
2025.04.23
投稿日:2025.01.30 最終更新日:2025.01.30
「脆弱性診断とペネトレーションテストって、一体何が違うの?」
システムのセキュリティ対策を考えるとき、こんな声をよく聞きます。
どちらもセキュリティを高めるための重要な手段ですが、その目的や実施する内容は大きく異なります。
この記事では、特に、「脆弱性診断」と「ペネトレーションテスト」の特長や違いを分かりやすく解説します。
自社システムのセキュリティ向上に向け、これらの手法をどのように活用できるのか、具体的なヒントを得られる内容となっています。
目次
脆弱性診断とは、システムやアプリケーションに潜むセキュリティ上の弱点(=脆弱性)を特定するための診断手法です。この診断には、ツール診断と手動診断の2つの方法があります。
ツール診断では、専用スキャンツールを使って効率的に脆弱性を発見します。広範囲を短期間で調査できるのが特徴です。
一方、手動診断は、専門家が実際に操作を行い、ツールでは検出しにくい設定ミスや、不正アクセスを引き起こす特定の権限設定の不備など、複雑なシステム特有のリスクを発見するのに優れています。
この診断結果を基に対策を実施することで、システムのセキュリティをより強化することが可能です。
【貴社の脆弱性をチェック】脆弱性診断とは、システムやネットワーク、Webサイト、アプリケーションなどにセキュリティの弱点がないか、被害可能性まで検証するプロセスです。脆弱性診断なら株式会社アイ・エフ・ティ(本社:東京都)にご相談ください。
ペネトレーションテスト(侵入テスト)は、サイバー攻撃者の視点から、システムやネットワークへの侵入経路を検証するテスト手法です。
専門家が攻撃をシミュレーションすることで、実際にどのような経路や方法で不正アクセスが可能かを調査します。
このテストの特徴は、脆弱性の「影響範囲」や「悪用される可能性」を具体的に把握できる点です。
テストの種類も豊富で、外部ネットワークテスト、内部ネットワークテスト、Webアプリケーションテスト、モバイルアプリケーションテスト、物理セキュリティテスト、ソーシャルエンジニアリングテストなど多岐にわたります。
そのため、ペネトレーションテストは、金融機関など、より高度なセキュリティ対策が求められる場面や、実際の攻撃を想定した防御力の検証が必要な場合に適しています。
急増する金融機関へのサイバー攻撃:その影響と対策の必要性 近年、金融業界、特に銀行を狙ったサイバー攻撃が急増しています。国際通貨基金(IMF)の報告によると、2020年のパンデミック以降、金融機関へのサイバー攻撃は倍以上に増加したとのこと。その理由は簡単です。お金があるからです。お金があるところに
続いては、脆弱性診断とぺネストレーションテストの違いを比較していきます。
以下の表で、違いを分かりやすく比較してみましょう。
項目 | 脆弱性診断 | ペネトレーションテスト |
---|---|---|
目的 | システム全体の弱点を効率的に発見する | 攻撃者視点で侵入経路や被害シナリオを検証 |
診断方法 | ツール診断または手動診断 | 専門家による手動での侵入シミュレーション |
チェック範囲 | 広範囲(システム全体をカバー) | 特定のシステムや攻撃シナリオに限定 |
コスト | 比較的低コスト(数十万円~数百万円) | 高コスト(数百万円~千万円以上) |
実施期間 | 短期間(数日~1週間程度) | 中長期(1~3週間程度) |
実施頻度 | 定期的(半年~1年ごとの実施が推奨) | 必要に応じて(大規模な変更や新システム導入時) |
適用シーン | 初期段階のリスク把握や、継続的なセキュリティチェック | 実際の攻撃を想定した高度な防御力検証 |
脆弱性診断は、コストを抑えつつ効率的に広範囲を診断できるため、初期段階のセキュリティチェックに適しています。
一方、ペネトレーションテストは、専門技術者による高度な検証が必要なためコストが高くなりますが、実際の攻撃を想定した実践的なセキュリティ対策を強化する手法として効果的と言えるでしょう。
脆弱性診断は、システム全体の弱点を把握するために有効な手法です。ただし、それだけでは実際の攻撃を完全に防ぐことは難しい場合があります。
以下では、脆弱性診断だけでは見逃されがちなリスクや、それが引き起こす被害事例について解説します。
脆弱性診断では、主にツールによる自動診断が中心となるため、広範囲のチェックを効率的に行うことができます。
しかし、脆弱性診断だけでは発見しにくい複雑なリスクや、現実的な攻撃シナリオを想定するには限界があるのです。
例えば、以下のようなリスクを見逃す可能性があります。
