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工場システムのセキュリティ対策ガイドラインを分かり易く解説!3つのステップで実践へ

工場システムのセキュリティ対策ガイドラインを分かり易く解説!3つのステップで実践へ | 脆弱性診断とは

近年、工場のDX(デジタルトランスフォーメーション)化が急速に進み、生産性の飛躍的な向上や効率化が期待されています。

しかしその一方で、これまで閉じられた環境にあった工場の制御システムがインターネットや社内ITシステムと繋がることで、新たなサイバー攻撃の脅威に晒されるリスクも高まっています。

「うちの工場もそろそろ対策を考えなければ…」

と思いつつも、経済産業省から出された『セキュリティ対策ガイドライン』は100ページ超え。

専門用語も多くてどこから手をつければ良いのか、と悩んでいる方も多いと思います。

専門的な知識がないと、どこが本当に重要で、何を優先すべきか判断するのは難しいですよね。

そこでこの記事では、脆弱性診断の専門家(株式会社アイ・エフ・ティ)が、その難解なガイドラインを中小工場の視点で「超訳」し、「最重要ポイントは何か」「なぜそれが重要で、どう実践すべきか」を、具体的な優先順位と根拠まで含めて徹底解説します。

この記事を読んでわかること

工場セキュリティガイドラインの理解と重要性

  • 自社で取り組むべき優先順位
  • 工場特有のセキュリティ対策ポイント
  • 継続的な対策と専門家活用のヒント

この記事を読めば、ガイドラインの核心を深く理解し、自社で取り組むべきことの優先順位と、その理由を明確にできるはずです!


目次

工場のセキュリティガイドライン遵守は今や必須!その背景とは?

経済産業省が策定した「工場システムにおけるサイバー・フィジカル・セキュリティ対策ガイドライン」(以下、ガイドライン)は、工場のサイバーセキュリティ対策を進める上で、企業が自主的に取り組むための共通の指針を示すものです。

まずは、このガイドラインが生まれた背景や目的、そしてその全体像を簡単に見ていきましょう。

なぜガイドラインは作られた?DX化によるリスクとその目的

工場のIoT化やDX(デジタルトランスフォーメーション)が進み、生産性が向上する一方で、

これまで閉じられていた工場の制御システム(OT)がインターネットや社内ITシステムと繋がるようになりました。

これは、サイバー攻撃の新たな標的となり得ることを意味し、実際に国内外で工場が被害に遭う事例も増えています。

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深刻化する製造業のサイバー攻撃 製造業は、デジタル化と自動化の進展に伴い、サイバー攻撃のリスクが急速に高まっています。工場の生産ラインが停止したり、企業の重要なデータが盗まれたりするなど、その影響は甚大になりつつあります。特に、製造業は他の業界に比べてセキュリティ対策が遅れていることが多く、攻撃者

このような背景から、経済産業省は2022年11月に本ガイドラインを策定しました。

その目的は、企業が自主的にセキュリティ対策を進めるための「共通の指針」を示し、産業界全体のセキュリティレベルを向上させること、そして安全なDX推進を支援することです。

ガイドラインの全体像と3つのステップを理解しよう

ガイドラインの中心は、「セキュリティ対策企画・導入の進め方」で、対策を以下の3つのステップで進めることを推奨しています。

  • ステップ1:現状把握とリスク評価(準備):自社の状況を整理
  • ステップ2:対策の立案(計画):リスク評価に基づき、具体的なセキュリティ対策の計画
  • ステップ3:対策の実行と継続的改善(実行・改善):計画を実行し、PDCAサイクルで見直し

また、工場内をセキュリティレベルに応じて区分けする「ゾーン」管理や、実践的な「チェックリスト」「調達仕様書テンプレート」といったツールも提供されており、企業が具体的なセキュリテイ対策を進めるためのヒントが詰まっています!

