキュリティを確保するため、外部接続ポイントや委託先とのデータ連携における脆弱性診断を重視します。 以下のポイントに気をつけましょう 契約での要件明確化: 情報セキュリティに関する具体的な条項(情報範囲、利用禁止、報告義務など)を盛り込む。 アクセス権限の最小化: 業務上必要な最小限にとどめ、厳格に管理・棚卸しする。 役割と責任範囲の明確化: インシデント発生時の連携・責任を事前に明確に合意する。 定期的なコミュニケーション: セキュリティに関する情報交換や、必要に応じた監査を行う。 委託先の選定基準: コストだけでなく、セキュリティ体制や実績も評価項目とする。 外部パートナーとの接点は攻撃の入り口となりやすいため、共にセキュリティの診断と評価を第三者を用いて検証するようにしましょう。 実はガイドライン対応だけでは不十分?セキュリティの「本当の課題」 ここまでお話ししてきた「工場システムにおけるサイバー・フィジカル・セキュリティ対策ガイドライン」への対応は、工場に共通して求められる「セキュリティ対策のあるべき姿」とも言えるものです。 しかし、サイバー環境は常に変化し、工場の状況も様々です。 自社だけでは専門知識の限界から、重要な弱点(脆弱性)を見落とすリスクも否定できません。 つまり、ガイドライン対応は重要な第一歩ですが、それだけで工場を守りきることは困難です。 変化する脅威に対応し、本当のセキュリティを確保するには、専門的な視点を取り入れ、継続的に体制を見直すことが欠かせません。 私たちIFTが提供する脆弱性診断は、まさにそのような、工場に潜む隠れたリスクを、セキュリティ専門家の目で徹底的に洗い出し、具体的な対策をご支援します。 こんな方は一度ご相談ください 「ガイドラインを読んだけれど、難しくて自社だけで対応できるか正直不安…」 「結局、うちの工場では何から手をつければ良いのか、専門家から具体的なアドバイスやサポートが欲しい」 「ガイドラインに沿って対策を進めているつもりだけど、うちの工場特有の弱点や見落としがないか心配…」 「取引先にも、そして何より自社の従業員にも、安心して働ける盤石なセキュリティ環境を整えたい」 「スマート工場化を進めたいけれど、どんなセキュリティリスクがあって、どう備えればいいのか分からない」 もし、このような課題をお持ちでしたら、私たちIFTにご相談ください。 IFTの脆弱性診断は、「できる限りリーズナブルな価格」なので、高品質なサービスを継続的に続けられます。 ガイドライン対応に関する疑問点の解消から、お客様の工場に潜む「見えない穴」の特定、そして本当に安心できるセキュリティ体制の構築まで、専門家の知見と経験をもってサポートいたします。 まとめ:継続的な対策のために、専門家のサポートをおすすめします ここまで、経済産業省の工場セキュリティガイドラインの重要ポイントと、その3つのステップに沿った実践方法について、具体的な進め方や注意点を交えながら解説してきました。 大切なのは、まずこのガイドラインがDX時代の工場を守るための「基本的な指針」であると理解し、その上で「現状把握とリスク評価(ステップ1)」から着実にステップを踏むことです。 この記事のまとめ ガイドラインの3ステップ(現状把握、対策立案、実行・改善)の着実な実践 ITとOTの特性理解と経営層の関与の重要性 セキュリティ対策の継続的な見直し(PDCA/OODAの活用) 専門家による客観的なリスク評価の有効性 しかし、ガイドラインへの対応はあくまで第一歩であり、それだけでは見落としがちな工場特有の「セキュリティの穴」が存在する可能性も否定できません。 「自社だけでは不安…」「もっと具体的なアドバイスが欲しい」と感じたら、ぜひ私たちIFTにご相談ください。 1000件以上の診断実績で培った専門知識と経験で、安心・安全な工場運営を実現するための、具体的な対策をご提案します。 まずは無料相談からお気軽にお問い合わせください。

ECサイトセキュリティガイドラインを超分かり易く解説!専門家が教える対策ポイント | 脆弱性診断とは

ECサイトセキュリティガイドラインを超分かり易く解説!専門家が教える対策ポイント

「クレジットカード・セキュリティガイドライン」の改訂により、2025年4月以降で、EC加盟店は、これまで実施してきたセキュリティ対策に加え、システムやWebサイトの脆弱性対策の実施が義務付けられました。 これにより、一刻も早くセキュリテイ対策をしなくては!と考えている方も多いと思います。 しかし、「公式ガイドラインは見たけれど、専門用語が多くて結局よく分からなかった」 「うちのような中小規模のECサイトで、あの長いガイドラインの全てに対応するのは無理…」 と感じている方もいらっしゃるかもしれません。 専門的な知識がないと、どこが本当に重要で、何を優先すべきか判断するのは難しいですよね。 そこでこの記事では、脆弱性診断の専門、IFT(アイ・エフ・ティ)が、そんな中小ECサイトの経営者・運営担当者の皆さんのために、「ECサイト構築・運用セキュリティガイドライン」の核心部分を徹底的に「超訳」。 「何が本当に重要で、なぜそうすべきか、そして具体的にどう行動すれば良いのか」を、専門家の視点から分かりやすく解説します。 この記事を読めば、こんな疑問がスッキリ解決します! なぜ今、中小ECがセキュリティガイドラインに向き合う必要があるの? 膨大なガイドラインの中で、本当に優先すべきポイントはどこ? 専門家が教える、具体的なセキュリティ対策の最初の一歩とは? ガイドライン対応でよくある落とし穴と、その回避策は? ガイドライン対応への漠然とした不安を解消し、自信を持ってセキュリティ対策を進めるためのお手伝いができれば幸いです。 なぜ今?「ECサイトセキュリティガイドライン」と向き合うべき2つの理由 中小規模のECサイト運営者の皆さんにとっては、この公的なガイドラインは、少し難しくて縁遠いものに感じられるかもしれません。 しかし、ECサイトのセキュリティ対策は、もはや他人事ではなくなりました。 そして今こそ、このガイドラインと真摯に向き合っていただきたい、理由が2つあります。 「ECサイトセキュリティガイドライン」対応、2025年に義務化へ このセキュリティ対策の指針を示したものが、独立行政法人 情報処理推進機構が発行しているECサイト構築・運用セキュリティガイドライン(独立行政法人 情報処理推進機構)です。 このガイドラインで示されているセキュリティ対策の一部が、2025年4月以降にECサイト事業者に対して義務化されました。 これは、ECサイトにおけるクレジットカード情報の漏洩事故が後を絶たない状況を受け、より安全なEC取引環境を実現するための動きです。 実際に、クレジットカード会社や業界団体(JADMAなど)は、このガイドラインへの準拠を取引の条件とする動きを強めています。 待ったなしの状況と言えるでしょう。 公式ガイドラインがセキュリティ対策の基本 「ECサイト構築・運用セキュリティガイドライン」は、難しそうに見えるかもしれませんが、実は中小ECサイトの皆さんにとって、セキュリティ対策を進める上でとても役立ちます。 ガイドラインには、必ず実施すべき基本的な対策から、さらに進んだ対策までが具体的に整理されています。 特に付録として提供されているチェックリストは、自社のセキュリティ状況を点検する際にそのまま活用できます。 また、各対策の背景や具体的な実施例に関する記述は、外部の制作会社などに開発を委託する際の仕様書を作成する上でも大いに役立ちます。 専門的な知識が十分でなくても、期待するセキュリティレベルを伝えやすくなるでしょう。 これら2つの理由から、中小ECサイト運営者の皆さんも、今こそ「ECサイト構築・運用セキュリティガイドライン」を読み解き、具体的なセキュリティ対策への一歩を踏み出すことが求められているのです。 まずはここから!ガイドラインの「心臓部」とも言える基本方針を理解しよう ガイドラインの具体的な対策項目を見ていく前に、まずはその全体像と、ECサイトのセキュリティを考える上での基本的な心構えを理解することが大切です。 ここをしっかりと押さえておくことで、個別の対策内容の理解度が格段に深まります。 ガイドラインが示す「ECサイトセキュリティの全体像」とは? 経済産業省やIPA(情報処理推進機構)が公表している「ECサイト構築・運用セキュリティガイドライン」は、ECサイトにおける情報セキュリティ対策の進め方を示した、いわば「教科書」のようなものです。 経営者の責任に関する項目(7項目) 会社全体として、どのようにセキュリティ対策に取り組むべきかを定めています。 ECサイト構築時の技術的対策<PCBR>に関する項目(14項目) 新しくECサイトを立ち上げる際に、具体的にどのようなセキュリティ要件を満たすべきかを示しています。 ECサイト運用時の技術的対策<PCBR>に関する項目(7項目) 構築したECサイトの安全な状態を維持し、さらに向上させていくための日々の運用ルールを定めています。 ECサイト構築・運用セキュリティガイドラインの全体像 このガイドラインの目的は、ECサイトを運営する経営者の皆さんが、セキュリティリスクの大きさと対策の重要性、そして対策にかかる費用と効果を正しく理解し、担当者が具体的な対策の優先順位を判断して実行に移しやすくすることにあります。 ガイドライン活用の第一歩は、ご自身のECサイトが「構築段階」なのか「運用段階」なのかを把握し、ガイドラインのどの部分を重点的に参考にすべきかを知ることから始めましょう。 中小ECが特に意識したい!セキュリティ対策を進める上での「3つの心構え」 ガイドラインには多くの対策項目が挙げられていますが、その中でも特に中小ECサイトの運営において、私たちIFTが重要だと考える基本的な心構えが3つあります。 トップ主導で取り組む 「外注丸投げ」は絶対禁止! PDCAサイクルを徹底 これらを意識することで、ガイドライン活用の効果が大きく変わってきます。 【最重要・構築編】安全なECサイトの「絶対防衛ライン」 ECサイトを新規に構築する際、あるいは既存サイトをリニューアルする際には、セキュリティを土台から固めることが何よりも重要です。 ガイドラインの「構築編」には多くの要件がありますが、その中でもIFTが特に優先度が高いと考えるのは以下の項目です。 要件1: 国が示す「安全なウェブサイトの作り方」などの指針に沿って、ECサイトを構築する。 要件: サーバーや管理画面を使うパソコンなどで利用しているソフトウェアを、セキュリティパッチなどで常に最新の状態に保つ。 要件3: ECサイトを公開する前に専門家による脆弱性診断を行い、見つかった弱点は必ず対策する。 要件4: 管理者画面や管理用ソフトに接続できるパソコンを制限する。 要件5: 管理者画面や管理用ソフトに接続するパソコン自体のセキュリティ対策をしっかり行う。 要件6: クレジットカード業界のセキュリティ基準「クレジットカード・セキュリティガイドライン」を守る。 要件8: お客様の個人情報を安全に管理するための対策を講じる。 要件9: ECサイトのドメイン名が本物であることを証明し、TLS(暗号化通信)を利用する。 ここでは、ECサイトの構築時に守るべきセキュリティ対策の要件の中から、IFTが特に「絶対防衛ライン」と考え、優先して取り組むべき項目を中心に解説します。 要件1・2: ECサイトは安全な指針を守り、常に最新に【優先度:高】 ECサイト構築・運営では、「安全なウェブサイトの作り方」といった公的な指針に基づき、脆弱性対策を施すことが最重要です。 🔗安全なウェブサイトの作り方(参照:情報処理推進機構) そして、使用するサーバー、OS、ミドルウェア(サーバーとソフトウェアの中継役)、Webアプリケーションなど、ECサイトを構成する全てのソフトウェアは、常に最新版を維持し、セキュリティパッチ(修正プログラム)を適用しましょう。 特に中小規模のECサイトでは、日々の業務に追われて対策が後回しにされがちですが、古いソフトウェアの脆弱性を放置することは、情報漏洩といった深刻な被害に直結する、非常に危険な行為です。 そのためには、まずECサイトを構成している全てのソフトウェアをリストアップして正確に把握し、それぞれの脆弱性に関する情報を継続的に集め、管理する体制づくりが欠かせません。 危険度の高い脆弱性が見つかった場合は発見後すぐに、中程度のものはサイト公開までにはパッチ適用やアップデートで対応し、被害の可能性を最小限に抑えます。 さらに、アップデート後は必ずECサイトが問題なく動作するかを検証することも忘れてはいけません。 もし外部の業者にECサイトの構築を委託する場合でも、これらのセキュリティ指針に基づいた安全な構築を依頼することが、極めて重要になります。 要件3:公開前に必ず脆弱性診断を実施し、対策を完了させる【優先度:高】 ECサイト公開前には、専門家による脆弱性診断が必須です。 意図しない脆弱性による被害を防ぐため、第三者の目による「プラットフォーム診断(サーバーやネットワーク機器の診断)」と「Webアプリケーション診断(ECサイト自体の診断)」の2種類を実施し、発見されたセキュリティ上の問題点(特に危険度の高いもの)は必ず修正してから公開しましょう。 プラットフォーム診断とWebアプリケーション診断について、より詳しく知りたい方はこちらの記事も参考にしてください。 ガイドラインでは、診断は原則としてECサイトの構築・運用に直接関与していない第三者に依頼し、「プラットフォーム診断」と「Webアプリケーション診断」の2種類を実施することを求めています。 特に、お客様が利用するログイン画面や決済画面など、主要な機能は必ず診断範囲に含める必要があります。 中小ECサイトの場合、診断費用が気になるかもしれませんが、IPAの「情報セキュリティサービス基準適合サービスリスト」などを参考に信頼できる診断事業者を選び、脆弱性を抱えたままサイトを公開することは絶対に避けましょう。 弊社のWebアプリケーション脆弱性診断は日本セキュリティ協会の審査に基づき情報セキュリティサービス基準適合を受けています。 