これらのリスクを見過ごすと、実際の攻撃シナリオで大きな被害につながる可能性があります。
そのため、ペネトレーションテストを活用して、攻撃者視点での検証を行うことが効果的なのです。
以下では、ペネトレーションテストを実施していれば被害を防げた可能性がある事例を紹介します。
2023年3月、エン・ジャパン株式会社は転職情報サイト「エン転職」に対する不正ログインにより、約25万件のWeb履歴書が流出したことを発表しました。
この事件はリスト型攻撃によるもので、ペネトレーションテストを実施していれば、早期に脆弱性を発見し、対策を取れた可能性があります。
2023年1月、チューリッヒ保険会社では、外部委託業者への不正アクセスにより、約75万件の顧客情報が流出する事件が発生しました。
この事件は委託業者がサイバー攻撃を受けたことが原因で、ペネトレーションテストを行っていれば、外部からの攻撃に対する防御力を強化できた可能性があります。
同じく2023年1月、アパレル企業の株式会社アダストリアは、自社のECサイト「ドットエスティ」に対する不正アクセスにより、約104万件の顧客情報が流出したことを発表しました。
この事件もペネトレーションテストを行うことで、システムの脆弱性を特定し、攻撃を未然に防げたかもしれません。
こうした事例を見ると、ペネトレーションテストを実施することで、単なる脆弱性の発見だけでなく、実際の攻撃を想定した具体的な対策を構築できることがわかります。
結果として、企業の情報資産を守るための最前線の防御が可能になります。
先ほどの内容だけを読むと、「ぺネストレーションテストだけやっていればいいのでは?」と思う方もいるのではないでしょうか。
実際は、脆弱性診断とペネトレーションテストですが、これを組み合わせることで、単独では得られない「相乗効果」を生み出すことができます。
具体的にどのようなメリットがあるのか確認してみましょう。
脆弱性診断ではシステム全体の「リスクの洗い出し」が可能です。
この情報があることで、ペネトレーションテストでは、特に危険度が高い脆弱性や、実際の攻撃シナリオに利用される可能性が高い箇所に的を絞った検証が行えます。
結果として、より短期間で具体的かつ実践的な防御策を導き出すことができるでしょう。
脆弱性診断は、弱点を洗い出すことに特化していますが、その影響度や攻撃に悪用される可能性については判断が難しいことがあります。
ペネトレーションテストを組み合わせることで、診断結果が「実際にどの程度の被害につながるか」を検証でき、診断結果に優先順位をつけることが可能になります。
単独の脆弱性では「軽微」と判断されるリスクが、複数の脆弱性が連鎖することで重大な攻撃を引き起こすケースがあります。
このようなリスクは、脆弱性診断だけでは見逃されることが多いですが、ペネトレーションテストを実施することで、こうした連鎖的な攻撃シナリオを明らかにすることが可能です。
脆弱性診断で定期的に弱点を洗い出し、ペネトレーションテストで本当に危険なリスクを精査する流れを構築することで、効率的なセキュリティ対策が可能になります。
この工程により、無駄な修正作業や不要な対策にかかるコストを削減し、運用効率を向上させることができるのです。
脆弱性診断とペネトレーションテストを組み合わせることで、それぞれの弱点を補いながら、攻撃者の視点と守る側の視点の両方から盤石なセキュリティを構築することが可能です。
「広く、そして深く」守る体制を作るには、この組み合わせが最も効果的と言えるでしょう。
セキュリティ対策の一環として、「脆弱性診断」と「ペネトレーションテスト」は、それぞれ異なる役割を持つ重要な手法です。
この記事では、「脆弱性診断」と「ペネトレーションテスト」の違いと特徴を解説し、これらを組み合わせることがもっとも効果的であることをお伝えしました。
セキュリティ対策の最前線で活躍するIFTのペネトレーションテストは、多くの企業に選ばれる理由があります。
セキュリティに関するお悩みは、IFTにお気軽にご相談ください。 専門家が、お客様のシステムをしっかりと守ります。
株式会社アイ・エフ・ティ(本社:東京都)のペネトレーションテストは、経験豊富なホワイトハッカーが貴社のシステムを徹底調査し、脆弱性を洗い出します。Webアプリ、ネットワーク、クラウドなどに対応。迅速な対応と詳細なレポートでセキュリティ強化を支援します。
セキュリティサービス事業部 コンサルタント/プログラマーからシステム運用を経て情報セキュリティ全般の業務に従事。現在は培った情報セキュリティの経験を活かしお客様の課題に向き合った企画やマーケティングを担当。
2025.04.23
2025.04.23
2025.02.26
2025.01.30
2025.01.30
2024.12.02