サプライチェーンを守る!今、工場にガイドライン対応が必須なワケ

DX化によるリスク増大に加え、サプライチェーン全体でのセキュリティ確保が強く求められています。

万が一、自社がサイバー攻撃の起点となって取引先にまで被害が及んでしまえば、長年築き上げてきた信用も一瞬で失いかねませんよね。

実際に、大手企業を中心に取引先へ一定水準以上のセキュリティ対策を求め、監査で確認する動きが加速しています。

ガイドラインへの対応は、こうした要求に応え、自社の信頼性を示す上で重要です。

国も中小企業の取り組みを後押ししており、2025年4月には中小企業向けの解説書「工場セキュリティの重要性と始め方 」も公開されました。

ガイドラインへの対応は、自社を守るだけでなく、取引先との信頼関係を維持し、供給責任を果たすための重要な取り組みなのです。

参考:工場セキュリティの重要性と始め方 (経済産業省)

工場セキュリティガイドラインの基本と3つのステップ

作業服を着た2人の人物がノートパソコンを操作し、ネットワーク図のようなグラフィックが重ねられている。工場のDXやIoT化をイメージさせる画像。

ここからは、いよいよ「工場システムにおけるサイバー・フィジカル・セキュリティ対策ガイドライン Ver1.0」の本編解説です。

難解に思えるガイドラインも、その骨組みと大切なポイントさえ押さえれば、中小工場の皆さんがセキュリティ対策を進める上で、きっと大きな助けとなるはずです。

私たち専門家の視点から、「超訳」し、具体的なアクションに繋がるよう、分かりやすく解説していきます。

【ステップ0】まず理解すべき!ガイドラインを読み解くための基本原則

このガイドラインは、工場のDX化に伴い高まるリスクに対応するために策定されました。

ここで言うリスクとは、情報システムなどが存在する目に見えない「サイバー空間」と、実際に設備や機械が稼働している現実世界の「フィジカル空間」、この両方がより密接に繋がることで生じる、サイバー・フィジカル両面のリスクを指します。

ガイドラインは、企業がこれら両面のリスクに対して自主的にセキュリティ対策を進める際の「指針」となることを目指しています。

その対象範囲は、工場の頭脳とも言えるOTシステムから、日々の稼働を支える空調や電源といった付帯設備に至るまで、まさに「工場敷地内のモノすべて」を網羅しています。

想定読者は、経営層から現場のIT/OTエンジニア、購買担当者まで幅広く、各々の役割に応じた対応が示されています。

工場セキュリティでは、工場ならではの、こんな視点が大切になってきます。

  • BC(Business Continuity:事業継続性)
  • S(Safety:安全性)
  • Q(Quality:品質)
  • D(Delivery:納期)
  • C(Cost:コスト)

基本構造は「経営層・工場側・IT部門の三位一体」での取り組みを前提とし、「3ステップ(準備→立案→実行・運用)×PDCAサイクル」で継続的な改善を目指します。

この取り組みを実りあるものにするためには、特に以下の3点が重要になると、私たち専門家は考えています。

まずはここから!ITとOTの「文化の違い」を理解する

オフィス環境のITセキュリティと、工場現場のOTセキュリティでは、優先すべきことや許容されるリスクが違うことを認識します。例えば、ITでは機密性が重視される一方、OTではシステムの安定稼働(可用性)が最優先されることが多いのです。

ガイドラインは「答え」ではなく「考える道具」と捉えること

ガイドラインに書かれていることを全てそのまま実施することが目的ではありません。

自社の規模、業種、取り扱う製品や技術、現在のリスク状況などを踏まえ、ガイドラインを「自社にとって何が最適か」を考えるためのフレームワークとして主体的に活用する姿勢が大切です。

セキュリティは「コスト」ではなく「戦略的投資」と認識すること

セキュリティ対策には、もちろん費用がかかります。しかしそれを単なる「コスト」と捉えるのではなく、サイバー攻撃による甚大な被害(生産停止、信用失墜、賠償責任など)を未然に防ぎ、事業を継続し、
さらには取引先からの信頼を得て競争力を高めるための「戦略的投資」であるという認識を経営層が持つ必要があります。