🔗IFTの脆弱性診断サービスについて 要件4・5: 管理者画面など重要なページへの接続を制限する【優先度:高】 ECサイトの管理者画面は、顧客情報や売上データなどが集まる、まさに「心臓部」です。 もし不正にアクセスされてしまうと、その被害は計り知れません。 そのため、管理者画面に接続できる端末をIPアドレスで制限したり、ID・パスワードに加えてスマートフォンなどを使った二要素認証(MFA)を導入しましょう。 これらの対策は比較的簡単に導入でき、不正アクセスの成功率を90%以上も削減できるというデータもあります。 管理者パスワードは最低でも12桁以上の複雑なものにし、定期的に変更するルールを設けましょう。 また、管理者アカウントの権限も、業務に必要な範囲だけに適切に分割することが大切です。 さらに、管理用として使うパソコン自体も、マルウェア対策ソフトを導入したり、USBメモリなどの利用を制限したりといった対策を徹底し、情報漏洩を防ぎましょう。 要件6・8・9:機密情報は厳重なガードで保護をする。【優先度:高】 ECサイトでは、お客様のクレジットカード情報や個人情報といった機密情報を、「三重のガード」で守るという意識が何よりも大切です。 まず、クレジットカード情報は自社のサーバーで保持せず、決済代行サービス(PSP)が提供するトークン決済(カード情報を別の文字列に置き換える技術)などを利用しましょう。 どうしても保持する必要があるお客様の個人情報は、データベース内で強力な方法で暗号化し、その暗号化を解くための「鍵」も厳重に管理します。 お客様がサイトを閲覧したり情報を入力したりする際の通信は、TLS1.2以上という安全な方式で必ず暗号化(HTTPS化)し、第三者による盗聴や情報の改ざんを防ぎます。 バックアップデータも同様に暗号化し、安全な場所に保管することを徹底しましょう。 その他、構築時に考慮すべき重要ポイント(要件7, 10~14)【優先度:中~低】 ここまで解説してきた優先度『高』の対策に加えて、ECサイト全体の安全性をさらに高めるためには、セキュリティレベルの底上げに繋がる以下の追加対策も有効です。 不正ログイン対策の強化 (要件7, 10) お客様が設定するパスワードは長く、複雑なものとし、推測されやすいものは設定できないようにします。ログイン試行回数の上限を超えた場合はアカウントを一時的にロックし、リスクが高いと判断される場合は二要素認証の導入も検討します。 利用者への重要処理通知 (要件11) メールアドレスやパスワードの変更、アカウントの新規登録・削除、決済処理など、お客様に関わる重要な操作が行われた際には、ご本人へメールなどで通知し、不正な操作がもしあった場合に早期に発見できるようにします。 ログ・バックアップデータの保管と保護 (要件12, 13) 事故原因究明のため、Webサーバーのログ、アプリケーションのログ、取引データなどのバックアップを過去1年分、安全な場所に保管します。これらのデータへの不正なアクセスを防ぐための対策も講じます。 サーバー・管理端末のマルウェア対策 (要件14) ECサイトのサーバーおよび管理用のパソコンなどにマルウェア対策ソフトを導入し、リアルタイムでの検知、定義ファイルの自動更新、定期的なスキャンを実施します。USBメモリなどの外部記憶媒体の利用も制限します。 【最重要・運用編】日々の運営で「安全」を当たり前に ECサイトは、一度作って公開したら終わりではありません。 安全な状態を維持し続けるためには、構築時の対策だけでなく、日々の運用における地道な努力が欠かせないのです。 ガイドライン「運用編」の中から、IFTが特に重要と考える項目を中心に、「安全」を当たり前にするための習慣作りについて解説します。 要件1:サーバ及び管理端末等で利用しているソフトウェアは最新の状態にする。【優先度:高】 ECサイトで使用する全ソフトウェアは、セキュリティパッチ等で常に最新の状態に保つことが最重要です。 ソフトウェアの脆弱性は、サイバー攻撃を受ける主要な原因の一つであり、これを放置してしまうと、個人情報の漏洩やECサイトのサービス停止といった事態に繋がる恐れがあります。 特に危険度の高い脆弱性を放置することは、ECサイトを非常に大きなリスクに晒す行為と言わざるを得ません。 そのため、利用ソフトウェアの脆弱性情報を継続的に収集する体制を確立し、発見された脆弱性に対し、危険度が「高」のものは速やかに、「中」のものは3ヶ月を目途にパッチ適用やアップデートを実施しましょう。 対応後は、必ずECサイトのシステム全体が正常に動作するかを検証します。 その他、運用時に意識したいポイント(運用要件2~7、付録)【優先度:中】 運用要件1で確立した体制を基盤とし、「絶対防衛ライン」となる優先度「高」の対策に万全を期すことはもちろん重要です。 それに加えて、ECサイト全体の安全性をさらに高めるためには、以下の運用項目にも継続的に取り組むことが推奨されます。 これらは、セキュリティインシデントの発生リスクを大幅に低減させる上で効果的です。 定期的な脆弱性診断と対策 (要件2) 新機能追加やシステム改修時にはWebアプリケーション診断を、また、四半期に1回程度プラットフォーム診断を実施して、新たな脆弱性がないかを確認します。発見された危険度「高」の脆弱性は速やかに、危険度「中」のものは3ヶ月を目途に対策します。 Webサイト改ざん検知とログ監視 (要件3, 4) Webサイトのファイルは定期的な差分チェックや改ざん検知ツールで不正な改ざんを早期に発見できるようにします。また、Webサーバーのアクセスログも定期的に確認し、不審なアクセスがないかを監視します。 バックアップとデータ保護 (要件5, 13) 顧客情報や売上情報といった重要なデータは、毎日オフライン環境へバックアップします。さらに、これらのバックアップデータやログデータへの不正なアクセスを防ぐため、適切な保護対策を行います。 WAFの導入 (要件6) 既知の脆弱性への対策が間に合わない場合など、緊急的な対策としてWAFを導入し、Webアプリケーションを狙ったサイバー攻撃を遮断することを検討します。 サイバー保険への加入 (要件7) 万が一、サイバー攻撃による被害が発生してしまった場合に備えて、その損害をカバーするためのサイバー保険への加入を検討します。 【組織・体制編】セキュリティは「全員参加」で!仕組みと文化作り ECサイトのセキュリティは、技術だけでは守れません。 経営者から従業員まで、会社全体で取り組む「仕組み」と「文化」が必要です。 経営者が主導するセキュリティ対策の基本方針 IPAのガイドラインでは、経営者がECサイトのセキュリティ確保のために実行すべき7つの重要項目を挙げています。 これらは、ECサイトのセキュリティ対策における「基本のキ」と言えるでしょう。 組織全体の対応方針を定める 予算と人材を確保する 必要な対策を検討・指示する 対策の実施状況を評価し、見直しを指示する 緊急時の対応体制を整備する 外部委託先との責任を明確にする 最新のセキュリティ動向を収集する 特にECサイトを新しく構築する際には、経営者の皆さんは以下の3つの点について主導的な役割を果たすべきです。 計画段階: <SPBR>セキュリティコストを見積もり、自社の規模や目的に合った最適なECサイトの形態(自社構築かSaaSか等)を選定する。 外部委託時: <SPBR>セキュリティ要件(セキュアコーディング、脆弱性診断実施等)を契約に明記し、委託先に遵守を徹底させる。 委託先管理: <SPBR>信頼できる委託先を選定することはもちろん、、契約後も対策が継続的に実施されているかを確認する体制を整える。 セキュリティ対策は、一度行ったら終わりではなく、継続的な取り組みが不可欠です。 経営者のリーダーシップのもと、組織全体で一丸となって取り組むことが、ECサイトの安全とお客様からの信頼を守ることに繋がります。 ガイドライン活用で失敗しない!よくある「3つの落とし穴」と対策 ガイドラインは、セキュリティ対策を進める上での頼れる道しるべとなりますが、その活用方法を誤ると、思わぬ「落とし穴」にはまってしまうこともあります。 「読んだだけ」で満足してしまい、行動に移せない ガイドラインを読んでも、「難しくて何から手をつければ…」と具体的な行動に移せないケースです。 読んだだけで満足せず、「自分事」として捉え、具体的な「行動計画」に落とし込むことが大切です。 チェックリストに担当者・期限・進捗を追記してタスク化し、小規模チームでも進捗を共有することで、対策の実行率を高めましょう。 「すべて完璧に」を目指しすぎて挫折する 完璧を目指して挫折するより、リソースが限られる中小ECサイトでは「優先順位を付けて、できることから確実に行う」ことが鉄則です。 自社のリスクとリソースを考慮し、取り組むべき対策を「これだけはやる」と絞り込み、選択と集中で効果を出しましょう。 「一度やれば終わり」と油断し、継続しない セキュリティ対策は一度で終わらず、「継続的な見直し」と「対策の習慣化」が本質です。 年1回のポリシー見直しや四半期ごとの脆弱性診断結果報告など、定期的な評価と改善サイクルを回しましょう。 日々の業務に小さなセキュリティチェックを組み込み、無理なく習慣化することが重要です。   これらの落とし穴を避け、ガイドラインをうまく活用することで、中小ECサイトでも着実にセキュリティレベルを向上させることができます。 IFTに聞く!ガイドライン対応「ここが知りたい!」Q&A ここまで「ECサイト構築・運用セキュリティガイドライン」の重要ポイントを解説してきましたが、それでも「具体的にどうすれば…?」と疑問に思う点もあるかもしれません。 ECサイトのセキュリティガイドラインに関する中小運営者からのよくある質問に、脆弱性診断の専門家であるIFTがQ&A形式で回答します。 Q1. ガイドラインの項目、具体的にどこまでやれば「合格」ですか? A1. 目指すは「危険度:高・中ゼロ」。計画的な改善が重要です。 明確な「合格」ラインはありませんが、脆弱性診断で「危険度:高」「中」と判定された脆弱性がゼロの状態を目指しましょう。 一度で完璧を目指すより、リスクを把握し、優先度の高いものから計画的に改善していく姿勢が大切です。 Q2. 予算が限られています…費用を抑えつつガイドラインに対応する方法は? A2. 無償ツールと専門家のスポット診断の組み合わせが効果的です。 費用抑制には、無償ツール(CDNのWAF、OWASP ZAP等)を活用。限界があるため、年一度の専門家診断(例:クイック脆弱性診断)との併用が効果的です。 IPA無償診断も選択肢。自社対策と外部委託を使い分けましょう。 また、弊社では、できる限りリーズナブルな価格で脆弱性診断サービス提供し、継続的に続けていけることを目指しています。 「他社で取得した脆弱性診断の価格が予想以上に高くて困っている」という方も、一度ご相談ください。 Q3. 専門知識がなくても、ガイドラインを参考に自力でできることはありますか? A3. 設定変更やチェックリスト活用から始めてみましょう。 専門知識がなくても、URL変更、IP制限、自動更新、強固なパスワード設定、チェックシート活用などで対策は可能です。 難しい場合は専門家に相談し、まずは「できることから始める」意識が重要です。 実はガイドライン対応だけでは不十分?見えないリスクとは? ここまでお話ししてきた「ECサイト構築・運用セキュリティガイドライン」への対応は、多くのECサイトに共通して求められる、「セキュリティ対策の最低限のライン」とも言えるものです。 これらをきちんと守ることで、一般的なサイバー攻撃に対する防御力は格段に高まります。 しかし、ガイドラインは一般的な指針であり、システム固有の脆弱性や未知の新たな脆弱性を突かれる「ゼロデイ攻撃」、さらにガイドラインの想定を超えるサイバー攻撃などのリスクまではカバーしきれません。 ガイドラインへの対応だけでは見つけられない、ECサイトに潜む「見えない穴」、それこそが、ECサイトの大きなセキュリティリスクとなります。 私たちIFTが提供する脆弱性診断は、まさにそのような、ECサイトごとに異なる固有の弱点を、セキュリティ専門家の目で徹底的に洗い出し、真の安心をお届けするサービスです。 こんな方は一度ご相談ください 「ガイドラインを読んだけれど、やっぱり難しくて自社だけでは対応しきれるか不安…」 「どこから手をつければ良いか、専門家のアドバイスやサポートが具体的に欲しい」 「ガイドライン対応は進めているけれど、うちのサイトに特有のリスクがないか心配…」 「お客様に心から安心して利用してもらえる、盤石なセキュリティ体制を築きたい」 もし、このような思いをお持ちでしたら、私たちIFTにご相談ください。 IFTの脆弱性診断は、「できる限りリーズナブルな価格」なので、高品質なサービスを継続的に続けられます。 ガイドライン対応に関する疑問点の解消から、お客様のECサイトに潜む「見えない穴」の特定、そして本当に安心できるセキュリティ体制の構築まで、専門家の知見と経験をもってサポートいたします。 まとめ:ECサイトの安全はガイドラインから。義務化に対応し、今すぐできる対策を ここまで説明してきたように、「ECサイト構築・運用セキュリティガイドライン」は、一見難解に思えるかもしれませんが、ポイントを押さえて、自社の状況に合わせて優先順位をつければ、中小ECサイトの皆さんでも必ず実践できる「お店を守るための武器」になります。 大切なのは、まずガイドラインの重要性を理解し、IFTが提案する「優先度の高い5項目」から着手すること、そして「読んだだけで満足」「すべて完璧に」「一度で終わり」といった落とし穴を避け、継続的に取り組むことです。 「自社だけでは不安…」「もっと具体的なアドバイスが欲しい」と感じたら、ぜひ私たちIFTにご相談ください。 1000件以上の診断実績で培った専門知識と経験で、貴社のECサイトに潜む「見えない穴」を特定し、具体的な対策をご提案します。 まずは無料相談からお気軽にお問い合わせください。

