投稿日:2024.10.31 最終更新日:2024.10.31
WordPressは狙われやすい?自社サイトの診断方法と具体的な脆弱性体策を解説
インターネットの普及に伴い、多くの企業や個人がウェブサイトを運営しています。中でもWordPressは、世界中で広く利用されているコンテンツ管理システム(CMS)です。しかし、その人気が裏目に出て、WordPressサイトは常にサイバー攻撃の標的となりやすいという問題があります。
「WordPressは攻撃されやすい」と漠然と知っている方は多いかもしれませんが、「具体的なリスクや対策」についてご存じない方も多いのではないでしょうか。
本記事では、そのようなWordPressに対する不安や疑問を解消するために、脆弱性診断の重要性や具体的な方法、そして効果的な対策について詳しく解説します。
目次
WordPressの脆弱性対策が重要な理由
なぜ、WordPressが攻撃者のターゲットになるのか?
WordPressは、その使いやすさと柔軟性から世界中で多くの人に愛用されているCMSプラットフォームです。初心者でも簡単にウェブサイトを構築でき、豊富なテーマやプラグインで機能を拡張できるため、個人ブログから大企業のサイトまで幅広く採用されています。しかし、この人気の高さがセキュリティ上の弱点にもなっています。
WordPressが攻撃対象として狙われやすい理由は以下のとおりです。
圧倒的な市場シェア
WordPressは全Webサイトの43.1%で使用されており、その圧倒的なシェアが攻撃者にとって魅力的なターゲットとなっています。一つの脆弱性を突くだけで、膨大な数のサイトに影響を与えられる可能性があるため、攻撃者にとって効率的な攻撃対象となるのです。
オープンソースのため、コード分析が容易
WordPressのソースコードは公開されており、攻撃者は自由にコードを分析し、脆弱性を見つけることができます。この透明性はセキュリティ向上にも貢献していますが、悪意のある者にとっては攻撃の糸口を見つけやすい環境でもあります。
セキュリティ不足のプラグインが多い
WordPressの強みである豊富なプラグインは、同時にセキュリティの弱点にもなり得ます。多くのプラグインが個人開発者によって作られており、セキュリティの知識がなくても作成・公開できてしまうためです。一つのプラグインの脆弱性が、そのプラグインを使用するすべてのサイトを危険にさらす可能性があります。
階層構造が分かりやすく、重要部分を攻撃しやすい
WordPressのファイルやディレクトリ構造は広く知られているため、攻撃者にとって特定の脆弱性を狙いやすい状況ができています。管理画面のURLや重要なファイルの位置が予測可能であるため、これらの情報を利用して効率的に攻撃を仕掛けることが可能です。
保守サポートの未対応により、既知の脆弱性が放置されがち
簡単に作成できるからこそ「とりあえず作ってみた」というWordPressユーザーが多いです。そのため、本体やプラグイン、テーマの更新を適時に行わないことが問題となっています。
これにより、既に修正された脆弱性が放置され、攻撃者に狙われる可能性が高まります。定期的な更新の重要性が軽視されがちなことが、この問題を助長しています。
このように、WordPressの人気と使いやすさが、同時にセキュリティ上の課題を生んでいるのです。そのため、WordPressサイトの運営者は常に最新の脅威に対応し、適切なセキュリティ対策を行う必要があります。
本当にWordPressはセキュリティ的に弱いのか?
WordPressのセキュリティについて、「リスクが高い」という話を耳にすることがよくありますが、実際はどうでしょうか?