これらの基本原則と重要ポイントを念頭に置くことで、ガイドラインが示す3つのステップを、より自社の実情に合わせて効果的に進めていくことができるはずです。

【ステップ1】工場の「弱点」と「守るべきもの」を見つける

ガイドラインが示すセキュリティ対策の最初のステップは、

自社の工場が今どのような状況にあり、何を保護すべきで、どのような危険に直面しているのか

を正確に把握することから始まります。

ステップ1では、以下の7つのポイントで自社工場を徹底的に「見える化」していきます。

ステップの主題 問いかけ / 具体的なテーマ 具体的な進め方
1-1. ゴール設定 何を目指し、どんなルールを守るべきか? 会社の目標とセキュリティリスクを結びつけます。法律や業界ルール、取引先からの要求など、守るべき外部の決まり事もハッキリさせます。
1-2. 仕事の流れを知る 工場内の「業務プロセス」を見える化 工場の中で、モノや情報がどう動き、どんな順番で仕事が進んでいるか(例:調達→製造→検査→出荷)を洗い出し、図などで誰にでも分かるようにします。
1-3. 業務の優先順位付け 「止まったら困る仕事」はどれ? 洗い出した仕事がもし止まったら、会社全体にどれくらい影響が出るか(安全・品質・納期・コスト面で)を考え、重要度に応じて順番をつけます。
1-4. 守るべきモノをリストアップ 大切な「資産」は何か? 仕事で使う大事な「情報」(技術情報など)、「モノ」(重要設備など)、「人」(専門スキルを持つ人)を具体的に全部書き出します。IT/OT資産の棚卸しもここで行います。(優先度:高)
1-5. 資産の優先順位付け 「絶対に守りたいもの」はどれ? 1-4で書き出した「守るべきモノ」がもし攻撃されたり壊れたりしたら、会社がどれくらい困るかを評価し、特に大事なものから順番をつけます。(優先度:高)
1-6. 工場をエリア分け 場所・仕事・資産を関連付ける 工場の中を、機能やセキュリティの重要度に合わせていくつかの区画(ゾーン)に分けます。そして、どのエリアでどんな仕事をして、何を扱っている(守るべきモノがある)のかを紐付けます。(優先度:高)
1-7. エリアごとの危険予測 どんな脅威が、どんな影響をもたらすか? 分けたエリアごとに、どんな危険(ランサムウェア、不正アクセス、故障、災害など)が潜んでいるか、もしそれが起きたらどんな被害が出るかを整理し、その深刻さを評価します。(優先度:高)

では、なぜ最初にこのステップ1「現状把握とリスク評価」を確実に行う必要があるのでしょうか?

私たち専門家の視点から見ると、主に3つの理由があります。

  • 守るべき対象がはハッキリとし、対策の焦点を絞れる
  • 本当に危険な箇所が見え、効果的な優先順位がつけられる
  • 対策の必要性が納得でき、経営視点で合理的な判断が下せる

これらが曖昧なままでは、どんな対策も的外れになったり、効果が半減したりしかねません。

だからこそステップ1は、効果的なセキュリティ対策を行うための、「土台作り」と言えるのです。

【ステップ2】システムと物理の両側面から対策計画を立てる

ステップ1で自社の現状とリスクが確認できたら、具体的な対策を計画する「セキュリティ対策の立案」のステップへと進みます。

ここでは、システム構成面(サイバー)と物理設備面(フィジカル)の両面から、工場ならではの事情を踏まえ、、実効性の高い計画を立てることが求められます。

ステップ2では、主に以下の2つの大きな方針と具体的なアクションプランを策定します。

ステップの主題 具体的な進め方
2-1. セキュリティ対策方針の策定
  • ステップ1で把握した工場の現状を基に、工場システム全体のセキュリティ対策における基本的な考え方、何を優先して守るか、そしてどこまでのレベルを目指すのかを決定します。
  • 具体的に「何を最優先で守るのか」「どの脅威に対して、どこまで備えるのか」という明確な目標を設定します。これは、業務の重要度や脅威の深刻さを考え合わせて、対策の度合いを決めていきます。
2-2. 想定脅威に対するセキュリティ対策の決定 ステップ1で特定したそれぞれの想定脅威に対し、システム面・物理面の両方から、具体的な防御策や対応策を個別に検討し、計画に落とし込みます。