医療情報ガイドラインを分かり易く解説!専門家が見るセキュリテイ対策のポイントと要点 | 脆弱性診断とは

医療情報ガイドラインを分かり易く解説!専門家が見るセキュリテイ対策のポイントと要点

「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第6.0版、4つの編に分かれていて、正直どこから読めばいいか分からない…」 「結局、うちの組織ではどの編の何に注目すればいいの?」 そんな疑問や不安を感じている医療機関の情報システムご担当者様も、きっと少なくないはずです。 2023年5月に新しくなったこのガイドライン、内容は多岐にわたります。 この記事では、複雑に思えるガイドライン第6.0版のポイントを絞り、「まず何をすべきか」という基本と、「専門家が見る重要ポイント」を分かりやすくお伝えします。 この記事を読んでわかること ガイドライン第6.0版の全体像と4つの構成編の役割 自組織の担当者が押さえるべき基本的なポイント セキュリティ専門家が指摘する、特に注意すべき実践的なポイント ガイドラインを効果的に活用するための具体的なヒント 医療情報ガイドラインの全体像と4つの構成編 医療情報システムの安全管理に関するガイドラインとは? 厚生労働省が定める「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」は、患者の大切な医療情報を安全かつ適切に守るための国の指針です。 医療情報システムの安全管理や関連法令(e-文書法等)への対応を、技術的・運用管理上の観点から示しています。 厚生労働省 医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第6.0版 2005年3月に初版が策定されて以来、技術の進展や制度改正に合わせて改定が重ねられ、最新版となる第6.0版が2023年5月に公開されました。 今回の改定では、以下の3つの大きな見直しが行われています。 第6.0版での主な変更点 構成の再編:本文を4つの編に分割し、読者ごとに遵守事項を明確化 技術事例の追加:Q&A等に現状選択可能な具体的技術例を追加 内容面の更新:近年のサイバー攻撃動向やクラウドサービス利用の普及を踏まえた安全管理措置の強化 対象となるのは、病院、診療所、薬局、訪問看護ステーション、介護事業者など、医療情報を扱うすべての組織です。 そして、医療情報システムの導入・運用・利用・保守・廃棄に関わるすべての方が読者となります。 【4編構成の全体像】 医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第6.0版 4編構成の全体像   01.概説編(Overview) まず、これを読もう!【全員向け】 ガイドライン全体の「地図」。基本的な考え方を解説。 02.経営管理編(Governance) トップの役割は?【経営層向け】 組織リーダーの責任と管理事項を規定。 03.企画管理編(Management) ルール作りと計画はどうする?【企画・管理者向け】 実務レベルでの体制整備と規程作成方法を解説。 04.システム運用編(Control) 現場での具体的な対策は?【運用担当者向け】 技術的・具体的なセキュリティ対策を詳述。 この4編構成により、それぞれの立場の方が自分に関係する部分を効率的に理解できるようになりました。 なぜ全ての医療機関で対応必須? 「うちは小規模だから…」「システムは委託しているから大丈夫」と思われるかもしれません。 しかし、2023年4月からのオンライン資格確認導入の原則義務化に伴い、多くの医療機関でネットワークセキュリティを含む対策遵守が求められています。 さらに、医療分野へのサイバー攻撃は深刻化しています。 2022年秋には、大阪府の大規模病院がランサムウェア攻撃を受け、電子カルテ等が利用不能となり長期間診療が停止する事態が発生しました。 出典:大阪急性期・総合医療センター 調査報告書 このような状況を踏まえ、規模の大小を問わず、すべての医療機関でガイドラインの内容を理解し、安全管理対策の実効性を高める必要があります。 ガイドライン対応のメリット 患者情報の機密性・完全性・可用性を確保し、医療サービスの継続性を保つ 法的要件(個人情報保護法、医療法施行規則等)を満たし、コンプライアンスを確保 サイバー攻撃や情報漏えいのリスクを低減し、組織の信頼性を維持 効率的かつ正確な医療行為を支援し、医療の質を向上 一方で、対応しない場合のリスクは計り知れません。 患者の生命・身体に直接影響する可能性があるだけでなく、法的責任や信用失墜といった組織存続に関わる問題にもつながりかねません。 医療情報ガイドラインで押さえるべきポイントはここ! 1. 概説編:まず全体像を掴むためのポイント3つ【全担当者向け】 概説編は、ガイドライン全体を理解する上での「地図」のような存在です。 全ての読者が最初に読むべき編となっており、医療情報システムの安全管理の基本的な考え方や全体構成が示されています。 特に以下の3つの柱を理解することが、この後の各編を読み解く上で非常に重要です。 情報セキュリティのCIAを押さえる 「関連法令」の理解をする 「リスク評価とリスク管理」 ①情報セキュリティの3本柱「CIA」 医療情報システムを守る上で最も基本的な考え方が、「機密性(Confidentiality)」「完全性(Integrity)」「可用性(Availability)」の3要素、通称「CIA」です。 機密性(C): 許可された人だけが情報にアクセスできること。患者さんのプライベートな情報が漏れないようにします。 完全性(I): 情報が正確で、勝手に書き換えられていないこと。医療情報が常に正しい状態であることを保証します。 可用性(A): 必要な時に、いつでも情報を使えること。診療に必要な情報にスムーズにアクセスできる状態を保ちます。 これら3つの要素は、組織の状況に合わせてバランス良く保つことが求められます。 概説編では、まずこのCIAの重要性を理解しましょう。 ②「関連法令」の理解をする 概説編では、「個人情報保護法」や「医療法施行規則(サイバーセキュリティを確保する義務が書かれています)」、電子データの保存に関する法律である「e-文書法」など、医療情報システムに関係してくる主な法律が紹介されています。 ガイドライン自体が、これらの法律を守ることを大前提として作られています。 そして、ガイドラインに書かれている対策項目の多くは、これらの法律で求められていることを「具体的に、医療現場ではどうすれば実現できるのか」を示してくれています。 法令の概要を理解することで、「なぜこの対策が必要なのか」という背景が明確になり、ガイドラインへの理解が深まります。 また、法令違反のリスクを避けるためにも、これらの知識は欠かせません。 ③リスク評価とリスク管理 これは、医療機関に潜む様々な「リスク」を認識し、対策を計画的に進めていくための考え方です。 リスク評価: まず、サイバー攻撃だけでなく、自然災害、システム障害、人的ミスや内部不正といった脅威を洗い出します。そして、これらの脅威が実際にどのような被害をもたらすか、その影響度と発生しやすさを評価します。 リスク管理 評価結果に基づき、どのリスクに優先的に対応すべきかを見極め、具体的な対策を実行します。全てのリスクに完璧に対応するのは難しいため、限られたリソースを効果的に使うための判断が重要になります。 形式的な対応ではなく、自分たちの組織にとって本当に重要なリスクは何かを考えることが、この「リスク評価とリスク管理」のポイントです。 IFT(脆弱性診断)専門家が見る!概説編の特に重要なポイント 脆弱性診断の専門家の視点から見ると、概説編で示されている「リスク評価に基づく対策実施」の考え方はとても大切です。 多くの組織では、「とりあえず対策を打つ」という場当たり的な対応になりがちですが、まずは自組織のリスクを正確に把握することが第一歩となります。 特に注目すべきは、「委託先事業者選定・契約時の責任分界・役割分担の明確化」です。 医療機関の多くはシステムの運用を外部に委託していますが、セキュリティ事故が発生した際の責任の所在が曖昧になりがちです。 契約時点で「誰が何に責任を持つか」を明確にしておくことで、セキュリティホールの発生を防げます。 また、ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)の構築・運用が推奨されている点も見逃せません。 これは単なる認証取得のためではなく、継続的な改善サイクルを回すことで、常に変化する脅威に対応できる体制を作ることが目的です。 2. 経営管理編:経営層が主導するセキュリティ体制づくり【経営層・管理者向け】 経営管理編では、医療機関のトップである経営層が、情報セキュリティに対してどのような責任を持ち、具体的に何をすべきかを定めています。 「セキュリティは情報システム部門の仕事」といった他人任せの姿勢ではなく、経営層自身がリーダーシップを発揮して、組織全体の安全を守る体制を築くことの重要性が強調されています。 情報セキュリティに関する基本方針の策定と宣言 推進体制の整備と責任者の任命 必要な経営資源(ヒト・モノ・カネ)の配分 リスクマネジメントプロセスの確立と監督 関係部署への指示、連携、および監督責任 ①情報セキュリティに関する基本方針を組織に示す 組織として「医療情報をどう保護し、安全に管理するか」という基本方針や目標を明確に定めます。 方針があいまいでは各部署がバラバラの方向を向き、実効性ある対策は打てません。 経営層が明確な旗を振ることで、初めて組織全体が同じ目標に向かえます。 ②推進体制の整備と責任者を任命する 策定方針を実行する具体的体制(情報セキュリティ委員会、CISOの任命等)と、各役割・責任範囲を明確にします。 誰が何に責任を持つかが不明確だと、問題発生時の対応が遅れたり、対策が中途半端になったりします。 各担当者が責任感を持って取り組める環境整備が不可欠です。 ③必要な経営資源(ヒト・モノ・カネ)を配分する 専門人材の確保・育成、セキュリティ製品・サービスの導入費用、対策時間など、必要な経営資源を計画的に確保・配分します。 「セキュリティは重要」と言うだけでは進まないため、予算や人員の裏付けがあって初めて対策は実行できます。 経営層の本気度を示すためにも、この資源配分は重要なメッセージとなります。 ④リスクマネジメントプロセスの確立と監督 組織全体の情報セキュリティリスクを定期的に評価し(リスクアセスメント)、その結果に基づき対策や優先順位を決定するプロセス(リスクマネジメント)を確立し、実施状況を監督します。 全てのリスクに完璧な対応は不可能なため、経営的視点で致命的リスクを見極め、重点対策を判断する必要があります。 ⑤関係部署への指示、連携、および監督をしっかりと 策定した方針・計画に基づき、企画管理部署やシステム運用部署へ経営層が具体的指示を出し、進捗や結果報告を受け、適切に監督します。 現場任せでは、経営方針と現場の対策にズレが生じるかもしれません。 経営層が現場状況を把握し、必要に応じ軌道修正やリソース追加を行うことで、初めて組織全体のセキュリティレベルが向上します。 IFT(脆弱性診断)専門家が見る!経営管理編の特に重要なポイント セキュリティの専門家から見て、経営層の関与で最も重要なのは「インシデント発生時の経営判断」です。 ランサムウェア攻撃を受けた際、身代金を払うか払わないか、システムを停止するかしないか、これらは現場では判断できない経営マターです。 事前に事業継続計画(BCP)を策定し、何かあったの際の判断基準や復旧優先順位を明確にしておくことが重要です。 「その時になったら考える」では、被害が拡大する一方です。 また、セキュリティ投資の考え方も重要です。 セキュリティ対策は「コスト」ではなく、将来への「投資」として捉え、適切な予算配分を行う必要があります。 例えば、脆弱性診断の結果、深刻な問題が見つかった場合、その対策に必要な予算を速やかに確保できる体制が求められます。 経営層は、定期的にセキュリティ状況の報告を受け、組織全体のリスクを把握しておく必要があります。 「専門的なことは分からない」では済まされません。 最低限、自組織のセキュリティレベルと主要なリスクについては理解しておくべきです。 3. 企画管理編:実務を回すための計画とルール整備【情報システム・セキュリティ担当者向け】 企画管理編は、医療情報システムの安全管理を実務として担当する方々、例えば情報システム部門の責任者やセキュリティ担当者が、日々の業務を円滑に進めつつセキュリティを確保するための「羅針盤」となる部分です。 経営層が打ち出した方針を受け、それを具体的な「行動計画」や組織内の「ルール」へと翻訳します。 そして、現場の隅々まで浸透させ、実際に機能する丈夫なセキュリティ体制を構築するという、とても重要な役割を担います。 いわば、組織のセキュリティ対策の「設計図」を描き、実務を回すための「エンジン」を整備する作業と言えるでしょう。 企画管理者が主体となって整備・推進すべき主な項目は、以下の5つに集約できます。 組織体制の構築と規程整備 リスクアセスメントと対策計画 人的セキュリティ対策の徹底 外部委託先の管理と情報ライフサイクル管理 インシデント対応体制の確立と継続的改善 ①組織体制の構築と規程を整備する 情報セキュリティを組織全体で進めるため、まず「誰が・どの範囲で・何をすべきか」という責任と権限を明確にした体制(例:情報セキュリティ委員会、各部門担当者、緊急連絡網)を構築します。 小規模でも兼任は可能ですが、最終責任者をはっきりさせることが、素早く対応できます。責任が曖昧だと対応が遅れるため、この体制構築は非常に重要です。 同時に、パスワード管理や情報の取り扱い、インシデント発生時の対応手順など、現場が迷わず行動できる具体的なルールを「情報セキュリティ対策規程」としてまとめます。 ただし、現実離れしたルールは守られず形骸化するため、自組織の実情に合った「守れる」ルール作りが肝心です。 ②リスクを理解し、賢明な対策を計画する 自組織の情報資産(電子カルテ等)に対し、どのような脅威(不正アクセス等)や脆弱性が存在するかを評価します。 その結果に基づき、優先的に対処すべきリスクを特定し、具体的な対策計画(何を、いつまでに、誰が、どう行うか)を策定します。 これにより、漠然とした不安を具体的なリスクとして捉え、セキュリティ投資の効果を最大限に高めることができます。 ③職員の意識向上によるセキュリティ対策の徹底 全職員に対し、セキュリティの重要性、遵守ルール、不審メールの見分け方、インシデント時の行動などを継続的に教育・訓練します。 職員一人ひとりの意識向上が、組織全体の防御力を底上げする最も効果的な手段の一つです。 「うっかりミス」や「油断」が大きな事故につながり得ることを理解してもらうために、この教育・訓練は欠かせません。 ④外部委託先の管理と情報全体の管理 システム開発・運用等を外部委託する場合、委託先が十分なセキュリティ対策を実施しているかを確認・管理します。 契約時にセキュリティ要件を明記し、定期的に遵守状況をチェックします。 委託先のインシデントは委託元にも影響するため、委託先任せにせず、しっかり管理することが求められます。 同時に、医療情報の作成・利用・保管・廃棄という一連の流れ(情報ライフサイクル)全体でセキュリティを確保します。 特に、データの適切なバックアップと、そこから確実にデータを復旧させる手順を確立すること、そして不要になった情報を安全に廃棄する方法などを定めておくことが重要です。 ⑤インシデント対応体制の確立と継続的改善 サイバー攻撃やシステム障害等のインシデント発生時、迅速かつ適切に対応するための具体的な手順(連絡体制、被害拡大防止策、復旧手順、報告等)を事前に準備します。 インシデントは「起こり得るもの」として備える姿勢が重要です。 いざという時に冷静かつ迅速に対応するためには、事前の計画と定期的な訓練が欠かせません。 そして、一度作った計画やルールは、組織の状況の変化や新たな脅威の出現に応じて定期的に見直し、改善していくという、継続的な取り組みが求められます。 IFT(脆弱性診断)専門家が見る!企画管理編の特に重要なポイント 脆弱性診断の観点から見て、企画管理編で特に重要なのは「リスクアセスメントの実施方法」です。 多くの組織では、リスクアセスメントが形式的なものになりがちですが、実効性のあるものにするためには、具体的な脅威シナリオに基づいた評価が必要です。 例えば、「ランサムウェアに感染した場合、どのシステムがどの程度の影響を受けるか」「内部不正により患者情報が流出した場合、どの程度の被害が想定されるか」といった具体的なシナリオを想定し、それぞれの発生可能性と影響度を評価します。 委託先のセキュリティレベルを定期的に評価し、必要に応じて改善要求を行う仕組みも必要です。 インシデント対応計画の策定では、「誰が」「いつ」「何を」するかを具体的に定めておきます。 特に初動対応は重要で、最初の1時間で何をすべきかが明確になっていないと、被害が拡大する恐れがあります。 定期的な脆弱性診断の実施計画も、この段階で組み込んでおくべきです。 年に1回程度は第三者による診断を受け、自組織のセキュリティレベルを客観的に評価することが推奨されます。 4. システム運用編:日々の安全なシステム運用のために【システム運用担当者・委託先向け】   システム運用編は、日々の運用現場で実施すべき具体的な技術的・運用的対策が示されています。 経営層や企画管理者からの指示に基づき、情報システムの安定稼働とセキュリティ確保を両立させるための、いわば「最前線」の活動内容が中心となります。 IT基盤の管理と厳格なアクセス統制 多層的なネットワーク防御と最新の脅威対策 プロアクティブな脆弱性管理 ログの徹底管理とリアルタイム監視 確実なデータ保護と事業継続計画 ①IT基盤の管理と厳格なアクセス統制 組織内のハードウェア(サーバー、PC、医療機器等)やソフトウェアといったIT資産を正確に把握し、管理台帳で一元管理します。 管理されていない機器はセキュリティリスクとなるため、守るべき対象の明確化は対策の第一歩です。 その上で、利用者ごとにIDを発行し、業務に必要な最小限のアクセス権限のみを付与(最小権限の原則)。 退職・異動者のアカウントは速やかに無効化します。 さらに、推測されにくい複雑なパスワード設定を義務付け、可能であれば多要素認証(MFA)を導入し、なりすましを徹底的に防ぎます。 誰が何にアクセスできるかをしっかりと管理し、必ず本人確認を行うこと。 これが、不正アクセスや内部不正リスクを減らす基本となります。 ②多層的なネットワーク防御と最新の脅威対策 ファイアウォールや不正侵入検知/防御システム(IDS/IPS)を適切に設置・設定し、不正な通信を監視・ブロックします。 重要なサーバー群と一般の職員が使う端末のネットワークは分ける(セグメンテーション)など、ネットワークの作りにも工夫しましょう。 ネットワークはサイバー攻撃の主な侵入経路であり、多層的な防御が重要です。 あわせて、全てのサーバー・端末にアンチウイルスソフト(EPP)を導入し、ウイルスの特徴を記録した定義ファイルを常に最新に保ちます。 不審なメールの添付ファイルは開かない、怪しいウェブサイトは見ないといった基本的な対策を職員に徹底させることも欠かせません。 ③システムの弱点を早期に発見し、対処する OSやソフトウェアに存在するセキュリティ上の欠陥(脆弱性)には、提供される修正プログラム(セキュリティパッチ)をすばやく確実に適用します。 また、定期的にシステム全体の脆弱性診断を実施し、未知の脆弱性や設定不備がないかを確認し、発見された問題点にはすぐに対処します。 脆弱性はサイバー攻撃の最大の標的であり、放置すれば攻撃者に「どうぞ」と扉を開けているようなものです。 常に最新情報を収集し、迅速に対応する体制が被害を未然に防ぐために不可欠です。 ④ログ収集・分析による異常検知 サーバー、ネットワーク機器、セキュリティ機器などが記録するアクセスログ、操作ログ、エラーログなどを適切に取得・保管し、不正アクセスやシステム異常、トラブルの兆候がないか、定期的に監視しましょう。 ログは、万が一トラブルが起きた時に原因を調べたり、被害の範囲を特定したりするために役立ちます。 それだけでなく、普段から監視することで攻撃の予兆を早めに見つけ、被害を未然に防いだり、最小限に抑えたりすることにもつながります。 ⑤定期的なバックアップ取得する 電子カルテデータなど業務継続に不可欠な重要データは、定期的にバックアップを取得します。 そのバックアップデータは、ランサムウェア攻撃などから隔離された安全な場所(オフライン環境や別ネットワーク上のストレージ等)に保管することが重要です。 また、実際にシステム障害やサイバー攻撃が発生した場合に、バックアップからすばやく確実にデータを元に戻せる手順を作り、定期的にその手順が本当に使えるかテストしましょう。 万が一の事態でも業務を早期に再開し、患者さんへの影響をできるだけ小さくするためには、信頼できるバックアップと、いざという時に本当に役立つ復旧計画が要となります。 IFT(脆弱性診断)専門家が見る!システム運用編の特に重要なポイント システム運用はセキュリティ対策の最前線です。 専門家が特に重視するのは、まず見落としやすい「設定の不備」をなくすこと。 高度な製品も、高度な製品も、初期設定のパスワードがそのまま、といった基本的なミスがあれば大きな弱点になります。 次に、インシデント早期発見のための「ログ監視とEDR」活用が重要です。 ログから不審な挙動をリアルタイム検知する仕組みや、高度な攻撃に対応するEDR導入が、被害拡大を防ぐ鍵となります。 また、サーバーやアプリだけでなく、ネットワーク機器も含めたシステム全体を一つの「プラットフォーム」として見て弱点を管理すること。 ネットワーク機器の不備が侵入のきっかけになることも多く、全体的な対策が必要です。 最後に、こうした対策を一度きりにせず、変化に対応するために「運用の中に脆弱性診断を組み込む」ことです。 年に一度の診断に加え、システム構成を変えた時など、環境が変わるたびに診断することで、新たなリスクの発生を防ぎ、セキュリティレベルを継続的に保つことにつながります。 ガイドライン活用を成功させるための3つの心得 ガイドライン第6.0版のポイントを見てきましたが、「何から手をつければ…」と迷うかもしれません。 そこで、ガイドラインを組織の力にするための「3つの心得」をご紹介します。 これらを意識すれば、セキュリティレベルを効率よく、かつ継続的に高めていけるはずです。 【心得1】最初から完璧を目指さない!自組織に合ったレベルで取り組む ガイドラインには300以上の対策項目があります。 全てを一度に完璧にこなそうとすると、現場は疲弊してしまいます。 これでは、かえって何も進まないことにもなりかねません。 まずは、厚生労働省が公開している「医療機関におけるサイバーセキュリティ対策チェックリスト」を活用し、自組織の現状を把握することから始めてみましょう。 その上で、優先度の高い基本対策から着手し、段階的にレベルアップしていくのが現実的です。 医療機関のサイバーセキュリティ対策チェックリスト (厚生労働省) 小さな診療所が大病院と同じレベルの対策を求められても無理があります。 まずはできることから確実に実行し、徐々にステップアップしていく姿勢が大切です。 【心得2】関係者を効果的に巻き込む!組織全体での意識共有 セキュリティは担当者だけの課題ではなく、経営層から現場スタッフまで、組織全体で取り組むべきものです。 ガイドラインが4編構成になっているのも、各々が役割を理解し責任を果たすためです。 まず経営層には、セキュリティの重要性と投資の必要性を理解してもらいましょう。 次に各部門長を巻き込み、自部門での具体的な取り組みを促します。 現場スタッフには、日々の業務でセキュリティを意識できるよう、分かりやすい教育が必要です。 また、セキュリティの話は専門用語が多く、敬遠されがちです。 分かりやすい言葉と具体例で説明し、全員の理解と協力を得ましょう。 【心得3】作ったルールは定期的に見直す!継続的な改善で変化に対応 ガイドライン自体が技術進展や新たな脅威に応じて改定されるように、自組織のセキュリティ対策も一度作ったら終わりではなく、定期的な見直しが必要です。 医療を取り巻く環境は常に変化します。 新たな攻撃手法、新技術の導入、法令改正などに対応するため、少なくとも年1回は対策を見直し、必要な改善を行いましょう。 また、万が一インシデントが発生した場合は、原因を分析し再発防止策を検討することが重要です。 他院の事例からも学び、自組織の対策に活かす姿勢が求められます。 ガイドラインだけでは不十分かも...潜む脆弱性を見つける脆弱性診断 ガイドラインに沿って対策を進めることは非常に重要ですが、実はそれだけでは十分とは言えません。 なぜなら、ガイドラインは「こうすべき」という枠組みを示すものであり、個々のシステムに潜む具体的な弱点までは発見できないからです。 医療機関が優先的に取り組むべき基本対策の一つとして、「定期的な脆弱性診断と迅速なパッチ適用」が挙げられています。 これは、ガイドライン遵守と並行して、専門家による診断が必要であることを示しています。 株式会社アイ・エフ・ティは15年以上の実績と1,000件を超える診断実績を持ち、医療情報システムの特性を深く理解した専門家が、お客様のシステムを丁寧に診断します。 自動診断ツールと専門家による手動診断を組み合わせたハイブリッド診断により、効率的かつ網羅的な診断を実現。 診断後は、分かりやすい報告書と具体的な改善提案により、着実なセキュリティ向上をサポートします。 まずは現状把握から始めてみてはどうでしょうか。 まとめ:医療セキュリティの継続的には専門家のサポートが最善です ここまで説明してきたように、医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第6.0版は、4つの編それぞれに重要なポイントがあり、自組織の役割に合わせて理解し、実践していくことが大切です。 最初から完璧を目指すのではなく、できることから着実に進め、組織全体で取り組み、継続的に改善していく姿勢が求められます。 ガイドラインへの対応は、決して楽な道のりではありません。 しかし、患者さんの大切な情報を守り、安心・安全な医療サービスを提供し続けるためには避けて通れない道です。 さらに、ガイドライン対応と合わせて定期的な脆弱性診断を実施することで、より確実なセキュリティ対策を実現できます。 まずは、貴組織の現状やお悩みについて、お気軽にご相談ください。 専門家が最適な診断プランをご提案します。