答えは「NO」です。
WordPressが「狙われやすい」のは、そのシェアの高さとオープンソースという特性によるもので、WordPress自体は定期的なセキュリティアップデートが行われており、コア部分のセキュリティは非常に強固です。問題の多くは、ユーザーの運用やセキュリティ不足のプラグインやテーマにあります。
それでもWordPressの脆弱性診断が欠かせない理由
それでも、WordPressサイトが攻撃者の注目を集めやすいことは変わりません。そのため、脆弱性診断が不可欠なのです。定期的な脆弱性診断を実施することで、以下のリスクを軽減できます。
- データ漏洩: 顧客情報や機密データが外部に流出する危険性があります。
- サイト改ざん: 悪意のあるコードが挿入され、訪問者に被害が及ぶ可能性があります。
- マルウェア感染: サイトが攻撃の踏み台として利用される恐れがあります。
- SEOへの悪影響: 改ざんされたサイトは検索エンジンからペナルティを受けることがあります。
- 信頼性の低下: セキュリティ事故は企業の評判に大きなダメージを与える可能性があります。
脆弱性診断を定期的に行うことで、これらのリスクを事前に把握し、適切な脆弱性対策を行うことができます。また、新たな脅威が日々出現する中、継続的な診断と対策の更新が重要となります。
専門知識が不足していたり、時間が取れない場合は、専門家に頼るのも有効な方法です。
続いては、このようなリスクを軽減できる、具体的な「脆弱性診断の方法」について紹介します。
WordPress脆弱性診断の4つの方法とその特徴
WordPressサイトの安全性を確保するためには、定期的な脆弱性診断が欠かせません。ここでは、WordPressの脆弱性を診断するための主な方法をご紹介します。
①「WordPress標準機能」と「プラグイン」を活用した簡易診断
WordPressには、サイトの健全性をチェックする標準機能が備わっています。「サイトヘルス」と呼ばれるこの機能は、管理画面の「ツール」メニューから簡単にアクセスできます。
サイトヘルスでは、WordPressのバージョン、PHPのバージョン、データベースの状態など、基本的なセキュリティ項目を確認できます。また、セキュリティに特化したプラグインを利用することで、より詳細な診断が可能です。例えば、「Wordfence Security」というプラグインは、WordPress本体、テーマ、プラグイン、マルウェア、不正なURLなど、多岐にわたる項目をスキャンします。
これらの方法は手軽で、定期的なチェックに適していますが、高度な脆弱性や最新の脅威に対しては十分でない場合があります。
②「無料オンラインツール」による脆弱性チェック
オンラインで利用できる無料の脆弱性診断ツールも多数存在します。例えば、Sucuri社が提供する「Sitecheck」は、URLを入力するだけで簡単に診断を行えます。
このようなツールは、マルウェアの検出やブラックリスト登録の確認など、基本的なセキュリティチェックを行います。また、「WPScan」というオープンソースの診断ツールもあります。これは主にコマンドラインで操作しますが、WordPress本体、プラグイン、テーマの脆弱性を包括的にチェックできます。
無料ツールは手軽に利用できる反面、診断範囲が限定的であったり、最新の脆弱性情報に対応していない場合があります。
③「専門業者」による包括的な脆弱性診断サービス
より高度で包括的な脆弱性診断を行うには、専門業者によるサービスを利用するのが効果的です。これらのサービスでは、WordPress本体だけでなく、プラグイン、テーマ、サーバー設定まで詳細に診断します。専門業者による診断の利点は、以下の通りです。
- 最新の脆弱性情報に基づいた診断
- 人間の専門家による精査と誤検知の排除
- カスタマイズされた部分の脆弱性も検出可能
- 詳細なレポートと対策提案の提供
例えば、当社では単なる脆弱性診断だけでなく「ソースコード診断」といった、より守備範囲が広く、深い脆弱性診断も可能です。
④ネットワークやアプリケーションレベルの高度な診断
WordPressサイトのセキュリティを総合的に確保するには、ネットワークレベルやアプリケーションレベルでの脆弱性診断も重要です。高度な診断が重要な理由は、WordPressサイトが単独で動作しているわけではないからです。
ネットワークレベルの診断では、WordPressを取り巻く環境全体のセキュリティを評価し、潜在的な攻撃経路を特定できます。
一方、アプリケーションレベルの診断では、SQLインジェクションやクロスサイトスクリプティング(XSS)など、通常のツールでは見逃される可能性のある脆弱性を詳細に検出できます。
専門的な知識が必要となりますが、このような方法でより深層的なセキュリティリスクを発見できる可能性が高まります。WordPressの脆弱性診断は、サイトの規模や重要度に応じて適した方法を選ぶことが大切です。
また、簡易的な診断から始め、必要に応じてより高度な診断方法を検討することがおすすめです。定期的な診断と素早い対策により、WordPressサイトの安全性を高めることができます。
WordPress脆弱性診断後の具体的な5つの対策
脆弱性診断を実施した後は、発見された問題点に対して素早く適した対策を取ることが重要です。ここでは、WordPressサイトのセキュリティを強化するための具体的な対策について解説します。
①WordPress本体を最新バージョンに更新する