特定された脅威に対して具体的な対策を紐付けていきます。

対策は、大きく「システム構成面」と「物理面」、そして「日常的な運用管理」の観点から検討します。

システム構成面でのセキュリテイ対策

ネットワークを安全に区切り(ゾーン化)、どこからどこへアクセスできるかを適切にコントロールします。

サーバーや端末、制御機器などのセキュリティ設定を強化し、使用するソフトウェアやサービスが安全性を確保、もし問題が起きた時の対応手順も確立しておきます。

不正な通信がないか監視したり、ログ(記録)の管理も大切です。

物理面でのセキュリテイ対策

建屋や設備が自然災害(地震、水害など)に耐えられるようにし、安定して動き続けられるようにします。

重要な機器は盗難や破壊から守ります。

不正なモノの持ち出し(例えばUSBメモリなど)・持ち込みを防ぎ、重要なエリアへは物理的に立ち入りを厳しく管理します。

日常的な運用・管理に関わるセキュリテイ対策

導入したセキュリティ対策が常に有効に機能しているか定期的に確認し、システムの動きを監視します。

設定を変更した場合はきちんと記録を残し、許可されていないデバイス(私物のUSBメモリなど)の利用を禁止するといったルールを徹底し、日々の運用の中でセキュリティを維持していきます。

これらの具体的な対策をより実効性のあるものにするため、私たちIFTは、対策を考える上で特に次の3つの視点が鍵になると考えています。

  • 「脅威起点」と「資産価値起点」の両方から考える
    「何から守るか(脅威起点)」と「何を重点的に守るか(資産価値起点)」の二つの視点で対策を検討することで、バランス良く効果的な計画が生まれます。
  • 中小工場こそ「基本の徹底」
    高度で高価な対策の前に、まずはパスワードの管理や不要な接続の遮断、ソフトウェアを最新の状態に保つといった「基本対策」を徹底するだけで、リスクは大幅に減らせます。
  • 物理セキュリティはサイバーセキュリティの「最後の砦」
    どんなにサイバー対策を固めても、物理的に侵入されてしまえば意味がありません。特に工場では、サイバーとフィジカル両面での多層防御が不可欠です。

【ステップ3】対策の実行と運用、一度だけで終わらせないために

ステップ3では、いよいよ立案した対策を実行に移し、日々の運用へと落とし込んでいきます。

しかし、セキュリティ対策は一度導入したら「はい、おしまい!」というものではありません。

時代の変化や次々と現れる新たな脅威に合わせて、継続的に見直し、改善し続けることが何よりも大切なのです。

ステップ3で特に重要な活動は、大きく3つに分けられます。

主要な活動 具体的な取り組み内容
1. 日々の運用と、もしもの時への備え 普段からセキュリティを意識した運用を心がけ、万が一の事態(インシデント)にはOODAループ(※)ですぐに対応します。具体的には、ログの監視、インシデント発生時の対応手順の確認、アカウントやシステム構成の適切な管理、従業員への情報共有や教育などを行います。
2. 対策を常に最新の状態に保つ活動 一度導入した対策が古くならないよう、定期的に効果をチェックし、必要なら改善します。新たな弱点(脆弱性)の情報収集や評価、修正プログラム(パッチ)の適用も計画的に行いましょう。また、いざという時に備え、模擬訓練で対応力を高めておくことも大切です。
3. サプライチェーン全体の安全確保 自社だけでなく、取引先も含めた全体のセキュリティレベル向上を目指します。そのため、取引先に自社のセキュリティ基準を伝え、状況を確認し合うことが重要です。特に、VPNなど外部との接続部分は攻撃の入口になりやすいため、弱点管理を徹底しましょう。
  • PDCAサイクル
    「計画(Plan)→実行(Do)→評価(Check)→改善(Action)」という流れで、中長期的な視点からじっくりとセキュリティ体制全体を改善していくための枠組み。
  • OODAループ
    「監視・観察(Observe)→状況判断(Orient)→意思決定(Decide)→行動(Act)」という流れで、日々刻々と変化する状況や、突発的な脅威・インシデントに対して、素早く柔軟に対応するための思考・行動プロセス。