Webアプリケーション診断とは?その効果と必要・不要の見極め方を専門家が解説 | 脆弱性診断とは

Webアプリケーション診断とは?その効果と必要・不要の見極め方を専門家が解説

自社のWebサイトやサービスのセキュリティ、「本当に大丈夫?」と不安を感じていませんか? 「『Webアプリケーション診断』を耳にするけれど、具体的に何をするの?」 「費用はどれくらい?」 「そもそも、うちの会社にも必要なの?」 このような疑問や不安、もしかしたらあなたも感じていませんか? その有効な対策の一つが「Webアプリケーション診断」です。 この記事では、Webアプリケーション診断の基本からメリット、導入時に考慮すべき点、そしてどんな企業・サービスで特に必要性が高いのかを、分かりやすく解説していきます。 この記事を読めば、こんな疑問が解決します! Webアプリケーション診断って、そもそも何をするもの? 診断を受けると、どんなメリットがあるの? 導入する時に気をつけるべき点(費用・期間・注意点)は? うちの会社(サービス)には、本当に必要な診断なの? 逆に、診断の優先度が低いケースもある? Webアプリケーション診断とは? 基本を知ろう まず、「Webアプリケーション診断」がどのようなものなのか、基本を押さえておきましょう。 Webアプリケーション診断の目的と対象範囲 Webアプリケーション診断とは簡単に言うと、これは Webサイトやサービスを動かしているプログラム(アプリケーション)に潜む、セキュリティ上の弱点(脆弱性)を見つけ出すための検査 のことです。 情報漏洩、サイト改ざん、サービス停止につながるような設計上のミスやプログラムのバグを発見し、その危険度を評価することを目的に行われます。 具体的には、ネットショッピングの購入機能、会員サイトのログイン機能、お問い合わせフォームといった、ユーザーが操作する部分(Webアプリケーション)に対して、 攻撃者の視点からわざと不正な操作やデータを送り、問題が起きないかをテスト します。 ここで重要なのは、診断の対象が「Webアプリケーションそのもの」であるという点です。 OS(オペレーティングシステム)やサーバー機器の弱点を調べる「プラットフォーム診断」とは異なり、あくまでWeb上で動作するプログラムの安全性に特化した診断なのです。 プラットフォーム診断とWebアプリケーション診断の違いについて、もっと詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。 Webアプリケーション診断の診断項目 では、具体的にどのようにしてWebアプリケーションの弱点を見つけ出すのでしょうか? 診断は、 実際の「攻撃者」と同じ視点 で行われます。 つまり、悪意を持ってシステムを攻撃しようとする人の考え方やテクニックを模倣して、わざと不正な操作やデータを送り込み、アプリケーションが予期せぬ動作をしないか、情報が漏れたりしないかなどをテストするのです。 一般的には、 自動化された「診断ツール」 と、 経験豊富な専門家による「手動診断」 を組み合わせて行われます。 診断ツール: 既知の典型的な脆弱性のパターンを効率的にスキャンし、網羅的にチェックするのに役立ちます。 手動診断: ツールだけでは見つけにくい、アプリケーションの複雑なロジックの穴、設定ミス、認証・認可の不備、あるいは複数の手順を踏むことで初めて悪用可能になるような巧妙な問題点を、専門家が知識と経験に基づいて一つひとつ丁寧に検証していきます。 具体的には、以下のような多岐にわたる観点から、様々な項目をチェックしていきます。 観点(種別) 説明 主な確認項目例 入力値検証 ユーザーからの入力データ(フォーム、URLパラメータ等)が適切に処理されているか。不正な入力で予期せぬ動作をしないか。 クロスサイトスクリプティング(XSS) SQLインジェクション OSコマンドインジェクションディレクトリトラバーサル XML外部実体参照(XXE) SSRF 認証 ユーザーが本人であることを確認する仕組みは安全か。なりすましや不正ログインを防げているか。 ブルートフォース攻撃耐性 パスワードポリシー アカウントロック機構 多要素認証の実装不備 認証回避 認可(アクセス制御) ログイン後、ユーザーに許可された範囲の操作・情報にしかアクセスできないよう制御されているか。 不適切なアクセス制御(権限昇格など) 直接オブジェクト参照(IDOR) 機能レベルのアクセス制御不備 セッション管理 ユーザーのログイン状態(セッション)は安全に管理されているか。セッションIDの漏洩や乗っ取り(ハイジャック)を防げているか。 セッションIDの推測可能性・固定化 セッションタイムアウト セッションハイジャック対策 クロスサイトリクエストフォージェリ(CSRF)対策 出力処理・情報漏洩 アプリケーションからユーザーに返される情報に、意図しない機密情報やエラー詳細が含まれていないか。 エラーメッセージからの情報漏洩 デバッグ情報・コメント等の露出 不適切なエンコーディング 暗号化 パスワードや個人情報などの機密データが、保存時や通信時に適切に暗号化されているか。 機密情報の平文保存・通信 不適切な暗号アルゴリズムの使用 SSL/TLS設定の不備(証明書検証含む) セキュリティ設定 Webサーバーやアプリケーションフレームワーク等の設定は安全か。不要な機能が無効化されているか。 HTTPSの強制、HSTS設定 セキュリティヘッダ(CSP, X-Frame-Options等) 不要な情報の露出(サーバー情報等 Cookie属性(Secure, HttpOnly等) ファイルパーミッション ビジネスロジック アプリケーションの機能や業務フローそのものに、悪用可能な設計上の欠陥はないか。 機能の不正利用 パラメータ改ざんによる不正操作 競合状態(Race Condition) APIセキュリティ Webアプリケーションが利用するAPI(外部・内部)の認証・認可や入力検証は適切か。 API認証・認可の不備 不適切な入力検証 過度なデータ公開 レート制限の不備 上記は代表的な項目であり、診断対象やプランによって詳細は異なります。 このように、ツールと専門家の目を組み合わせることで、Webアプリケーションに潜む様々な種類のリスクを、より深く、多角的に洗い出していくのが、Webアプリケーション診断の具体的な進め方です。 Webアプリケーション診断が役立つのは、こんな場面 では、Webアプリケーション診断は、具体的にどのような場面で力を発揮するのでしょうか? 特に役立つ4つのケースを見ていきましょう。 ① サービス固有の弱点を見つけたい時 Webアプリケーション診断が特に有効なのは、OSやネットワークといった土台部分の一般的な診断では見つけにくい、 そのサービス(アプリケーション)ならではの脆弱性を発見したい 場面です。 サービス独自の機能や、認証、決済といった複雑な処理の部分には、どうしても設計ミスや実装の不備が潜みやすいものです。 Webアプリケーション診断は、まさにこのアプリケーション層に焦点を当てて検査するため、プラットフォーム診断などでは見逃されがちな サービス固有のリスク を的確に洗い出すのに役立ちます。 ② 攻撃者のリアルな視点で検証したい時 「もし自分が攻撃者だったら、どうやってこのサービスを攻略するか?」—— このように、 実際の攻撃者の考え方や手法を真似て、自社のサービスをテストしたい 場合にも、Webアプリケーション診断(特に専門家による手動診断)は非常に有効です。 自動ツールだけでは発見が難しい巧妙な脆弱性や、ビジネス上の処理手順の穴(ビジネスロジックの欠陥)などを探し出すことができます。 このような実践的なテストを通じて、 本当に危険度の高い問題点 を特定し、より効果的な対策を立てることに繋がるでしょう。 ③ 開発段階やリリース前にリスクを潰しておきたい時 新しいWebアプリケーションを開発している最中や、リリースを間近に控えている段階で、「潜在的なセキュリティ問題を事前に潰しておきたい」と考えるのは自然なことです。 Webアプリケーション診断は、まさにそのために役立ちます。 脆弱性を抱えたままサービスを公開・運用するのは非常に危険です。 診断によって 実際に被害が発生する前に問題点を発見し、修正する ことが可能になります。 これは、将来起こりうるインシデント対応にかかるコスト(復旧費用、賠償金、信用回復など)を考えれば、非常に価値のある「転ばぬ先の杖」と言えるでしょう。 早期に問題を発見し修正することは、結果的に開発全体の効率化にも貢献します。 ④ 監査対応や取引先への信頼性を示したい時 業界のセキュリティ基準(例えば、クレジットカード情報保護のためのPCI DSS)への対応が求められる場合や、取引先からセキュリティ対策の状況について説明を求められる場面でも、Webアプリケーション診断は力を発揮します。 第三者の専門機関による診断レポート は、自社のセキュリティ対策レベルを客観的に示す強力な証拠となります。 「専門家による診断を受け、見つかった問題点に適切に対処している」ことを具体的に示すことで、 監査基準への適合を証明したり、取引先からの信頼を得やすく なったりと、ビジネスを円滑に進める上で有利に働くことが期待できます。 Webアプリケーション診断導入を検討する際の注意点 Webアプリケーション診断は有効な対策ですが、導入にあたっていくつか注意しておきたい点もあります。 以下のケースに当てはまる場合は、期待通りの効果が得られなかったり、別の問題が生じたりする可能性も考えられますので、慎重な検討が必要です。 ① 予算が限られている場合 質の高い診断、特に専門家が手作業で行う診断(手動診断)には、それ相応の費用がかかります。 これは、診断に高度な専門スキルと多くの時間が必要になるためです。 したがって、 セキュリティ対策にかけられる予算が非常に限られている場合 は注意が必要です。 無理にコストを抑えようとして安価すぎる診断を選ぶと、表面的なチェックしかできず、肝心な脆弱性を見逃してしまう可能性があります。 診断は「予防のための投資」という側面が強いですが、その投資自体が難しい状況では、費用対効果を慎重に見極める必要があります。 まずは 診断範囲を重要な機能に絞る、あるいは他の対策(例えばWAFの導入など)を優先する といった検討も必要になるでしょう。 ② スケジュールに余裕がない場合 丁寧な診断プロセス、特に規模の大きなシステムや詳細な手動検査を含む場合、診断の準備から報告書の提出までには 数週間から1ヶ月程度の期間 を見込むのが一般的です。 そのため、 リリース日が迫っているなど、スケジュールに全く余裕がない場合 は注意が必要です。 診断には、品質を担保するために必要な時間というものがあります。 無理に期間を短縮しようとすれば、検査が不十分になる恐れがあります。 「とにかく早く形式的な結果だけ欲しい」という状況では、診断の十分な効果は期待できないかもしれません。 開発計画の段階で、診断のための期間を十分に確保しておく ことが理想です。 もし難しい場合は、診断内容を限定したり、リリース後の実施を検討したりする必要があるでしょう。 ③ ツール診断だけに頼りたい場合 自動診断ツールは効率的に検査を進められますが、それだけで 全ての脆弱性(特に、ビジネスロジックの欠陥や未知の脅威など)を発見できるわけではありません。 もし、 「ツールだけで手軽に済ませたい」とお考えの場合 は、特に注意が必要です。 ツールには限界があり、ツールの結果だけで「安全だ」と判断してしまうと、 重大なリスクを見逃してしまう危険性 があります。 ツールの特性を理解した上で補助的に活用するのは有効ですが、過信は禁物です。 もっとも確実性を高めるには、 専門家の目(手動診断)と組み合わせたハイブリッド診断 を推奨します。 もちろん、ツールにも様々な種類があり、その特性を理解した上で補助的に利用することは有効です。 ツールの種類や機能、選ぶ場合のポイントについてより詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。 ④ 「今回限り」の診断で終わらせるつもりの場合 Webアプリケーションを取り巻く脅威や環境は常に変化しています。 そのため、 一度診断を受けただけで、永続的な安全性が保証されるわけではありません 。 アプリケーションの改修や新たな攻撃手法の出現に対応するには、定期的なチェックが理想的です。 したがって、 「今回一度きりの診断で、今後は特に何も予定していない」と考えている場合 は、少し注意が必要です。 その診断の効果は一時的なものとなり、時間が経つにつれて新たなリスクが発生する可能性があります。 継続的なセキュリティ対策という観点からは、 単発の診断をどのように位置づけ、その後の変化にどう対応していくか をあらかじめ考えておくことが大切になります。 Webアプリ診断の必要性が特に高い企業・サービス では、具体的にどのような企業やサービスで、Webアプリケーション診断の必要性が高いと言えるのでしょうか? ご自身の状況と照らし合わせてみてください。 Webサービス運営企業 ECサイト SaaS(Software as a Service) オンラインバンキング 予約サイト 会員制サイト オンラインゲーム など インターネット経由で顧客にサービスを提供している企業は、診断の優先度が高いと言えます。 不特定多数のユーザーがアクセスし、機能も多岐にわたるため攻撃対象になりやすく、万が一被害に遭った場合の影響も甚大 です。 サービスを安全に提供し続けるためには、定期的な脆弱性チェックが不可欠でしょう。 アプリケーションの更新頻度が高い企業 アジャイル開発などで頻繁に機能追加や改修を行っているWebアプリケーションも、診断の重要性が高まります。 変更を加えるたびに、意図せず新たな脆弱性を作り込んでしまうリスクが高まるためです。 リリース前や定期的な診断によってリスクを早期に発見・対処し、スピーディーな開発とセキュリティ確保の両立を目指しましょう。 顧客データを扱う企業 個人情報 ログイン情報(ID・パスワード) 決済情報(クレジットカード番号など) 上記のような機密性の高い情報を扱っている場合、Webアプリケーション診断は必須レベルで検討すべきです。 万が一これらの情報が漏洩した場合、顧客への直接的な被害はもちろん、企業の信用失墜、損害賠償、法的な責任追及など、事業の存続に関わるほどの深刻な損害に繋がる可能性があります。 顧客の大切な情報を守り、信頼を維持するためにも、最優先で対策すべき領域と言えます。 セキュリティインシデントが心配な企業 過去にセキュリティインシデント(事故)を経験したことがある。 同業他社での被害事例を見て、自社にもリスクを感じている。 経営層からセキュリティ強化の指示が出ている。 現状のセキュリティ対策に、漠然とした不安を感じている。 このように具体的な懸念がある場合も、Webアプリケーション診断は有効な第一歩となります。 診断を受けることで、自社が抱えるリスクを客観的に把握できます。 「何が危ないのか分からない」という状態から、「ここに具体的な問題がある」という認識に変わることで、的確な対策を講じることが可能になります。 これらのケースに当てはまる場合は、Webアプリケーション診断の導入を真剣に検討することをお勧めします。 また、 スマートフォン向けのアプリも提供している場合 は注意が必要です。 スマホアプリが通信するAPI(サーバー側のプログラム)や、アプリ自体の脆弱性が、Webサービス全体への攻撃の「入り口」となる可能性もあります。 そのため、 スマートフォンアプリに特化した「スマートフォンアプリケーション診断」 を別途導入することも強くお勧めします。 他の対策を優先した方が良いケースも 一方で、Webアプリケーション診断が必ずしも最優先の対策ではない、あるいは他の対策を検討した方が良いケースもあります。 ただし、これは「絶対に不要」という意味ではなく、 「優先度が低い可能性がある」 という視点でご覧ください。 OSやネットワーク設定の不安が大きい場合 懸念の中心がWebアプリケーションそのものではなく、 サーバーOS、ミドルウェア(Webサーバーソフトなど)、ネットワーク機器の設定不備や既知の脆弱性 にある場合、Webアプリケーション診断は直接的な解決策になりにくいことがあります。 この場合は、OSやネットワーク層、ネットワーク機器を対象とする「プラットフォーム診断」を優先的に検討する方が効果的でしょう。 非常にシンプルなアプリケーションを運用している場合 HTMLとCSSだけで作られた、動きのない静的なWebサイト や、 利用者がごく一部の社員に限られる、非常にシンプルな社内ツール など、ユーザーからの入力や動的な処理がほとんどない場合、Webアプリケーション特有の脆弱性リスクは相対的に低いと言えます。 このようなケースでは、高額な診断費用に見合う効果が得られない可能性も考えられます。 ただし、以下の点には注意が必要です。 サイトを動かしている Webサーバー自体の脆弱性 は別途確認が必要です(これはプラットフォーム診断の範囲です)。 将来的に機能を追加・拡張する予定 があれば、そのタイミングで診断を検討しましょう。 CMS(特にWordPress)を利用している場合 は注意が必要です。CMS本体や、追加したプラグインの脆弱性が攻撃の標的になりやすいため、診断の必要性が高まります。 (※WordPressをご利用の場合、本格的な診断の前に、まずはWordPress向けの無料脆弱性診断ツールで状況を確認してみる、という方法もあります。詳しくは以下の記事をご覧ください。) これらの点を踏まえ、CMSを使っていなくて機能拡張の予定もないなど、 「アプリケーション部分のリスクが極めて低い」と明確に判断できる場合 に限っては、診断の優先度を下げるという選択肢もあり得ます。 脆弱性修正のための人員や時間が確保できない場合 診断で脆弱性が見つかったとしても、それを修正するための開発リソース(人員、時間)を確保できなければ、診断の効果は半減してしまいます。 「脆弱性が見つかっても直せない」という状態では、診断を行う意味が薄れてしまいます。 このような場合は、 WAF(Web Application Firewall)の導入など、比較的安価で導入できる他の対策を優先する。 診断範囲を特に重要な機能に絞り込み 、コストと修正にかかる作業量を抑える。 OSのアップデートや不要なサービスの停止など、基本的なセキュリティ対策を徹底する。 といった代替案を検討しましょう。 診断を依頼する前に、「見つかった問題を修正する体制が整っているか」を現実的に評価することが重要です。 これらのケースでは、診断導入を急がず、自社の状況を客観的に評価し、他の選択肢も含めて最適な対策を検討することをお勧めします。 もし判断に迷う場合は、専門家へ相談してみるのが良いでしょう。 まとめ:自社に合ったセキュリティ対策の第一歩を 今回は、Webアプリケーション診断について、その基本から有効な場面、注意点、そして必要性の判断基準まで解説しました。 この記事のポイント Webアプリの脆弱性は、 深刻なリスク に繋がる可能性。 診断は、アプリ固有の弱点を 攻撃者視点 で発見し、 被害を未然に防ぐ 有効な手段。 コスト・時間 は必要だが、将来の損失を防ぐための「投資」と捉えるべき。 機密情報取扱、EC/金融系、更新頻度の高いアプリ では特に推奨。 OS/ネットワーク中心の懸念、シンプルなアプリ、修正リソースがない場合は、 他の対策を優先 する判断も。 重要なのは、Webアプリケーション診断が万能ではないことを理解し、自社の状況(サービスの特性、抱えているリスク、利用できるリソースなど)に合わせて、最適な対策を選択・実行していくことです。 「うちのサービスの場合、Webアプリ診断は本当に必要?」 「具体的な費用感を知りたい」 「プラットフォーム診断とどっちが良いか、専門家の意見を聞きたい」 もしこのようにお考えでしたら、ぜひ一度、弊社アイ・エフ・ティにご相談ください。 お客様の状況を丁寧にお伺いし、経験豊富な専門家が、最適な診断プランのご提案や概算費用、他の診断との比較など、具体的なアドバイスをさせていただきます。 まずは情報収集として、お気軽にご利用ください。

