
投稿日:2025.01.30 最終更新日:2025.01.30
脆弱性診断ツールの種類と選び方 | 9つのポイントから見極め方を徹底解説

企業がサイバー攻撃から大切な情報資産を守るためには、システムに潜んでいるセキュリティ上の弱点、つまり「脆弱性」をいち早く見つけ出し、きちんと対処することがとても大切です。
その有効な手段が「脆弱性診断ツール」です。
しかし、数多く存在するツールの中から、自社に最適なものを選び出すのは、なかなか難しいことです。
「たくさんあって、どれを選べば良いのかわからない…」そんな風に感じている方も多いかもしれません。
この記事では、皆様が自社に最適な脆弱性診断ツールを見つけられるよう、選ぶ時のポイントをわかりやすく解説します。

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目次
脆弱性診断ツールとは?その役割と必要性
脆弱性診断ツールとは、パソコンやスマートフォンなどの情報システムに潜むセキュリティ上の問題点、いわゆる「脆弱性」を自動的に見つけ出し、報告してくれるソフトウェアやサービスのことです。
システムに脆弱性があると、サイバー攻撃の格好の標的となります。
攻撃者は常に新たな脆弱性を探し、それを使ってシステムに侵入したり、データを盗んだり、改ざんしたりしようと企んでいます。
そのため、脆弱性診断ツールは、このような攻撃からシステムを守るために、脆弱性を見つけ出し、対策を立てるという重要な役割を果たします。
このツールを使うと、攻撃を受ける前に脆弱性を発見し、修正することができます。
定期的に診断することで、システムをいつも安全な状態に保ち、セキュリティリスクを大幅に減らすことができるのです。
脆弱性診断ツールのメリットとデメリット
脆弱性診断ツールを使うことには多くの良い点がありますが、一方で注意しなければならない点もいくつかあります。まずは、そのメリットとデメリットをわかりやすく説明します。
脆弱性診断ツールのメリット
まず、脆弱性診断ツールの良い点について見ていきましょう。
脆弱性診断ツールを導入する最大のメリットは、セキュリティ対策を効率化し、強化できることです。
- 脆弱性を効率的に発見できる: 手作業で脆弱性を見つけるのは、時間も手間もかかり、専門的な知識も必要です。でも、ツールを使えば、診断を自動化し、素早く正確に脆弱性を見つけられます。
- 対策方法を提示してくれる: 多くのツールは、見つけた脆弱性に対して、具体的な直し方を教えてくれます。これにより、セキュリティ担当者の負担が軽くなり、素早く対応できます。
- 定期的な診断を自動化できる: セキュリティレベルを高く保つためには、定期的な診断が大切です。ツールを使えば、これを自動化できます。
- レポートで進捗管理ができる: 診断結果をレポートとして出力できるツールが多く、セキュリティ対策の進み具合を管理したり、経営層へ報告したりするのに便利です。
このように、脆弱性診断ツールは、企業のセキュリティ対策を効率的にし、強化するのに役立ちます。
脆弱性診断ツールのデメリット
次に、注意すべき点についてもお話しします。
一方で、脆弱性診断ツールは万能ではなく、導入コストや誤検知、専門知識の必要性など、注意すべき点も存在します。
- 導入には一定のコストがかかる: 特に、高機能なツールや大規模システムに対応したツールは、導入費用や維持費が高くなることがあります。
- 誤検知や過検知の可能性がある: ツールは機械的に脆弱性を見つけるため、間違って検出してしまうこともあります。そのため、結果をそのまま信じるのではなく、専門知識を持った人が最終的に判断する必要があります。
- 運用には専門知識が必要: ツールを効果的に使うためには、セキュリティに関する知識や運用スキルが必要です。
脆弱性診断ツールの3つの種類
脆弱性診断ツールには、クラウド型、オンプレミス型、ハイブリッド型の3つのタイプがあります。
以下の表では、各タイプの特徴、メリット、デメリットを比較しています。自社のニーズに合わせて、どのタイプが適しているか確認してみてください。
タイプ | 特徴 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
クラウド型 | インターネット経由で利用する診断サービス | ・初期費用が低い・導入が簡単で短期間で利用可能・運用負担が少ない・常に最新の脆弱性情報を反映 | ・インターネット接続が必須・データが外部サーバーに保存されるため、セキュリティポリシーに影響する可能性あり |
オンプレミス型 | 自社内にツールを導入して運用する | ・データを自社で完全管理できる・高いカスタマイズ性がある | ・初期費用が高額・運用・管理に専門知識が必要 |
ハイブリッド型 | クラウド型とオンプレミス型の利点を組み合わせた診断 | ・クラウドの利便性とオンプレミスのセキュリティを両立・柔軟性が高い | ・導入・運用コストが高めになる場合がある・クラウドとオンプレミス両方を管理する体制が必要 |
例えば、初期コストを抑えつつ簡単に導入したい場合はクラウド型を選ぶのが適しています。
一方で、データ管理を重視する場合はオンプレミス型が理想的です。
また、利便性とセキュリティの両方を考慮したい場合は、ハイブリッド型がおすすめです。
自社に最適な脆弱性診断ツールを選ぶ9つのポイント
ここでは、自社の状況やニーズにぴったりの脆弱性診断ツールを選ぶための、9つの大切なポイントをわかりやすく解説します。
- 診断範囲
- 精度
- 実績
- 使いやすさ
- サポート体制
- 拡張性
- 費用
- 連携性
- ツール導入か、業者依頼か
具体的なツールを知りたい方は、以下をご覧ください。