WordPress本体を最新バージョンに保つことは、セキュリティ対策の基本中の基本です。脆弱性診断で古いバージョンの使用が指摘された場合、速やかにアップデートを行いましょう。アップデートの手順は以下の通りです。
- WordPressの管理画面にログインする
- 「更新」メニューを選択する
- 「今すぐ更新」ボタンをクリックする
アップデート後は、サイトの動作に問題がないか確認することを忘れずに。
②プラグインとテーマは常に更新・最適化する
プラグインやテーマの脆弱性も、サイトのセキュリティを脅かす大きな要因となります。診断結果に基づき、以下の対策を実施しましょう。
- 使用中のプラグインとテーマを最新バージョンに更新する
- 長期間更新されていないプラグインは、代替品への移行を検討する
- 使用していないプラグインやテーマは完全に削除する
更新の際は、事前にバックアップを取得し、更新後の動作確認を必ず行ってください。
③PHPバージョンアップデートでセキュリティを強化する
WordPressを動作させるPHPのバージョンも、セキュリティに大きく影響します。古いPHPバージョンを使用していると指摘された場合、以下の手順で対応します。
- ホスティング管理画面でPHPバージョンを確認する
- 最新の安定版PHPバージョンに更新する
- 更新後、WordPressサイトの動作を綿密にチェックする
PHPのアップデートは、サイトの互換性に影響を与える可能性があるため、慎重に行う必要があります。
④不要なプラグインは削除する
使用していないプラグインは、攻撃の糸口となる可能性があります。以下の基準で不要なプラグインを特定し、削除しましょう。
- 長期間使用していないプラグイン
- 機能が重複しているプラグイン
- 開発が停止しているプラグイン
プラグインを削除する際は、サイトの機能に影響がないか十分に確認してください。
⑤強固なパスワード設定と二要素認証の導入
脆弱性診断で指摘されることの多い項目の一つが、パスワードの強度です。以下の対策を実施しましょう。
- 管理者アカウントを含む全ユーザーのパスワードを、長く複雑なものに変更する
- パスワードマネージャーを使用して、安全に管理する
- 二要素認証を導入し、追加のセキュリティレイヤーを設ける
二要素認証の導入には、Google AuthenticatorやAuthyなどのプラグインが利用できます。これらの対策を実施することで、WordPressサイトのセキュリティは大幅に向上します。
しかし、セキュリティ対策は一度行えば終わりというものではありません。定期的な脆弱性診断と対策の見直しを行うことで、常に安全なサイト運営を心がけましょう。
実は、費用対効果がもっとも高いのは、専門業者による脆弱性診断サービス
WordPressサイトのセキュリティ対策において、多くの運営者が見落としがちな、しかも最も費用対効果の高い方法があります。それは、「専門業者」による包括的な脆弱性診断と継続的なサポートを活用することです。
一見するとコストがかかるように思えますが、長期的な視点で見ると、これが最も効果的な投資となる可能性が高いのです。その理由を見ていきましょう。
無料ツールだけでは限界がある
無料の脆弱性診断ツールやプラグインは、手軽でコストがかからないため多くの運営者に利用されていますが、限界があります。最新の脅威や複雑な脆弱性を検出できなかったり、誤検知が多発することもあります。
また、具体的な対策が提示されないため、十分なセキュリティ対策が取れず、重大な脆弱性が残るリスクが高まります。
自社での対策では、リスクが解消されにくい
無料ツールでは脆弱性対策に限界があり、自社で対策を試みたとしても不十分な対応では効果が十分に得られません。これでは、かけた労力やコストが無駄になる可能性が高く、結果として大規模な被害を引き起こすリスクも考えられます。
専門業者の脆弱性診断は、より高度な診断が受けられるだけでなく、継続的な監視と更新、インシデント対応のサポートも受けられます。専門家に診断を依頼することで、リスクを軽減し、より効果的な対策が実現できるため、長期的には最適な選択となります。
「業務負荷の削減」も実現できる
専門業者にセキュリティ対策を委託することで、内部のITチームや運営者の業務負荷を軽減し、セキュリティに費やす時間やリソースを削減できます。
結果として、業務に集中できるだけでなく、専門知識が不要になり、最新のセキュリティ情報を持つプロフェッショナルからのサポートも受けられるため、効率的な運営が可能です。
脆弱性対策は、「保険のようなもの」であるため、どこまでコストをかけるべきかと悩みがちです。そのため、できれば自社で済ませたいと考えがちですが、中途半端な対応では、リスクを解消できません。
本格的に対策を考えるのであれば、専門業者に任せましょう。
まとめ:WordPressはもっとも効果が高い専門業者による脆弱性診断がおすすめ
本記事では、WordPressの脆弱性リスク、診断方法、そして効果的な対策について詳しく解説しました。特に、無料ツールでは限界があるため、専門業者による漏れのない脆弱性診断が最適です。
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この記事を書いた人
みらいと
セキュリティサービス事業部 コンサルタント/プログラマーからシステム運用を経て情報セキュリティ全般の業務に従事。現在は培った情報セキュリティの経験を活かしお客様の課題に向き合った企画やマーケティングを担当。