プラットフォーム診断とは? 自社に必要か見極める判断基準と効果・注意点 | 脆弱性診断とは

プラットフォーム診断とは? 自社に必要か見極める判断基準と効果・注意点

自社のサーバーやネットワーク機器といったITインフラのセキュリティ、「Webアプリケーション診断だけ」で本当に安心できるでしょうか。 十分に目が届きにくいシステムの「土台」部分に潜む脆弱性が、 重大なインシデントを引き起こすケースもしばしば見られます。 そこで大切になるのが、OSやミドルウェア、ネットワーク機器の安全性をチェックする『プラットフォーム診断』です。 この記事では、プラットフォーム診断とは何か、その効果や受ける際の注意点、そして自社にとって本当に必要かどうかの判断基準まで、専門家の視点からわかりやすく解説します。 この記事を読むことで、こんな疑問が解決します プラットフォーム診断とは、具体的に何をするものか。 診断を受けることで、どのような効果が期待できるか。 診断を受ける際に、考慮しておきたい点は何か。 自社にとって、プラットフォーム診断は必要なのか。 逆に、診断の優先度が低いのはどのようなケースか。 プラットフォーム診断とは? 「プラットフォーム診断」という言葉は耳にしたことがあっても、具体的に何を行い、なぜそれが大切なのか、まだはっきりとイメージできていない方もいらっしゃるかもしれません。 ここではまず、プラットフォーム診断の基本的な考え方についてご説明します。 プラットフォーム診断の目的と診断対象 プラットフォーム診断とは、サーバーやOS、ネットワーク機器といったITインフラの「土台」に潜むセキュリティ上の弱点を特定するための、いわば「精密検査」です。 その役割は、大きく以下の二つに分けられます。 一つは、インフラ基盤に隠れた「弱点」を専門家の目で発見することです。 例えば、 古いソフトウェアや既知の脆弱性の放置。 不適切な設定(開かれた通信ポート、緩いアクセス権限など)。 推測されやすいパスワードや初期設定パスワードの使用。 不要なサービスの稼働。 セキュリティパッチの適用漏れ。 といった、攻撃の糸口となり得る問題点を、隅々までチェックします。 そしてもう一つは、発見された弱点が実際にどの程度の危険性を持つのかを評価し、「どのように改善すれば安全性を高められるか」という具体的な対策を示すことです。 これにより、攻撃の糸口をなくし、システム全体の防御力を高め、皆様の安定した事業継続を支えます。 この診断でチェックするのは、皆様のアプリケーションが日々稼働している、まさにその基盤となる部分です。 具体的には、以下のようなものが対象となります。 カテゴリ 具体的な対象例 サーバー • Webサーバー • データベースサーバー • メールサーバー • ファイルサーバー • Active Directoryサーバー OS(オペレーティングシステム) • Windows Server • Linux • macOS ミドルウェア • Apache, Nginx • IIS(Webサーバーソフト) • MySQL • PostgreSQL(データベースソフト) ネットワーク機器 • ルーター • ファイアウォール(FW) • VPN装置 • ロードバランサー(LB) • 無線LANアクセスポイント(AP) このようにプラットフォーム診断は、システムの基盤となる幅広い要素について、設定やバージョン、既知の脆弱性の有無などを調査し、潜むリスクを洗い出してインフラ全体の安全性を評価する上で役立ちます。 プラットフォーム診断の診断項目 プラットフォーム診断では、システムの「土台」であるインフラ基盤のセキュリティを多角的に評価するため、非常に幅広い項目をチェックします。 これは、攻撃者が狙うポイントは一つとは限らず、OSの脆弱性、ネットワーク設定の不備、あるいは認証の甘さなど、様々な要素を組み合わせて侵入を試みてくるためです。 一部分だけを対策しても他の部分に穴があれば意味がありません。 だからこそ、基盤全体を網羅的に検証し、あらゆる角度からのリスクを洗い出すことが求められます。 主に、以下のような観点で確認を行います。 観点(カテゴリ) 主な確認項目例 ネットワーク通信とサービス (ポートスキャン、サービス特定) • 開放されている通信ポート(TCP/UDP)の特定 • 稼働中サービス(Web, Mail, DNS, FTP等)の種類とバージョン確認 • 不要または危険なサービスの稼働有無 OS・ミドルウェアの健全性 (脆弱性検査) • OS・ミドルウェアのバージョン確認とパッチ適用状況 • 既知の脆弱性情報(CVE等)との照合 • サポート切れOS・ソフトウェアの使用有無 認証・アカウント管理 (アカウント検査) • デフォルトアカウント・共有アカウントの有無 • パスワードの強度・ポリシー・初期設定の確認 • アカウントロックアウト設定 • 不適切な認証許可(例:パスワード認証SSH, Anonymous FTP, Nullセッション) ネットワークサービス固有の問題 • 特定サービス(DNS, Mail, NTP等)における危険な設定(例:ゾーン転送、第三者中継、時刻同期不備) • データベースサーバーへの外部からの直接アクセス可否 ネットワーク機器固有の問題 (FW, VPN, ルータ等) • ルーター、FW、VPN等のファームウェアバージョンと既知脆弱性 • 管理インターフェースへのアクセス制御 • ファイアウォールのルール(ポリシー)の適切性 • VPN設定(暗号化強度、認証方式等)の安全性 設定・構成の安全性 (セキュリティ設定) • ファイル・ディレクトリのアクセス権限 • 重要なログ(監査ログ等)の取得・管理設定 • 不要な機能・ソフトウェアの有効化状況 • 特定サービス(DNS, Mail等)における危険な設定(例:ゾーン転送、第三者中継) 通信の安全性 • SSL/TLSのバージョンと暗号強度の適切性 • サーバー証明書の有効性・信頼性 • HTTPSの強制設定(HSTS等) 不正活動の痕跡 • 不審な通信・プロセス・ファイルの存在 • バックドア・マルウェア等の設置兆候 これらの診断項目は、あくまで代表的なものです。 実際には、お客様のシステム環境や解決したい課題に応じて、診断内容を柔軟にカスタマイズいたします。 具体的な診断内容について疑問をお持ちの場合は、専門家に相談してみることをおすすめします。 プラットフォーム診断が効果を発揮する状況 プラットフォーム診断は、特に以下のような状況でその真価を発揮します。 ①自社のITインフラ全体における弱点を洗い出したい時 プラットフォーム診断は、自社のサーバーやネットワーク機器など、ITインフラ全体に潜むセキュリティ上の弱点を「見える化」するのに役立ちます。 管理する機器が多い、構成が複雑化している、といった環境では、「どこに」「どのようなリスク」があるのかを正確に把握するのは難しいものです。 診断では、これまで気づかなかった弱点や、管理が行き届いていない古いシステムが見つかることもあります。 そうした発見で、システム全体のどこが攻撃されやすいか、リスクの全体像を把握でき、対策を立てやすくなります。 ②サイバー攻撃の入り口を減らしたい サイバー攻撃の多くは、システムの弱点を狙ってきます。 プラットフォーム診断でOSやミドルウェアの既知の弱点を見つけ、修正したり、不要な機能を止めたりすることで、攻撃者が侵入に使う「入口」を効果的に減らすことができます。 過去には、OSやソフトウェアの古い弱点が原因で、大きな被害につながったサイバー攻撃もありました。 プラットフォーム診断は、このような見落としやすい弱点が放置されていないかを確認し、被害を未然に防ぐことにつながります。 Webアプリケーションの対策と合わせると、さらに万全です。 ③状況に合わせて診断方法を選びたい場合 プラットフォーム診断には、企業の状況や目的に合わせて診断方法を選べるというメリットもあります。 主に「リモート診断」と「オンサイト診断」の二種類があります。 項目 リモート診断 オンサイト診断 診断アプローチ インターネット経由 お客様の社内ネットワーク 主なメリット 手軽に始めやすい コストを抑えやすい 社内環境を詳しく調査 より深い設定も確認 適したケース まず外部からのリスクを知りたい コストを抑えたい 社内も含め詳細に把握したい 認証対応などで必要 「まずは外部から見えるリスクだけチェックしたい」ならリモート診断、「社内システム全体を詳しく見たい」ならオンサイト診断、といったように選択できます。 ④セキュリティ対策を社内外に証明したい時 プラットフォーム診断を実施し、対策を行うことは、社内外からの信頼を高める上でも大切です。 取引先からセキュリティ対策状況の提示を求められたり、法令やガイドラインで診断が推奨されたりするケースが増えています。 プラットフォーム診断の報告書は、自社の対策レベルを示す客観的な証明として役立ちます。 また、利用者に対して「第三者による診断済み」と示すことで、サービスの安全性への信頼を高める効果も期待できます。 プラットフォーム診断を受ける際に考慮すべきケース プラットフォーム診断には多くのメリットがありますが、導入を検討する際には、次のような点も知っておくと良いでしょう。 診断範囲が広くなることがある プラットフォーム診断は、システムの基盤全体を対象とすることが多いため、調査範囲が広くなることがあります。 特定の狭い範囲だけをパッと診断したい、という場合には、少し時間がかかることがあります。 スムーズに進めるためには、事前に診断対象を明確にするなどの準備が必要です。 もし手軽さやスピードを重視する場合は、診断範囲を絞れるか、またはWebアプリケーション診断など他の方法が適しているか、診断会社と相談すると良いでしょう。 費用と準備が必要になる システムの「土台」を網羅的に調べるため、診断範囲が広くなりがちで、それに伴い費用も比較的高くなることがあります。 限られた予算内で対策を進めたい場合は、コスト面で検討が必要になるかもしれません。 また、診断には対象情報の提供など、社内での準備も必要です。 予算に限りがある場合は、診断会社に相談し、予算内で最も効果的なプランを検討することが大切です。 診断後の分析・対策に専門知識が必要な場合がある 診断報告書には、OSやネットワークに関する専門的な情報が含まれます。 内容を理解し、対策を進めるにはOSやネットワークに関する専門知識が求められます。特に修正作業は、他のシステムへの影響も考える必要があります。 もし社内に専門家がいない場合、報告書の内容を十分に活用できません。 そのため、報告内容の説明や対策のアドバイスなど、診断後のフォローが充実している診断会社を選ぶことが、大切になります。 プラットフォーム診断が向いている企業・サービス プラットフォーム診断は、特に次のような場合に導入効果を発揮しやすいと言えます。 大規模なITインフラを運用している クラウドとオンプレミス環境(自社運用環境)を併用している ネットワーク全体のセキュリティを強化したい 法令や規制で厳格なセキュリティが求められる 以下で、それぞれのケースについて詳しく見ていきましょう。 ① 大規模なITインフラを運用している 社内に多くのサーバーを設置している、複数の拠点でシステムを運用しているなど、管理対象となるITインフラの規模が大きい場合、プラットフォーム診断は有効です。 インフラが広範囲にわたると、全体のリスクを把握しきれないことがあります。 診断によって、管理しているサーバーやネットワーク機器に潜む弱点を効率よく発見できます。 ② クラウドとオンプレミス環境(自社運用環境)を併用している AWS、Azure、GCPなどのクラウドサービス(特にIaaSのようにOS以上の管理が必要なもの)と、自社で管理するオンプレミス環境(自社運用環境)を組み合わせて利用している場合も、診断の重要性が高まります。 オンプレミス部分はもちろん、クラウド環境におけるOSレベル以上の設定・管理は自社の責任範囲となるため、プラットフォーム診断によるチェックが効果的です。 環境が混在すると管理が複雑になりやすいので、診断によって全体のセキュリティレベルを確認するのが良いでしょう。 ③ ネットワーク全体のセキュリティを強化したい ファイアウォールやVPN装置といった外部との境界だけでなく、社内ネットワークも含めた全体の安全性を高めたいと考えている場合にも、プラットフォーム診断は適しています。 外部からの侵入経路だけでなく、内部ネットワークに存在する設定ミスや脆弱性が、被害拡大の原因となることもあるためです。 診断では、ネットワーク機器の設定や状態を広範囲にチェックし、内外両面からのセキュリティリスクを減らすことにつながります。 ④ 法令や規制で厳格なセキュリティが求められる 金融、医療、重要インフラ関連など、特定の業界ルールや法律、あるいは取引先からの要求によって、高度なセキュリティ対策や定期的な診断が必須な場合、プラットフォーム診断はその要件を満たす手段となります。 診断結果の報告書は、自社がインフラレベルで適切なセキュリティ対策を行っていることを示す客観的な証明として役立ちます。 プラットフォーム診断の優先度が低い企業・サービス 一方で、すべての企業やシステムにプラットフォーム診断が必要というわけではありません。 状況によっては、費用対効果が見合わなかったり、他の診断を優先すべきだったりするケースもあります。 プラットフォーム診断が必ずしも最適とは言えない、あるいは不要と考えられる代表的なケースもご紹介します。 クラウドサービス中心で、自社管理のインフラが少ない場合 業務システムの多くをクラウドサービス(特にSaaSやPaaSと呼ばれる、インフラ管理をお任せできるタイプ)で利用しており、自社でサーバーなどをほとんど管理していない場合、プラットフォーム診断の必要性は低くなります。 これは、インフラの管理・セキュリティ対策の多くをクラウドサービス提供者が担っているためです。 この場合は、クラウドの設定やWebアプリケーション自体の診断(Webアプリケーション診断など)を優先する方が効果的です。 ※ただし、自社でOSレベルから管理する仮想サーバー(IaaS)を利用している場合は、プラットフォーム診断の対象となることがあります。 管理システムが少なく、リスクも比較的小さい場合 自社で管理しているサーバーが数台程度と少なく、かつ取り扱う情報の重要度もそれほど高くない場合は、プラットフォーム診断のコストが見合わない場合もあります。 診断には費用がかかるため、まずは基本的なセキュリティ対策(OSの更新、パスワード管理など)を自社で確実に行うことを優先した方が良いでしょう。 Webサイトやアプリのセキュリティが最優先課題の場合 ビジネス上のリスクが、主にWebサイトやWebアプリケーションの弱点にあると見込まれる場合は、プラットフォーム診断よりも先に「Webアプリケーション診断」を優先する方が望ましいです。 例えば、ECサイトや会員サイトなど、Web経由での情報漏洩リスクが特に高いと考えられるケースです。 このような場合は、まずWebアプリケーション自体のセキュリティを強化することが最も効果的です。 まとめ:自社のインフラの安全にはプラットフォーム診断を この記事では「プラットフォーム診断とは」何か、その基本から効果、注意点、向き不向きまで解説しました。 サーバーやOS、ネットワーク機器といったITインフラの「土台」に潜む弱点を見つけ出す大切さをご理解いただけたかと思います。 自社の状況に合わせて必要性を判断し、最適な診断方法を選び、確実なセキュリティ対策を進めましょう。 株式会社アイ・エフ・ティは、15年以上の経験と1,000件超の実績を持つ専門家集団です。 高精度な診断ツールと熟練エンジニアによる手動診断を組み合わせ、「高品質ながらリーズナブル」なプラットフォーム診断をご提供。 診断後の丁寧な報告・改善提案まで、お客様のインフラ強化をトータルでサポートします。 まずは、お客様の状況に最適な診断プランについて、専門家に相談してみませんか。 サービス詳細や無料相談は、お気軽にお問い合わせください。