これらの活動を効果的に継続していくために、私たちIFTは以下の点を特に重要だと考えています。

  • PDCAとOODA、それぞれの役割を理解し、連携させましょう
    中長期的な改善(PDCA)と、日々の脅威への迅速な対応(OODA)。この二つをバランス良く回すことが、「生きた対策」の鍵です。
  • 中小工場におけるインシデント対応の現実的な解決策
    専門チームがなくても、発生時の責任者・連絡先・初動手順を明確にし周知するだけで、被害を最小限に抑える第一歩となります。
  • サプライチェーン対策は「できる範囲から」始める
    全ての取引先に高いレベルを求めるのは現実的ではありません。まず影響の大きい重要な取引先から、セキュリティの相互理解を深めましょう。

ガイドラインを実践するために!組織体制と便利ツールの活用法

大切なのは、ガイドラインの3つのステップを理解することではなく、それらを工場全体で着実に実行し、継続していくための「推進力」です。

ここでは、ステップ1~3で学んだことを実際の行動に移し、組織に根付かせるための「組織体制のポイント」と、その助けとなるガイドライン付属の「便利ツールの使い方」を解説します。

全社で取り組む!セキュリティ対策を成功させる組織体制の作り方

ガイドラインを工場全体で取り組むためには、しっかりとした土台、すなわち「組織体制」が不可欠です。

特定の誰かや一部門に任せるのではなく、関係者全員がそれぞれの役割を担い、連携しなくてはいけません。

役割分担と部門間の連携を明確に
  • 各部門の得意分野を活かした役割分担を明確にする。

  • 部門間で定期的に情報共有し、課題を協議できる仕組みを設ける。

経営層の強いコミットメントを示す
  • 経営層がセキュリティ対策の重要性を明確に方針として示す。

  • 必要なリソース(予算・人員)を確保することを宣言する。

  • 経営トップのリーダーシップにより、全社的な協力体制を構築する。

日々の実践と万が一への備えを怠らない
  • セキュリティインシデント発生時の「緊急対応フロー」を具体的に定める。

  • 緊急対応フローの習熟度を高めるための訓練を実施する。

  • 全従業員への継続的なセキュリティ教育で意識と知識を浸透させる。

  • 外部業者とは契約段階からセキュリティ要件を明確にする。

もっと具体的に!ガイドライン付属資料の上手な使い方

ガイドラインには、本文の解説を補足し、より具体的な理解や実践を助けるための豊富な情報が付録として提供されています。

ここでは、それぞれの付録が「どんな時に」「どのように役立つのか」を簡単にご紹介します。

こんな時に役立つ どの付録を見ればいいか(付録名と内容)
ガイドラインに出てくる専門用語や略語の意味が分からない 付録A『用語/略語』
ガイドライン内の専門用語や略語を解説。本文読解中の疑問解消や正確な内容理解に。
工場セキュリティに関して、法律や社会的な要求を知りたい 付録B『工場システムを取り巻く社会的セキュリティ要件』
工場システムに求められる法規制、標準規格、市場・取引先からの要求事項などを整理。自社の対策検討時に守るべき外部ルール把握の基礎情報に。
自社が目指すべきセキュリティ対策のレベル感を知りたい 付録C『関係文書におけるセキュリティ対策レベルの考え方』
代表的な基準での「対策レベル」の考え方を紹介。自社が目指す対策の強さや度合い設定の参考に。
特定のテーマについて、もっと詳しく知りたい情報がある 付録D『関連/参考資料』
国内外の関連規格、他のガイドライン、調査レポートなどをリストアップ。専門情報や他社事例を探す手がかりに。
自社のセキュリティ対策状況を具体的に自分でチェックしたい
付録E『チェックリスト』
35項目以上の必須対策項目について、自社の達成度を段階評価できる具体的なリスト。現状把握のセルフチェックから継続的な改善活動まで幅広く活用可能
システムや機器を買う時に、どんなセキュリティ要件を業者に伝えればいいか知りたい
付録F『調達仕様書テンプレート(記載例)』
製品・サービス調達時に業者へ求めるべきセキュリティ要件の雛形と記載例。RFPや契約に活用することで、客観的な業者選定やトラブル防止に。

ガイドラインを読んだ後に注意してほしいこと

黄色の大きな警告マーク(感嘆符)を挟んで、男女がメガホンで注意喚起をしているイラスト。重要なお知らせや警告、アラートを伝えるコンセプト。

経済産業省のガイドラインは工場セキュリティ対策の「共通の指針」ですが、活用法を間違えると、せっかくの努力が水の泡になることも。

ここでは、特に中小工場が陥りがちな点と、それを回避するための対策を解説します。

「読んだだけ」で満足していませんか?