5分でわかる!脆弱性診断ガイドライン、どれを選ぶ?9種類の特徴を比較解説 | 脆弱性診断とは

5分でわかる!脆弱性診断ガイドライン、どれを選ぶ?9種類の特徴を比較解説

「脆弱性診断ガイドライン」は数多く存在し、どれを選べば良いのか、自社に合うものはどれか、判断に迷うことはありますよね。 この記事では、企業のWeb担当者やセキュリティ初心者の方に向けて、主要な脆弱性診断ガイドライン9種類を徹底比較します。 それぞれのガイドラインについて、「目的」「内容」「対象」を簡潔にまとめ、活用方法を分かりやすく解説。 ガイドライン利用時の注意点も解説しています。 ガイドラインの概要を把握し、自社に最適なものを選ぶための判断材料として活用いただけます。 脆弱性診断ガイドラインとは? 脆弱性診断ガイドラインは、いうなれば、Webシステムやアプリケーションに潜む弱点を見つけ出し、対策を立てるための手引きです。 政府機関や業界団体などの公的機関が作成しているので信頼性が高く、診断の手順、使うツール、弱点の評価基準などが体系的にまとめられています。 ただし、ガイドラインは、最新の攻撃手法やセキュリティ技術に対応するために、定期的に更新されるのが一般的です。 常に最新の情報を確認しながら利用することが大切です。 ガイドライン一覧(政府機関・業界別・技術基準) まずは、今回取り上げる9種類のガイドラインを、3つの分類で一覧表にまとめました。 分類 ガイドライン名 主な対象・活用場面 政府機関 ① 政府情報システムにおける脆弱性診断導入ガイドライン(デジタル庁) 公的機関、金融機関、ECサイトなど、高度なセキュリティが求められるシステム ② 工場システムにおけるサイバー・フィジカル・セキュリティ対策ガイドライン(経済産業省) 製造業の工場システム、電力・ガスなど社会インフラ 業界別 ③ 自動車産業サイバーセキュリティガイドライン(JAMA/JAPIA) 自動車メーカー、部品メーカー、コネクテッドカーや自動運転車に関連するサービス ④ ECサイト構築・運用セキュリティガイドライン(IPA) ECサイトを構築・運営する事業者、カード決済など機密情報を扱うオンラインビジネス全般 ⑤ 地方公共団体のための脆弱性対応ガイド(IPA) 地方公共団体、住民情報を扱う公共施設や行政システム ⑥ 制御システムのセキュリティリスク分析ガイド(IPA) 重要インフラ(電力、ガス、水道など)、工場・プラントの制御システム 技術・セキュリティ基準 ⑦ 情報セキュリティ早期警戒パートナーシップガイドライン(IPA/JPCERTなど) ソフトウェアベンダー、Webサービス提供事業者、脆弱性情報を管理・運用する全ての企業 ⑧ 安全なウェブサイトの作り方(IPA) Webアプリケーション開発者、セキュリティ担当者、Webサイト運用チーム ⑨ Webアプリケーション脆弱性診断ガイドライン(JNSA) 脆弱性診断を実施する企業や診断サービスを提供するベンダー、診断技術を学びたい技術者 各ガイドラインの「目的」「内容」「対象」と、活用方法については、この後詳しく見ていきましょう。 政府機関の脆弱性診断ガイドライン ① 政府情報システムにおける脆弱性診断導入ガイドライン(デジタル庁) 目的:政府機関のシステムに脆弱性診断を取り入れ、高い水準のセキュリティを確保する 内容:自動診断ツールと手動診断を組み合わせる方法、報告書の作成手順、内部統制の仕組みなどを具体的に示す 対象:公的機関、金融機関、ECサイトなど、高度なセキュリティ基準が求められるシステム 公的機関向けのガイドラインですが、自治体や大企業でも活用しやすい内容です。 厳格な体制づくりや監査への対応を意識しているため、高い信頼性を求める企業が、自社の環境に合わせて取り入れるケースも多く見られます。 参考:政府情報システムにおける脆弱性診断導入ガイドライン ② 工場システムにおけるサイバー・フィジカル・セキュリティ対策ガイドライン(経済産業省) 目的:製造業の工場や社会インフラのシステムをサイバー攻撃から守り、操業停止のリスクをできる限り小さくする 内容:OT(Operational Technology)環境での脆弱性診断の方法、サイバー・フィジカル両面でのリスク評価のやり方を提示 対象:電力・ガスなどのインフラ企業、工場システムを持つ製造業全般 ITと制御系システムが連携する現場では、セキュリティ対策が不十分だと、生産ラインの停止や社会的な影響が出る可能性があります。 このガイドラインは、危険を予測し、事前に対策を立てるための指針です。 参考:工場システムにおけるサイバー・フィジカル・セキュリティ対策ガイドライン 業界別脆弱性診断ガイドライン ③ 自動車産業サイバーセキュリティガイドライン(JAMA/JAPIA) 目的:コネクテッドカー(※)や自動運転技術へのサイバー攻撃のリスクを下げる 内容:車載システムや外部との通信部分の脆弱性診断、ソフトウェア更新(OTA)の安全確保、サプライチェーン全体の管理について触れる 対象:自動車メーカー、部品メーカー、車載ソフトウェア開発企業 ※コネクテッドカー:スマートフォンと連携したり、自動でソフトウェア更新を行う車 最近の自動車は、インターネット接続機能や高度な電子制御が普及し、サイバー攻撃を受ける可能性も高まっています。 このガイドラインでは、車両の一生を通じたセキュリティ対策が大切だと示しており、サプライチェーンの管理にも役立ちます。 参考:自動車産業サイバーセキュリティガイドライン ④ ECサイト構築・運用セキュリティガイドライン(IPA) 目的:ECサイトでの不正アクセスや情報漏えいを防ぎ、安全なオンライン決済を実現する 内容:Webアプリケーション脆弱性診断、クレジットカード情報の保護、運用時のセキュリティルール作りなどをカバー 対象:オンラインショップ運営者全般(中小企業から大企業まで) クレジットカード情報や個人情報を取り扱うECサイトは、常に攻撃者に狙われやすい状態です。 このガイドラインは、すぐに役立つ脆弱性診断の項目と運用のルールを示しており、EC事業者が最低限やるべき対策を網羅しています。 必読のガイドラインと言えるでしょう。 参考:ECサイト構築・運用セキュリティガイドライン ⑤ 地方公共団体のための脆弱性対応ガイド(IPA) 目的:地方公共団体が脆弱性を見つけたとき、初期対応からリスク評価までをスムーズに行う 内容:大切な住民情報を守るためのセキュリティ体制、職員や管理職への報告の流れ、ベンダーとの連携のポイントを説明 対象:自治体、公共施設、住民情報を扱う行政システム 地方公共団体は多くの個人情報を抱えており、もし情報が漏れたり、書き換えられたりしたら、住民の生活に大きな影響が出るかもしれません。 このガイドラインでは、脆弱性が見つかったときの責任の分担や連絡の手順をはっきりさせ、組織全体で対応できる力を高めるのに役立ちます。 参考:地方公共団体のための脆弱性対応ガイド ⑥ 制御システムのセキュリティリスク分析ガイド(IPA) 目的:工場やインフラなどの制御システムを狙ったサイバー攻撃を想定し、リスクを体系的に分析する 内容:資産ベースと攻撃シナリオの両面から脆弱性を見つけ出し、対策の優先順位を決めるやり方を解説 対象:電力、ガス、水道などのライフライン事業者、大規模プラント運営企業 制御システムは、普通のITシステムとは違い、止めることが難しいという特徴があります。 このガイドラインでは、安全であることと、問題なく使えることの両方を考えたリスク評価のやり方を提示しています。 インフラ企業には欠かせない資料です。 参考:制御システムのセキュリティリスク分析ガイド 第2版 技術・セキュリティ基準 ⑦ 情報セキュリティ早期警戒パートナーシップガイドライン(IPA/JPCERTなど) 目的:脆弱性情報を早く共有し、開発者・発見者・利用者がうまく連携し、被害をできるだけ小さくする 内容:脆弱性情報の扱い方、パッチ公開のタイミング、責任分担などの指針を提示 対象:ソフトウェア開発企業、Webサービス提供者、脆弱性情報を報告・管理する組織全般 脆弱性が報告されたとき、情報の公開と修正のタイミングが適切でないと、攻撃者に悪用される危険性が高まります。 このガイドラインは、報告から公開・修正までの一連の流れを定め、早期警戒体制を整えるのに役立ちます。 参考:情報セキュリティ早期警戒パートナーシップガイドライン ⑧ 安全なウェブサイトの作り方(IPA) 目的:Webアプリケーションの脆弱性(SQLインジェクション、XSSなど)を防ぐためのセキュアコーディングを広める 内容:代表的な脆弱性と対策の例、サンプルコード、開発の工程にセキュリティ対策を組み込むやり方を解説 対象:Web開発エンジニア、セキュリティ担当者、既存サイトの改修を行う運用チーム コーディングの段階で注意することで、多くの脆弱性は防げます。 具体的なソースコードの例がたくさん載っているので、初心者開発者の勉強にもぴったりです。 既存サイトの脆弱性を見つけ出すのにも応用できる、役立つガイドラインです。 参考:安全なウェブサイトの作り方 ⑨ Webアプリケーション脆弱性診断ガイドライン(JNSA) 目的:Webアプリケーションの脆弱性診断の項目や手順を標準化し、診断の精度や質を高める 内容:診断の進め方、必要なチェックリスト、検証環境の作り方などを提示 対象:脆弱性診断を自社で行う企業、診断サービスを提供するベンダー、診断技術を学びたい技術者 Webサービスを運営している組織が、定期的に診断を行うときの基準として使いやすいガイドラインです。 外部のベンダーに依頼するときも、共通の枠組みがあることで、「どこまで診断してもらうか」をはっきりさせられます。 参考:Webアプリケーション脆弱性診断ガイドライン 第1.2版 脆弱性診断ガイドラインを活用する際の注意点 これらのガイドラインを効果的に活用するためには、いくつか注意しておきたいポイントがあります。 ガイドラインを「ただ読むだけ」で終わらせず、実務に活かすために、ぜひ以下の点を意識してください。 ガイドラインが最新の情報か? まず、ガイドラインは常に最新の情報とは限らないことを認識しておきましょう。 ガイドラインは作られた時点での攻撃手法をもとにしています。 そのため、ガイドラインを参考にするときは、最新の情報を必ず確認し、必要に応じて情報を付け加えるようにしましょう。 自社の環境や使えるリソースに合わせて調整する ガイドラインは一般的な内容を扱っています。 ガイドラインがすすめることを全部やろうとすると、費用や手間が大きくなりすぎる場合があります。 業種やシステムの規模に合わせて、何からやるか優先順位をつけて取り組むことが大切です。 ガイドラインだけでは不十分? そして、ガイドラインは脆弱性診断のすべてをカバーしているわけではありません。 ガイドラインに書かれていない弱点があることも考え、さまざまな角度からセキュリティ対策を検討する必要があります。 ガイドラインに加えて、セキュリティの専門家のアドバイスを受けたり、最新の脆弱性に関する情報を集めたりすることがおすすめです。 専門業者に相談して、より確実なセキュリティ対策を! 脆弱性診断ガイドラインは、セキュリティ対策の土台としてとても役立ちますが、すべての脅威を完全に防げるわけではありません。 最新の攻撃方法や、会社ごとに異なるリスクに対応するには、専門家のアドバイスが必要なことも多いでしょう。 IFTの脆弱性診断サービスは、今回ご紹介したガイドラインを参考に、次のような強みで、あなたの会社のセキュリティをサポートします。 IFTの強み 15年以上の実績があり、業界トップレベルの診断ツール「Vex」を使っています Webアプリケーション、システム、担当者の教育まで、幅広くお手伝いします 高い検出率に加えて、再診断や報告会など、診断後のサポートも充実しています まずはWebサイトのセキュリティ状態を把握することから始めましょう。 無料相談も実施していますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

脆弱性診断とペネトレーションテストの違いとは?目的・手法・選び方を徹底解説 | 脆弱性診断とは

脆弱性診断とペネトレーションテストの違いとは?目的・手法・選び方を徹底解説

「脆弱性診断とペネトレーションテストって、一体何が違うの?」 システムのセキュリティ対策を考えるとき、こんな声をよく聞きます。 どちらもセキュリティを高めるための重要な手段ですが、その目的や実施する内容は大きく異なります。 この記事では、特に、「脆弱性診断」と「ペネトレーションテスト」の特長や違いを分かりやすく解説します。 自社システムのセキュリティ向上に向け、これらの手法をどのように活用できるのか、具体的なヒントを得られる内容となっています。 「脆弱性診断」とは:システムの弱点を洗い出す健康診断 脆弱性診断とは、システムやアプリケーションに潜むセキュリティ上の弱点(=脆弱性)を特定するための診断手法です。この診断には、ツール診断と手動診断の2つの方法があります。 ツール診断では、専用スキャンツールを使って効率的に脆弱性を発見します。広範囲を短期間で調査できるのが特徴です。 一方、手動診断は、専門家が実際に操作を行い、ツールでは検出しにくい設定ミスや、不正アクセスを引き起こす特定の権限設定の不備など、複雑なシステム特有のリスクを発見するのに優れています。 この診断結果を基に対策を実施することで、システムのセキュリティをより強化することが可能です。 「ペネトレーションテスト」とは:攻撃者視点での侵入テスト ペネトレーションテスト(侵入テスト)は、サイバー攻撃者の視点から、システムやネットワークへの侵入経路を検証するテスト手法です。 専門家が攻撃をシミュレーションすることで、実際にどのような経路や方法で不正アクセスが可能かを調査します。 このテストの特徴は、脆弱性の「影響範囲」や「悪用される可能性」を具体的に把握できる点です。 テストの種類も豊富で、外部ネットワークテスト、内部ネットワークテスト、Webアプリケーションテスト、モバイルアプリケーションテスト、物理セキュリティテスト、ソーシャルエンジニアリングテストなど多岐にわたります。 そのため、ペネトレーションテストは、金融機関など、より高度なセキュリティ対策が求められる場面や、実際の攻撃を想定した防御力の検証が必要な場合に適しています。 一目でわかる!脆弱性診断 or ペネトレーションテスト比較表 続いては、脆弱性診断とぺネストレーションテストの違いを比較していきます。 以下の表で、違いを分かりやすく比較してみましょう。 項目 脆弱性診断 ペネトレーションテスト 目的 システム全体の弱点を効率的に発見する 攻撃者視点で侵入経路や被害シナリオを検証 診断方法 ツール診断または手動診断 専門家による手動での侵入シミュレーション チェック範囲 広範囲(システム全体をカバー) 特定のシステムや攻撃シナリオに限定 コスト 比較的低コスト(数十万円~数百万円) 高コスト(数百万円~千万円以上) 実施期間 短期間(数日~1週間程度) 中長期(1~3週間程度) 実施頻度 定期的(半年~1年ごとの実施が推奨) 必要に応じて(大規模な変更や新システム導入時) 適用シーン 初期段階のリスク把握や、継続的なセキュリティチェック 実際の攻撃を想定した高度な防御力検証 脆弱性診断は、コストを抑えつつ効率的に広範囲を診断できるため、初期段階のセキュリティチェックに適しています。 一方、ペネトレーションテストは、専門技術者による高度な検証が必要なためコストが高くなりますが、実際の攻撃を想定した実践的なセキュリティ対策を強化する手法として効果的と言えるでしょう。 脆弱性診断だけでは不十分?被害につながるケース 脆弱性診断は、システム全体の弱点を把握するために有効な手法です。ただし、それだけでは実際の攻撃を完全に防ぐことは難しい場合があります。 以下では、脆弱性診断だけでは見逃されがちなリスクや、それが引き起こす被害事例について解説します。 脆弱性診断だけでは見逃されるリスクとは? 脆弱性診断では、主にツールによる自動診断が中心となるため、広範囲のチェックを効率的に行うことができます。 しかし、脆弱性診断だけでは発見しにくい複雑なリスクや、現実的な攻撃シナリオを想定するには限界があるのです。 例えば、以下のようなリスクを見逃す可能性があります。 複数の脆弱性が連鎖して起こる攻撃(例:設定ミスと権限不足の組み合わせ) 特定の条件下でのみ発生する攻撃パターン(例:特定のユーザー操作によるデータ流出) システム固有の設計ミスやカスタム仕様による弱点 これらのリスクを見過ごすと、実際の攻撃シナリオで大きな被害につながる可能性があります。 そのため、ペネトレーションテストを活用して、攻撃者視点での検証を行うことが効果的なのです。 ペネトレーションテストを怠った被害事例 以下では、ペネトレーションテストを実施していれば被害を防げた可能性がある事例を紹介します。 事例①:エン・ジャパン株式会社の情報流出 2023年3月、エン・ジャパン株式会社は転職情報サイト「エン転職」に対する不正ログインにより、約25万件のWeb履歴書が流出したことを発表しました。 この事件はリスト型攻撃によるもので、ペネトレーションテストを実施していれば、早期に脆弱性を発見し、対策を取れた可能性があります。 事例②:チューリッヒ保険会社の顧客情報流出 2023年1月、チューリッヒ保険会社では、外部委託業者への不正アクセスにより、約75万件の顧客情報が流出する事件が発生しました。 この事件は委託業者がサイバー攻撃を受けたことが原因で、ペネトレーションテストを行っていれば、外部からの攻撃に対する防御力を強化できた可能性があります。 事例③:株式会社アダストリアの不正アクセス事件 同じく2023年1月、アパレル企業の株式会社アダストリアは、自社のECサイト「ドットエスティ」に対する不正アクセスにより、約104万件の顧客情報が流出したことを発表しました。 この事件もペネトレーションテストを行うことで、システムの脆弱性を特定し、攻撃を未然に防げたかもしれません。 こうした事例を見ると、ペネトレーションテストを実施することで、単なる脆弱性の発見だけでなく、実際の攻撃を想定した具体的な対策を構築できることがわかります。 結果として、企業の情報資産を守るための最前線の防御が可能になります。 盤石なセキュリティ対策なら、「脆弱性診断 × ペネトレーションテスト」の組み合わせ! 先ほどの内容だけを読むと、「ぺネストレーションテストだけやっていればいいのでは?」と思う方もいるのではないでしょうか。 実際は、脆弱性診断とペネトレーションテストですが、これを組み合わせることで、単独では得られない「相乗効果」を生み出すことができます。 具体的にどのようなメリットがあるのか確認してみましょう。 1. 事前の脆弱性診断が、ペネトレーションテストを効率化する 脆弱性診断ではシステム全体の「リスクの洗い出し」が可能です。 この情報があることで、ペネトレーションテストでは、特に危険度が高い脆弱性や、実際の攻撃シナリオに利用される可能性が高い箇所に的を絞った検証が行えます。 結果として、より短期間で具体的かつ実践的な防御策を導き出すことができるでしょう。 2. ペネトレーションテストで診断結果を「裏付け」できる 脆弱性診断は、弱点を洗い出すことに特化していますが、その影響度や攻撃に悪用される可能性については判断が難しいことがあります。 ペネトレーションテストを組み合わせることで、診断結果が「実際にどの程度の被害につながるか」を検証でき、診断結果に優先順位をつけることが可能になります。 3. 組み合わせだからこそカバーできる「連鎖リスク」 単独の脆弱性では「軽微」と判断されるリスクが、複数の脆弱性が連鎖することで重大な攻撃を引き起こすケースがあります。 このようなリスクは、脆弱性診断だけでは見逃されることが多いですが、ペネトレーションテストを実施することで、こうした連鎖的な攻撃シナリオを明らかにすることが可能です。 4. 長期的な運用コストを削減できる 脆弱性診断で定期的に弱点を洗い出し、ペネトレーションテストで本当に危険なリスクを精査する流れを構築することで、効率的なセキュリティ対策が可能になります。 この工程により、無駄な修正作業や不要な対策にかかるコストを削減し、運用効率を向上させることができるのです。 脆弱性診断とペネトレーションテストを組み合わせることで、それぞれの弱点を補いながら、攻撃者の視点と守る側の視点の両方から盤石なセキュリティを構築することが可能です。 「広く、そして深く」守る体制を作るには、この組み合わせが最も効果的と言えるでしょう。 ペネトレーションテストならIFTにお任せください! セキュリティ対策の一環として、「脆弱性診断」と「ペネトレーションテスト」は、それぞれ異なる役割を持つ重要な手法です。 この記事では、「脆弱性診断」と「ペネトレーションテスト」の違いと特徴を解説し、これらを組み合わせることがもっとも効果的であることをお伝えしました。 セキュリティ対策の最前線で活躍するIFTのペネトレーションテストは、多くの企業に選ばれる理由があります。 IFTのペネトレーションテストが選ばれる理由 脆弱性診断と連携: 診断結果に基づき、本当に危険な箇所を重点的にテストします。 豊富な実績 (15年以上): 長年の経験とノウハウで、多種多様なシステムに対応可能です。 柔軟なカスタマイズ: お客様の環境に合わせて、最適なテスト計画をご提案します。 手厚いサポート: 分かりやすい報告書と、その後の対策まで丁寧に支援します。 セキュリティに関するお悩みは、IFTにお気軽にご相談ください。 専門家が、お客様のシステムをしっかりと守ります。

脆弱性診断ツールの種類と選び方 | 9つのポイントから見極め方を徹底解説 | 脆弱性診断とは

脆弱性診断ツールの種類と選び方 | 9つのポイントから見極め方を徹底解説

企業がサイバー攻撃から大切な情報資産を守るためには、システムに潜んでいるセキュリティ上の弱点、つまり「脆弱性」をいち早く見つけ出し、きちんと対処することがとても大切です。 その有効な手段が「脆弱性診断ツール」です。 しかし、数多く存在するツールの中から、自社に最適なものを選び出すのは、なかなか難しいことです。 「たくさんあって、どれを選べば良いのかわからない…」そんな風に感じている方も多いかもしれません。 この記事では、皆様が自社に最適な脆弱性診断ツールを見つけられるよう、選ぶ時のポイントをわかりやすく解説します。 脆弱性診断ツールとは?その役割と必要性 脆弱性診断ツールとは、パソコンやスマートフォンなどの情報システムに潜むセキュリティ上の問題点、いわゆる「脆弱性」を自動的に見つけ出し、報告してくれるソフトウェアやサービスのことです。 システムに脆弱性があると、サイバー攻撃の格好の標的となります。 攻撃者は常に新たな脆弱性を探し、それを使ってシステムに侵入したり、データを盗んだり、改ざんしたりしようと企んでいます。 そのため、脆弱性診断ツールは、このような攻撃からシステムを守るために、脆弱性を見つけ出し、対策を立てるという重要な役割を果たします。 このツールを使うと、攻撃を受ける前に脆弱性を発見し、修正することができます。 定期的に診断することで、システムをいつも安全な状態に保ち、セキュリティリスクを大幅に減らすことができるのです。 脆弱性診断ツールのメリットとデメリット 脆弱性診断ツールを使うことには多くの良い点がありますが、一方で注意しなければならない点もいくつかあります。まずは、そのメリットとデメリットをわかりやすく説明します。 脆弱性診断ツールのメリット まず、脆弱性診断ツールの良い点について見ていきましょう。 脆弱性診断ツールを導入する最大のメリットは、セキュリティ対策を効率化し、強化できることです。 脆弱性診断ツールのメリット 脆弱性を効率的に発見できる: 手作業で脆弱性を見つけるのは、時間も手間もかかり、専門的な知識も必要です。でも、ツールを使えば、診断を自動化し、素早く正確に脆弱性を見つけられます。 対策方法を提示してくれる: 多くのツールは、見つけた脆弱性に対して、具体的な直し方を教えてくれます。これにより、セキュリティ担当者の負担が軽くなり、素早く対応できます。 定期的な診断を自動化できる: セキュリティレベルを高く保つためには、定期的な診断が大切です。ツールを使えば、これを自動化できます。 レポートで進捗管理ができる: 診断結果をレポートとして出力できるツールが多く、セキュリティ対策の進み具合を管理したり、経営層へ報告したりするのに便利です。 このように、脆弱性診断ツールは、企業のセキュリティ対策を効率的にし、強化するのに役立ちます。 脆弱性診断ツールのデメリット 次に、注意すべき点についてもお話しします。 一方で、脆弱性診断ツールは万能ではなく、導入コストや誤検知、専門知識の必要性など、注意すべき点も存在します。 脆弱性診断ツールのデメリット 導入には一定のコストがかかる: 特に、高機能なツールや大規模システムに対応したツールは、導入費用や維持費が高くなることがあります。 誤検知や過検知の可能性がある: ツールは機械的に脆弱性を見つけるため、間違って検出してしまうこともあります。そのため、結果をそのまま信じるのではなく、専門知識を持った人が最終的に判断する必要があります。 運用には専門知識が必要: ツールを効果的に使うためには、セキュリティに関する知識や運用スキルが必要です。 脆弱性診断ツールの3つの種類 脆弱性診断ツールには、クラウド型、オンプレミス型、ハイブリッド型の3つのタイプがあります。 以下の表では、各タイプの特徴、メリット、デメリットを比較しています。自社のニーズに合わせて、どのタイプが適しているか確認してみてください。 タイプ 特徴 メリット デメリット クラウド型 インターネット経由で利用する診断サービス ・初期費用が低い・導入が簡単で短期間で利用可能・運用負担が少ない・常に最新の脆弱性情報を反映 ・インターネット接続が必須・データが外部サーバーに保存されるため、セキュリティポリシーに影響する可能性あり オンプレミス型 自社内にツールを導入して運用する ・データを自社で完全管理できる・高いカスタマイズ性がある ・初期費用が高額・運用・管理に専門知識が必要 ハイブリッド型 クラウド型とオンプレミス型の利点を組み合わせた診断 ・クラウドの利便性とオンプレミスのセキュリティを両立・柔軟性が高い ・導入・運用コストが高めになる場合がある・クラウドとオンプレミス両方を管理する体制が必要 例えば、初期コストを抑えつつ簡単に導入したい場合はクラウド型を選ぶのが適しています。 一方で、データ管理を重視する場合はオンプレミス型が理想的です。 また、利便性とセキュリティの両方を考慮したい場合は、ハイブリッド型がおすすめです。 自社に最適な脆弱性診断ツールを選ぶ9つのポイント ここでは、自社の状況やニーズにぴったりの脆弱性診断ツールを選ぶための、9つの大切なポイントをわかりやすく解説します。 診断用件 診断範囲 精度 実績 運用要件 使いやすさ サポート体制 拡張性 その他の要件:予算は?連携は?専門性は? 費用 連携性 ツール導入か、業者依頼か 具体的なツールを知りたい方は、以下をご覧ください。 1. 診断要件:何を守りたいのか?何を診断したいのか? まず初めに、診断対象や必要な機能を明確にすることが重要です。ここでは、診断要件に関わる3つのポイントを解説します。 ①診断範囲:どこまで守る?診断対象を明確に 自社にぴったりの脆弱性診断ツールを選ぶためには、まず「どこを守りたいのか」「何を診断したいのか」をはっきりさせて、必要な診断範囲を決めることが大切です。 守るべき対象、つまり診断範囲は、主に「Webアプリケーション」「ネットワーク」「プラットフォーム」の3つに分けられます。 Webアプリケーションの診断: 皆さんが普段インターネットで利用するウェブサイトやウェブサービスに潜む脆弱性を診断します。 ネットワークの診断: ファイアウォールやルーターなどのネットワーク機器、サーバーなど、ネットワーク全体に関わる脆弱性を診断します。 プラットフォームの診断: パソコンやサーバーのOS、ミドルウェアなどに潜む脆弱性を診断します。 これらの診断対象について、さらに詳しく知りたい方は、別記事「【かんたん解説】アプリ診断とプラットフォーム診断、最適なのはどっち?」で解説していますので、ぜひご覧ください。 ②精度:診断項目の網羅性と検出精度 診断項目がどれだけ網羅されているか、脆弱性の検出精度はどれだけ高いかに注意し、自社のシステムに必要なレベルの診断が可能かを確認しましょう。 診断項目の網羅性とは、ツールがどれだけ多くの種類の脆弱性をカバーしているかということです。 検出精度とは、ツールが脆弱性をどれだけ正確に検出できるかということです。 ③実績:同業種での導入実績を確認 同業他社での導入実績は、ツール選定時の参考になります。 同業他社で豊富な実績があるツールは、その業界特有のセキュリティ要件や課題に対応している可能性が高いです。 導入実績は、ツールのウェブサイトや資料で確認できるほか、ベンダーに問い合わせてみましょう。 2. 運用要件:誰がどのように使うのか? ④運用:担当者のスキルとツールの使いやすさ 担当者のスキルレベルとツールの使いやすさを考慮しましょう。 セキュリティの専門知識が豊富な担当者がいる場合は、多機能でカスタマイズ性の高いツールが適しています。 一方、専門知識が限られている場合は、操作が簡単で、サポートが充実しているツールが適しています。 担当者が無理なく使えるツールを選ぶことで、効果的な運用につながります。 ⑤サポート体制:導入後も安心できるサポートの重要性 ベンダーのサポート体制は、特に導入初期やトラブル発生時に重要です。 確認ポイントは、24時間対応の有無、対応言語、平均応答時間などです。 また、ユーザーコミュニティの活発さも、問題解決の助けになります。多くの有料ツールは公式サポートが付いているため、安心して利用できます。 ⑥拡張性:業務規模や将来的な変化に対応可能か 現在の業務規模だけでなく、将来的な拡張性も考慮してツールを選びましょう。 企業の成長やビジネス環境の変化に伴い、診断対象のシステムが拡大したり、新たなシステムが追加されたりする可能性があります。 その際に、柔軟に対応できるツールを選ぶことが大切です。 3. その他の要件:予算は?連携は?専門性は? ⑦費用:予算は?初期費用とランニングコストで考える 初期費用だけでなく、ランニングコストとの両方を考慮すること重要です。 オンプレミス型は初期費用が高額になりがちですが、クラウド型は初期費用を抑えられる場合が多いです。 ただし、クラウド型は月額または年額の利用料が発生します。ランニングコストには、利用料の他に、保守費用や担当者の人件費も含まれます。 必要な機能を明確にし、複数のツールの見積もりを比較することで、費用対効果の高いツールを選定しましょう。 ⑧連携性:他のセキュリティツールとのスムーズな連携 脆弱性診断ツールは、他のセキュリティツールと連携させることで、より効果的なセキュリティ対策を実現できます。 そのため、既に導入しているセキュリティツールと連携できるかどうかも重要な選定ポイントです。 ツール間の連携が可能であれば、診断結果をリアルタイムに活用しやすく、セキュリティ対策を強化できます。 ⑨専門性:ツール導入か、業者依頼か、適切な診断方法の判断 脆弱性診断を実施する際には、ツールを導入して自社で診断を行う方法と、専門の業者に診断を依頼する方法があります。 どちらの方法が適しているかは、企業の状況やセキュリティ要件によって異なります。 社内での対応が難しい場合や、特に高いレベルのセキュリティが求められる業界の場合は、専門の業者に依頼することも検討しましょう。 脆弱性診断ツール選びで後悔しないための注意点     脆弱性診断ツールを選ぶ際には、導入後に後悔しないよう、いくつかの注意点を押さえておく必要があります。 無料の脆弱性診断ツールは導入コストを抑えられますが、いくつかの注意点と限界があります。 自社のニーズに合ったツールを選ぶ 脆弱性診断ツールには、ネットワーク診断、Webアプリケーション診断、クラウド環境診断など、得意とする診断範囲に違いがあります。 そのため、自社のシステム構成やセキュリティ要件に合致したツールを選ぶことが重要です。 例えば、Webアプリケーションのセキュリティを強化したい場合は、Webアプリケーション診断に特化したツールを選びましょう。 無料版と有料版の違いを理解する 無料版と有料版の大きな違いは、機能とサポート体制です。無料版は、診断項目や利用回数が限定されていることが多く、詳細な診断には不向きな場合があります。 一方、有料版は、より多くの診断項目に対応し、サポートやアップデートも充実していることが一般的です。 自社のセキュリティ要件と予算に合わせて、適切なプランを選びましょう。 ツールの更新頻度を確認する サイバー攻撃の手法は日々進化するため、脆弱性診断ツールが最新の脆弱性情報に対応しているかどうかの確認が重要です。 更新頻度が高いツールを選ぶことで、新たな脅威にも迅速に対応できます。 ツールの公式サイトやベンダーへの問い合わせで、更新頻度を確認しましょう。 ツール診断にも限界はある 脆弱性診断ツールはあくまでも診断を支援するツールであり、全てを任せきりにするのは危険です。 自動化ツールでは検出が難しい、複雑な脆弱性も存在します。 そのため、必要に応じて手動診断やペネトレーションテストを併用し、多角的にセキュリティ対策を講じることが重要です。 ツールはあくまでも補助的なものと捉え、過信は禁物です。 まとめ:ツール診断と手動診断の組み合わせで、より網羅的なセキュリティ対策を 脆弱性診断ツールを選ぶ際は、診断範囲、費用、サポート体制など、9つのポイントを考慮することが大切です。 しかし、ツールはあくまでも診断を支援するものであり、全てを任せきりにするのは危険です。 特に、無料版は機能が限定的で、詳細な診断には不向きな場合もあります。 また、ツールが最新の脅威に対応しているか、更新頻度の確認も重要です。そして、ツールでは検出できない複雑な脆弱性も存在することを忘れてはいけません。 弊社の手動診断では、経験豊富なセキュリティエンジニアが、ツールでは見落としがちな脆弱性も丁寧に検査します。 ツール診断と手動診断を組み合わせることで、より網羅的かつ効果的なセキュリティ対策が可能です。 まずは無料相談で、お客様のシステムの状況や、セキュリティに関するお悩みをお聞かせください。 最適な診断プランをご提案いたします。

Fingers touching tablet with apps

【どちらが最適?】アプリケーション診断とプラットフォーム診断の違いは?