一度は目を通したものの、「難しくて分からない」「どこから手をつければ…」と行動に移せないのはよくある話。時間や専門人材不足も背景にあるかもしれません。

まずは、自社の業務やリスクを「見える化」し、ガイドラインを自社に置き換えて理解。

その上で、いきなり大きなことをやろうとせず、具体的な行動計画を小さな一歩から立てて、確実に実行していきましょう。

「全部一気に」やろうとしていませんか?

「あれもこれもやらなければ」と焦り、リソースが分散して中途半端になったり、担当者が疲弊してしまったりする状況です。

特に中小工場では、限られたリソースの中で効果を出す必要があるため、この傾向に陥りやすいでしょう。

大切なのは、「選択と集中」の考え方で、まずはもっとも重要で効果が高いと思われる対策から段階的に導入していきましょう。

「一度導入」で終わりと思っていませんか?

セキュリティシステムの導入やルール整備で満足し、運用や見直しを怠ると、対策は時間と共に陳腐化してしまいます。

サイバー攻撃は巧妙化し、新たな脆弱性も日々発見されます。

PDCAサイクルで継続的に改善し、日々の運用やインシデント発生時にはOODAループで即座に対応。

定期的な見直しや情報収集も重要です。

「常に変化に対応し続ける」という意識を持つことが、持続可能なセキュリティ体制の構築に繋がります。

工場セキュリティ担当者の疑問を解決!ガイドラインQ&A

ここでは、中小工場の担当者や経営者の皆様が特に疑問に思われるであろうポイントについて、私たち株式会社アイ・エフ・ティがセキュリティの専門家の視点からお答えします。

Q1. 工場のOTセキュリティ、ITとは何が違う?特に注意すべき点は?

A. OT環境は「止めない」が最優先。だから、オフィスとは違い、古いシステム、パッチ困難な機器、物理アクセス箇所といった特有の弱点への対策と診断が特に重要です。

特に以下の点には注意して下さい。

  • 可用性最優先: 生産停止が莫大な損失に直結するため、ITのように頻繁なパッチ適用や再起動は難しい。
  • レガシーシステムの存在: メーカーサポート切れのOSや制御機器が多く、新たな脆弱性への対応が困難。
  • リアルタイム性の要求: セキュリティ対策が工場のシステムのパフォーマンスに影響を与えない配慮が必要。
  • 物理的なアクセス: 制御機器が工場現場に剥き出しで設置されていることも多く、不正な操作や誤った操作によるリスクも考慮すべき。
  • 専門人材の不足: ITとOT、両方のセキュリティ知識を併せ持つ人材は、残念ながらまだ少ないのが現状です。

こうした特有の課題に対しては、OT環境に精通した専門家による診断は不可欠と言えます。

Q2. 「スマート工場化」を進めたいが、セキュリティ面で何から準備すべき?

A. スマート工場化は新たな接続点やデータ連携を生み出すため、初期段階での徹底した脆弱性診断とリスクアセスメントを強く推奨します。

以下のステップで準備を進めることをお勧めします。

  • 現状の見える化: 工場内のIT/OT資産とネットワーク構成を正確に把握する。
  • 導入システムの明確化: 導入する新技術と既存システムがどこでどのように連携するのかを特定する。
  • リスクアセスメント: 新たな接続点でのセキュリティリスクを洗い出し評価する。
  • セキュリティ要件の定義: リスク評価に基づき、満たすべき対策要件を明確にする。
  • ガイドライン参照: 自社要件に漏れがないか、より強化すべき点がないかを確認する。

新しいシステムを導入する際の脆弱性や、既存システムとの連携部分に潜むリスクを早い段階で発見するためにも、計画段階からの診断が非常に効果的です。

Q3. 取引先とのセキュリティ連携、どんな点に気をつければ良い?

A. サプライチェーン全体のセキュリティを確保するため、外部接続ポイントや委託先とのデータ連携における脆弱性診断を重視します。

以下のポイントに気をつけましょう

  • 契約での要件明確化: 情報セキュリティに関する具体的な条項(情報範囲、利用禁止、報告義務など)を盛り込む。
  • アクセス権限の最小化: 業務上必要な最小限にとどめ、厳格に管理・棚卸しする。
  • 役割と責任範囲の明確化: インシデント発生時の連携・責任を事前に明確に合意する。
  • 定期的なコミュニケーション: セキュリティに関する情報交換や、必要に応じた監査を行う。
  • 委託先の選定基準: コストだけでなく、セキュリティ体制や実績も評価項目とする。

外部パートナーとの接点は攻撃の入り口となりやすいため、共にセキュリティの診断と評価を第三者を用いて検証するようにしましょう。

実はガイドライン対応だけでは不十分?セキュリティの「本当の課題」

ここまでお話ししてきた「工場システムにおけるサイバー・フィジカル・セキュリティ対策ガイドライン」への対応は、工場に共通して求められる「セキュリティ対策のあるべき姿」とも言えるものです。

しかし、サイバー環境は常に変化し、工場の状況も様々です。

自社だけでは専門知識の限界から、重要な弱点(脆弱性)を見落とすリスクも否定できません。

つまり、ガイドライン対応は重要な第一歩ですが、それだけで工場を守りきることは困難です。

変化する脅威に対応し、本当のセキュリティを確保するには、専門的な視点を取り入れ、継続的に体制を見直すことが欠かせません。

私たちIFTが提供する脆弱性診断は、まさにそのような、工場に潜む隠れたリスクを、セキュリティ専門家の目で徹底的に洗い出し、具体的な対策をご支援します。

こんな方は一度ご相談ください
  • 「ガイドラインを読んだけれど、難しくて自社だけで対応できるか正直不安…」
  • 「結局、うちの工場では何から手をつければ良いのか、専門家から具体的なアドバイスやサポートが欲しい」
  • 「ガイドラインに沿って対策を進めているつもりだけど、うちの工場特有の弱点や見落としがないか心配…」
  • 「取引先にも、そして何より自社の従業員にも、安心して働ける盤石なセキュリティ環境を整えたい」
  • 「スマート工場化を進めたいけれど、どんなセキュリティリスクがあって、どう備えればいいのか分からない」

もし、このような課題をお持ちでしたら、私たちIFTにご相談ください。

IFTの脆弱性診断は、「できる限りリーズナブルな価格」なので、高品質なサービスを継続的に続けられます。

ガイドライン対応に関する疑問点の解消から、お客様の工場に潜む「見えない穴」の特定、そして本当に安心できるセキュリティ体制の構築まで、専門家の知見と経験をもってサポートいたします。

まとめ:継続的な対策のために、専門家のサポートをおすすめします

ここまで、経済産業省の工場セキュリティガイドラインの重要ポイントと、その3つのステップに沿った実践方法について、具体的な進め方や注意点を交えながら解説してきました。

大切なのは、まずこのガイドラインがDX時代の工場を守るための「基本的な指針」であると理解し、その上で「現状把握とリスク評価(ステップ1)」から着実にステップを踏むことです。

この記事のまとめ
  • ガイドラインの3ステップ(現状把握、対策立案、実行・改善)の着実な実践
  • ITとOTの特性理解と経営層の関与の重要性
  • セキュリティ対策の継続的な見直し(PDCA/OODAの活用)
  • 専門家による客観的なリスク評価の有効性

しかし、ガイドラインへの対応はあくまで第一歩であり、それだけでは見落としがちな工場特有の「セキュリティの穴」が存在する可能性も否定できません。

「自社だけでは不安…」「もっと具体的なアドバイスが欲しい」と感じたら、ぜひ私たちIFTにご相談ください。

1000件以上の診断実績で培った専門知識と経験で、安心・安全な工場運営を実現するための、具体的な対策をご提案します。

まずは無料相談からお気軽にお問い合わせください。

この記事を書いた人
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みらいと

セキュリティサービス事業部 コンサルタント/プログラマーからシステム運用を経て情報セキュリティ全般の業務に従事。現在は培った情報セキュリティの経験を活かしお客様の課題に向き合った企画やマーケティングを担当。

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