「Webアプリケーション診断」と「プラットフォーム診断」、どちらを選ぶべきか迷っていませんか? どちらも組織のセキュリティ対策として重要な診断ですが、その目的や効果には違いがあります。 この記事では、それぞれの診断内容とメリット・デメリットを徹底比較し、組織の状況に合った診断を見つけるお手伝いをします。 関連記事 徹底比較!リモート診断とオンサイト診断 | 最適な脆弱性診断の選び方 【無料あり】脆弱性診断ツールおすすめ15選!選び方から特徴までを解説 脆弱性診断における「手動診断」とは?特徴やメリットをわかりやすく解説 アプリケーション診断とは? Webアプリの脆弱性を洗い出す「健康診断」 Webアプリケーション診断とは、Webアプリやスマホアプリに、セキュリティ上の弱点(脆弱性)がないかを調べる、いわば「健康診断」です。 具体的には、アプリの設計や、プログラミング上のミスを突いた攻撃への耐性を評価します。 対象は、アプリケーション開発者やWebサイト運営者です。 Webアプリケーション診断の目的 Webアプリケーション診断の主な目的は、アプリケーションの脆弱性を発見し、修正することによって、情報漏洩や不正アクセスなどのセキュリティインシデントを未然に防ぐことです。 アプリケーションのセキュリティレベルを向上させ、ユーザーや企業データを保護することを目的としています。 メリット:弱点をあぶり出し、具体的な改善策を掲示できる アプリケーション診断には、主に3つのメリットがあります。 アプリケーション診断のメリット アプリ固有の弱点を見つけ出す 攻撃者の視点をシミュレーションできる 早期発見と修正ができる Webアプリケーションやソフトウェアに特化して診断を行うため、SQLインジェクションやクロスサイトスクリプティング(XSS)など、アプリケーション固有の弱点を発見できます。 さらに、実際の攻撃手法を模倣することで、攻撃者がどのようにアプリケーションを悪用するかを把握し、具体的な対策を立てることができます。 しかも、開発段階や運用中に診断を行えるため、脆弱性を早期に発見し、修正することで被害を未然に防げます。 デメリット:費用と時間が必要 一方、アプリケーション診断にはデメリットも存在します。 アプリケーション診断のデメリット 費用と時間という投資が必要 ツール診断には限界がある 診断範囲はアプリ限定 特に手動診断は専門知識を持つ人材が必要であり、時間と費用がかかる場合があります。 また、自動化ツールでは、特定の脆弱性や複雑な問題を見逃す可能性があるため、完全な診断には、専門家による手動診断が必要です。 さらに、Webアプリケーション診断はアプリケーション自体に焦点を当てるため、OSやネットワークなどの基盤部分の脆弱性はカバーできません。 Webアプリケーション診断の具体的な確認項目とは? Webアプリケーション診断では、システムの機能や動作を、攻撃者目線で徹底的に検査します。 主に、以下の項目を中心に検査を行い、システムの弱点をあぶり出します。 種別 説明 主な確認項目 入力処理 ユーザーからの入力データーができ切に検証されているかを確認し、不正データによる攻撃を防ぎます。 • クロスサイトスクリプティング(XSS) • SQLインジェクション • コマンドインジェクション 認証 ユーザーへの権限が適切に設定されているかを確認し、不正アクセスや権限昇格のリスクを評価します。 • 不適切な認証 • 権限管理 セッション管理 ユーザーセッションの管理方法に不備がないかを確認し、セッションハイジャックやCSRF(クロスサイトリクエストフォージェリ)などの攻撃に対する脆弱性を検証します。 • セッションIDの固定化 • クロスサイトリクエストフォージェリ(CSRF) 出力処理の検査 アプリケーションからの出力データが適切に処理されているかを確認し、情報漏洩につながるリスクを評価します。 • 不要なデータ出力 セキュリティ設定 Webアプリケーション全体のセキュリティ設定が適切であるかを確認し、セキュリティ対策の不備を洗い出します。 • HTTPS通信 • 不要な情報の露出の有無 ソースコード ソースコードに潜在的な脆弱性がないか、セキュリティ上の問題がないかを確認し、開発段階でのセキュリティ対策の不備を検出します。 • ソースコードの記述   プラットフォーム診断とは?ITインフラの精密検査   プラットフォーム診断とは、サーバーやOS、ネットワーク機器など、ITインフラに潜むセキュリティ上の弱点を特定するための、いわば「精密検査」です。 具体的には、OSやミドルウェアの設定ミス、不要なサービスの放置、セキュリティ更新プログラムの適用漏れなど、システム全体の基盤部分に潜む弱点を洗い出します。 主に、システム管理者やITインフラ担当者が対象です。 プラットフォーム診断の目的 プラットフォーム診断の主な目的は、ITインフラ全体の安全性を高め、不正アクセスやマルウェア感染などのリスクを最小限に抑えることです。 システムの基盤全体のセキュリティ強度を高め、安定した運用を実現します。 言い換えれば、企業のビジネスを支えるIT基盤を、サイバー攻撃という脅威から守るための対策と言えます。 プラットフォーム診断のメリット:システム全体のセキュリティ向上 プラットフォーム診断のメリットは、主に3つあります。 プラットフォーム診断のメリット システム全体のセキュリティ状況を可視化できる 攻撃の入り口を減らす 状況に応じて診断方法を選択できる OS、ミドルウェア、ネットワーク機器、サーバーなど、システム基盤全体を対象に診断を行うため、システム全体のセキュリティ対策を立てることができます。 さらに、ネットワークやサーバーの設定ミスや、放置されたままの弱点を特定し、修正することで、攻撃者が侵入する糸口を減らすことができます。 加えて、リモート診断とオンサイト診断の2種類があり、状況に応じて適切な方法を選択できます。 プラットフォーム診断のデメリット:広範囲ゆえに複雑かつ高額 一方、プラットフォーム診断にもデメリットは存在します。 プラットフォーム診断のデメリット 広範囲を診断するがゆえの複雑さ 場合によっては高額な費用 専門性が必要 システム全体を対象とするため、診断範囲が広く、実施が複雑になることがあります。 また、診断対象が広範囲にわたるため、特に現地で診断を行うオンサイト診断では、コストが高くなる場合があります。 さらに、専門的な知識が必要なため、診断結果を正確に解釈し、適切な対策を実施するには、専門家の支援が必要となるでしょう。 これらの点を考慮し、費用対効果を検討した上で、診断の実施を判断する必要があります。 プラットフォーム診断で確認できる項目 プラットフォーム診断では、ITインフラ全体のセキュリティ状況を評価するため、多岐にわたる項目を検査します。以下に代表的な確認項目をまとめました。 種別 説明 主な確認項目 ポートスキャン サーバーやネットワーク機器で開放されているポートを調査し、不要なポートや不審なサービスがないかを確認します。 • 開放ポートリスト • サービス名 ホスト情報 ネットワークに接続された機器の情報を収集し、管理状況やセキュリティ対策の状況を把握します。 • ホスト名 • IPアドレス • OS種類・バージョン • セキュリティパッチ適用状況 OS/ミドルウェア サーバーOSやミドルウェアに既知の脆弱性がないかを検査し、攻撃のリスクを評価します。 • バッファオーバーフロー • 権限昇格 • 既知の脆弱性(CVE) ネットワークサービス DNS、FTP、メールサーバーなど、提供されているネットワークサービスのセキュリティ設定を評価します。 • サービス設定の不備 セキュリティ設定 サーバーやネットワーク機器の設定がセキュリティ要件を満たしているかを確認し、設定不備によるリスクを洗い出します。 • パスワードポリシー • アクセス制御設定 • 暗号設定(暗号方式、サーバー証明書) アカウント検査 不適切なアカウント設定がないかを確認し、不正ログインのリスクを評価します。 • デフォルトアカウントの有無 • パスワード強度 • アカウントロックアウト設定 通信の安全性 ネットワーク通信におけるプロトコルや暗号化方式の安全性を評価し、盗聴や改ざんのリスクを低減します。 • 暗号化プロトコル(HTTPS, SSH) • 暗号強度 • SSL/TLS設定   アプリケーション診断とプラットフォーム診断の違い:守備範囲と対策 Webアプリケーション診断とプラットフォーム診断、どちらもセキュリティ対策として重要ですが、その守備範囲と対策は大きく異なります。 項目 Webアプリケーション診断 プラットフォーム診断 対象 Webアプリケーション、ソフトウェア OS、ミドルウェア、ネットワーク機器、サーバーなど 診断範囲 アプリケーション固有の脆弱性 システム基盤全体の脆弱性 メリット アプリケーション特有の脆弱性を特定可能 システム全体のセキュリティ状態を把握し、より堅牢な対策を立てられる デメリット システム基盤の脆弱性は対象外 実施が複雑でコストが高くなる可能性 診断方法 ツール診断+手動診断 リモート診断+オンサイト診断 守備範囲:Webアプリケーション vs インフラ 最も大きな違いは、守備範囲です。 Webアプリケーション診断は、Webアプリやスマホアプリなど、ユーザーが直接操作する「アプリケーション」が対象です。 一方、プラットフォーム診断は、サーバー、OS、ネットワーク機器など、アプリケーションを動かす土台となる「ITインフラ」を守備範囲としています。 リスク対策:ユーザーの操作ミス vs システムの弱点 Webアプリケーション診断では、主にユーザーの操作ミスによって発生するリスクに対応します。 例えば、入力フォームへの不正な値の入力や、アプリケーションの脆弱性を悪用した攻撃などです。 一方、プラットフォーム診断では、システム自体の弱点や、設定ミスによるシステム障害、不正アクセスなどのリスクに対応します。 担当者:開発・運用 vs インフラ管理 Webアプリケーション診断は、アプリを開発・運用する、開発者やWebサイト運営者がメインの担当者です。 一方、プラットフォーム診断は、システム全体のセキュリティを管理するシステム管理者や、ITインフラ担当者が担当します。 費用と期間:アプリの複雑さに比例 一般的に、Webアプリケーション診断の方がプラットフォーム診断よりも、費用が高くなる傾向があります。 これは、Webアプリケーション診断が、ソースコードレベルでの詳細な検査を含む場合があるためです。 また、診断期間もWebアプリケーション診断の方が長くなる傾向があります。 これは、アプリケーションの規模や、機能の複雑さに診断時間が比例するためです。 ただし、これらの費用や期間は、診断の範囲や深さによって大きく変わるため、あくまで目安です。 正確な見積もりは、専門家に相談することをお勧めします。 どちらの診断が向いてる? Webアプリケーション診断とプラットフォーム診断、どちらも重要ですが、組織の状況によって、どちらを優先すべきかが変わってきます。ここでは、それぞれの診断がどのような企業に向いているかを具体的に説明します。 診断種類 対象 向いている企業 Webアプリケーション診断 Webアプリケーション、ソフトウェア Webサービス運営企業、アプリケーションの更新頻度が高い企業、顧客データを扱う企業、セキュリティインシデントが心配な企業 プラットフォーム診断 OS、サーバー、ミドルウェア、ネットワーク機器 大規模なITインフラを持つ企業、クラウドとオンプレミスを併用している企業、ネットワークセキュリティを強化したい企業、法令遵守が必須の企業 Webアプリケーション診断がおすすめの企業 Webアプリケーションやモバイルアプリケーションを開発・運用している企業、特にユーザー情報を扱うサービス提供者に最適です。 以下のような企業は、迷わずアプリケーション診断を優先しましょう。 Webサービスを運営している: ECサイト、SNS、予約システム、会員制サイトなど。 アプリケーションの更新頻度が高い: 新機能の追加やアップデートを頻繁に行う場合。 顧客データを扱っている: 個人情報やクレジットカード情報などを扱う場合。 セキュリティインシデントが心配: 金融、医療、教育など、特にサイバー攻撃の標的となりやすい業界。 プラットフォーム診断がおすすめの企業 IT基盤の安全性を強化したい企業、社内ネットワークやサーバー運用を行うIT管理者に適しています。 以下のような企業は、プラットフォーム診断を優先的に検討するとよいでしょう。 大規模なITインフラを抱えている: 多数のサーバーやネットワーク機器を運用している場合。 クラウドとオンプレミス、両方使っている: AWS、Azure、GCPなどのクラウドサービスと、自社運用のオンプレミス環境を併用している場合。 ネットワークセキュリティを強化したい: 外部からの攻撃はもちろん、内部ネットワークの脆弱性も心配な場合。 法令遵守が必須: 金融や医療など、法令や規制で厳格なセキュリティ基準が求められる場合。 結論:どちらの診断を優先すべきか Webアプリケーションの安全性を最優先したい企業は、迷わずアプリケーション診断から始めましょう。 システム全体のセキュリティを底上げしたい、ネットワーク機器やサーバーの設定を見直したい企業は、プラットフォーム診断が適しています。 そして、より万全なセキュリティ対策を目指すなら、両方の診断を組み合わせるのが理想的です。 アプリ&プラットフォーム診断の導入事例 ここでは、IFTセキュリティ株式会社が実際に行った、アプリケーション診断とプラットフォーム診断の事例をご紹介します。 お客様が抱えていた課題を、どのように解決したのか、具体的に見ていきましょう。 Webアプリケーション診断:大手生命保険会社 大手生命保険会社では、システムリリース前の限られた時間内で効率的に脆弱性診断を実施する必要がありました。 従来の診断方法では時間とコストがかかり、リリーススケジュールに間に合わない可能性がありました。 そこで、短期間で必要な項目に絞って診断を行う「クイックWebアプリケーション脆弱性診断」を導入し、効率的に脆弱性を発見・修正することで、システムの安全性を確保し、期日通りにリリースすることができました。 >>>大手生命保険会社の事例詳細 プラットフォーム診断:自動車メーカー系情報システムサービス 自動車メーカー系情報システムサービスでは、インターネットに公開している各種システムのセキュリティ状況を定期的に把握し、新しい脆弱性に迅速に対応する必要がありました。 従来の脆弱性診断では診断頻度が限られており、新しい脆弱性への対応を早めたいという要望がありました。 そこで、システム環境を定期的に診断し、常に最新の脆弱性情報を把握できる「プラットフォーム脆弱性診断」を導入。 診断結果に基づいて対策を行い、再診断でリスク低減を確認することで、情報漏洩などの重大なセキュリティインシデントを防ぐことができました。 >>>自動車メーカー系情報システムサービス まとめ:最適なセキュリティ対策で、安心を手に入れよう アプリケーション診断とプラットフォーム診断の違い、ご理解いただけたでしょうか? どちらも、組織の「信用」を守るために重要なセキュリティ診断です。 自社の状況をしっかりと把握し、適切な診断を選んで、確かなセキュリティ対策を実施しましょう。 両者を組み合わせることで、より強固なセキュリティ対策となります。 弊社、株式会社アイ・エフ・ティは、15年以上にわたり、Webサイト、スマホアプリ、プラットフォームの脆弱性診断を提供してきました。 豊富な経験と専門知識を持つ診断員が、お客様のニーズに合わせた最適な診断プランを提案し、診断後の報告会や従業員向けの教育サービスなど、手厚いサポート体制を整えております。 セキュリティ対策に不安を感じている方は、ぜひお気軽にご相談ください!

脆弱性診断における「手動診断」とは?特徴やメリットをわかりやすく解説 | 脆弱性診断とは

脆弱性診断における「手動診断」とは?特徴やメリットをわかりやすく解説

脆弱性診断には、大きく「自動診断 or 手動診断」の2種類があるのですが、自動化ツールが普及している現代、なぜ“人間の手による診断”が求められるのでしょうか。 自動診断は多くのシステムで広く導入されており、ツールを使って効率的に脆弱性を検出する手法です。この方法は短時間で多くの部分をチェックできるため、コストや時間の面で非常に有効とされています。しかし、システムが複雑化するほど、自動診断だけでは十分に対応できない部分も出てきます。 一方で、手動診断では、セキュリティの専門家がシステムの構造や特徴に応じて一つひとつの脆弱性を精査します。この方法により、ツールでは見つけられない高度な脆弱性やシステム固有のリスクも検出可能です。 この記事では、手動診断の特長やメリット、そして特にどのような場面で有効となるかについて詳しく解説します。セキュリティ対策の参考にしていただければと思います。 「手動診断」とは?自動診断との違い・特長について 手動診断は、セキュリティ専門家がシステムやアプリケーションの脆弱性を一つひとつ確認していく診断手法です。自動診断ではカバーしきれない部分を補い、特に高度なセキュリティが求められる場面で効果を発揮します。 手動診断ならではのメリット3選 手動診断には、システムの内部構造や特性に基づいてリスクを特定し、複雑な脆弱性を発見するという特徴があります。ここでは、手動診断がもつ3つの主な特徴について解説します。 ①専門家が細部まで診断できる 手動診断は、セキュリティの高度な知識と実践的な経験を持つ専門家が行います。そのため、システムの構造や設計の背景を理解し、単なるツールベースの診断では見つけにくい論理的な欠陥や攻撃パターンに基づく脆弱性も発見できます。 これにより、潜在的なリスクに対してきめ細やかに対応し、システム全体の安全性を高めます。 ②“ツールでは発見が難しい脆弱性”にも対応できる 自動診断ツールは基本的な脆弱性の検出には効果的ですが、複雑で高度な脆弱性に対応するには限界があります。手動診断では、システムの設計や動作を考慮し、攻撃者の視点からセキュリティリスクを特定できます。 例えば、アプリケーション特有の脆弱性やユーザーの操作に依存する特定のシナリオでのリスクも含めて確認することで、精度の高いセキュリティ対策が可能です。 ③システム特有の仕様やリスクにも対応できる 手動診断は、業界特有のリスクやシステムの個別要件に合わせた柔軟な診断が行えることも特徴です。例えば、医療や金融、製造業などの業界では、各分野に特有のセキュリティ要件や規制があります。 手動診断では、こうした業界特有の条件に対応し、システム固有の脆弱性を効果的に発見できます。 自動診断を「補完」するのが手動診断 手動診断も自動診断も、「脆弱性診断」という目的は同じですが、精度・柔軟性・深さの観点で異なる特性を持っています。 まず、精度については、自動診断がルールベースで一般的な脆弱性を検出するのに対し、手動診断は専門家が“システム特有のリスク”を考慮しながら行うため、より高精度です。 深さの点では、手動診断はシステムの設計や動作を深く理解した上で詳細に脆弱性を探すため、自動診断では見つけにくい潜在的なリスクや複雑な脆弱性も発見できます。 このように、自動診断はツールを用いて広範囲にわたるチェックを短時間で行う手法で、基本的な脆弱性を効率よく検出するために活用されます。しかし、自動診断だけでは対応しきれない複雑なリスクが存在するため、これを補完するのが「手動診断」です。 手動診断のメリットとデメリット メリットばかりあるように見える手動診断ですが、もちろんデメリットも存在します。ここでは、手動診断のメリットとデメリットについて見ていきましょう。 手動診断を選ぶべきメリットとは? 手動診断のメリットは主に下記の3つです。 手動診断のメリット 高精度な診断 柔軟性と適応性 深い洞察と詳細な分析 手動診断の大きなメリットは、その高精度な診断です。セキュリティ専門家がシステムを直接調査することで、自動診断ツールでは検出が難しい複雑な脆弱性や、システム特有の問題を発見できます。 また、専門家の経験を基にした柔軟な対応も可能で、診断対象に合わせたカスタマイズができるため、特殊な設定や業務プロセスを持つシステムにも対応可能です。 さらに、専門家の深い知識に基づいた詳細な分析が行える点も強みです。これにより、脆弱性の影響度や優先度についての具体的な提案が可能になり、より実践的なセキュリティ対策を実施できます。 手動診断ならではのデメリットも 一方で、デメリットは主に下記の3つです。 手動診断のデメリット 高コスト 時間がかかる 診断員のスキルによる差 一方で、手動診断には高コストというデメリットがあります。専門家による診断には多くの時間と労力がかかるため、費用がかさむ傾向にあります。 また、診断を一つひとつ手作業で行うため、診断結果が出るまでに時間がかかる場合があります。このため、速やかな対応が求められるシーンでは不向きな場合もあります。 さらに、手動診断の質は診断員のスキルに依存するため、スキルのばらつきによって診断の一貫性が欠ける可能性があります。一定の品質を保つためには信頼できる専門家に依頼することが求められます。 手動診断が効果を発揮するケースとは? では、どんな時に手動診断が特に有効なのでしょうか?手動診断は、システムのセキュリティが特に重要視される状況や、複雑な構造、あるいは特有の業務フローを持つ環境でその強みを発揮します。 以下に、手動診断が有効となるケースについて説明します。 機密性の高いデータを扱っている企業 金融や医療、法律関連など、機密性の高いデータを取り扱う企業では、セキュリティが最優先事項となります。これらのデータが漏洩すると重大な損害が発生するため、一般的な脆弱性検出だけではなく、システム固有のリスクも考慮して脆弱性を発見する必要があります。手動診断は、こうした高度なセキュリティ要件に応えるため、特に効果的です。 複雑なネットワーク環境を持つ企業への対応 システムが複数の層やネットワーク構造を持ち、相互に依存している場合、自動診断ではすべてを網羅的にチェックするのが難しいことがあります。一方、手動診断では専門家がシステム全体を俯瞰し、相互作用によって生じるリスクを見つけることができるため、このような複雑な環境にも適しています。   自動診断に加え、精度を上げたい場合 自動診断を導入している企業でも、より高精度な診断を求めている場合には手動診断が役立ちます。自動診断で広範囲をカバーし、さらに手動診断で重点的に検証することで、セキュリティの精度をより高めることができます。特に、標準の診断ツールだけでは対応しきれない複雑な状況や特有の業務フローが絡む場合には、手動診断を組み合わせることで、確実なリスク特定が可能です。 「ハイブリット診断」という選択肢もあります!」 手動診断には、自動診断では補いきれない高精度で柔軟なセキュリティチェックが可能というメリットがありますが、その一方でコストや時間の負担が課題です。 そこで、自動診断と手動診断を組み合わせた「ハイブリッド診断」という選択肢があります。 ハイブリッド診断では、まず自動診断でシステム全体の基本的な脆弱性を短時間で検出し、その後に手動診断で特定のリスクや高度な脆弱性を重点的にチェックします。これにより、自動診断の効率性と手動診断の精度の両方を活かした診断が可能となり、コストや時間の面での課題を抑えながらも高いレベルのセキュリティ対策を行うことができます。 弊社でも、自動診断と手動診断を組み合わせた「ハイブリッド診断サービス」を提供しており、コスト効率を重視しながら高精度なセキュリティ対策を実現しています。 手動×自動のハイブリッド型で、コストと精度の両立を! 複雑なリスクやシステム特有の問題には、セキュリティ専門家が手作業で行う手動診断が非常に効果的です。手動診断では、高度な脆弱性や業界特有のリスクもきちんと把握できるため、特に機密情報を扱う企業や複雑なシステムを持つ企業にとって大変有益です。また、ハイブリッド診断を活用することで、自動診断と手動診断の良いところを組み合わせて、効率的で精度の高い診断が可能になります。 株式会社アイ・エフ・ティでは、コスト効率と高精度を両立した「ハイブリッド診断サービス」をご提供しています。自動診断と手動診断を組み合わせて、効率的かつ精度の高い脆弱性診断を行います。セキュリティ対策にご興味がありましたら、まずはお気軽に無料相談をご利用ください。

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