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1. 診断要件:何を守りたいのか?何を診断したいのか?
まず初めに、診断対象や必要な機能を明確にすることが重要です。ここでは、診断要件に関わる3つのポイントを解説します。
①診断範囲:どこまで守る?診断対象を明確に
自社にぴったりの脆弱性診断ツールを選ぶためには、まず「どこを守りたいのか」「何を診断したいのか」をはっきりさせて、必要な診断範囲を決めることが大切です。
守るべき対象、つまり診断範囲は、主に「Webアプリケーション」「ネットワーク」「プラットフォーム」の3つに分けられます。
- Webアプリケーションの診断: 皆さんが普段インターネットで利用するウェブサイトやウェブサービスに潜む脆弱性を診断します。
- ネットワークの診断: ファイアウォールやルーターなどのネットワーク機器、サーバーなど、ネットワーク全体に関わる脆弱性を診断します。
- プラットフォームの診断: パソコンやサーバーのOS、ミドルウェアなどに潜む脆弱性を診断します。
これらの診断対象について、さらに詳しく知りたい方は、別記事「【かんたん解説】アプリ診断とプラットフォーム診断、最適なのはどっち?」で解説していますので、ぜひご覧ください。

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②精度:診断項目の網羅性と検出精度
診断項目がどれだけ網羅されているか、脆弱性の検出精度はどれだけ高いかに注意し、自社のシステムに必要なレベルの診断が可能かを確認しましょう。
診断項目の網羅性とは、ツールがどれだけ多くの種類の脆弱性をカバーしているかということです。
検出精度とは、ツールが脆弱性をどれだけ正確に検出できるかということです。
③実績:同業種での導入実績を確認
同業他社での導入実績は、ツール選定時の参考になります。
同業他社で豊富な実績があるツールは、その業界特有のセキュリティ要件や課題に対応している可能性が高いです。
導入実績は、ツールのウェブサイトや資料で確認できるほか、ベンダーに問い合わせてみましょう。
2. 運用要件:誰がどのように使うのか?
④運用:担当者のスキルとツールの使いやすさ
担当者のスキルレベルとツールの使いやすさを考慮しましょう。
セキュリティの専門知識が豊富な担当者がいる場合は、多機能でカスタマイズ性の高いツールが適しています。
一方、専門知識が限られている場合は、操作が簡単で、サポートが充実しているツールが適しています。
担当者が無理なく使えるツールを選ぶことで、効果的な運用につながります。
⑤サポート体制:導入後も安心できるサポートの重要性
ベンダーのサポート体制は、特に導入初期やトラブル発生時に重要です。
確認ポイントは、24時間対応の有無、対応言語、平均応答時間などです。
また、ユーザーコミュニティの活発さも、問題解決の助けになります。多くの有料ツールは公式サポートが付いているため、安心して利用できます。
⑥拡張性:業務規模や将来的な変化に対応可能か
現在の業務規模だけでなく、将来的な拡張性も考慮してツールを選びましょう。
企業の成長やビジネス環境の変化に伴い、診断対象のシステムが拡大したり、新たなシステムが追加されたりする可能性があります。
その際に、柔軟に対応できるツールを選ぶことが大切です。
3. その他の要件:予算は?連携は?専門性は?
⑦費用:予算は?初期費用とランニングコストで考える
初期費用だけでなく、ランニングコストとの両方を考慮すること重要です。
オンプレミス型は初期費用が高額になりがちですが、クラウド型は初期費用を抑えられる場合が多いです。
ただし、クラウド型は月額または年額の利用料が発生します。ランニングコストには、利用料の他に、保守費用や担当者の人件費も含まれます。
必要な機能を明確にし、複数のツールの見積もりを比較することで、費用対効果の高いツールを選定しましょう。
⑧連携性:他のセキュリティツールとのスムーズな連携
脆弱性診断ツールは、他のセキュリティツールと連携させることで、より効果的なセキュリティ対策を実現できます。
そのため、既に導入しているセキュリティツールと連携できるかどうかも重要な選定ポイントです。
ツール間の連携が可能であれば、診断結果をリアルタイムに活用しやすく、セキュリティ対策を強化できます。
⑨専門性:ツール導入か、業者依頼か、適切な診断方法の判断
脆弱性診断を実施する際には、ツールを導入して自社で診断を行う方法と、専門の業者に診断を依頼する方法があります。
どちらの方法が適しているかは、企業の状況やセキュリティ要件によって異なります。
社内での対応が難しい場合や、特に高いレベルのセキュリティが求められる業界の場合は、専門の業者に依頼することも検討しましょう。
脆弱性診断ツール選びで後悔しないための注意点
脆弱性診断ツールを選ぶ際には、導入後に後悔しないよう、いくつかの注意点を押さえておく必要があります。
無料の脆弱性診断ツールは導入コストを抑えられますが、いくつかの注意点と限界があります。
自社のニーズに合ったツールを選ぶ
脆弱性診断ツールには、ネットワーク診断、Webアプリケーション診断、クラウド環境診断など、得意とする診断範囲に違いがあります。
そのため、自社のシステム構成やセキュリティ要件に合致したツールを選ぶことが重要です。
例えば、Webアプリケーションのセキュリティを強化したい場合は、Webアプリケーション診断に特化したツールを選びましょう。
無料版と有料版の違いを理解する
無料版と有料版の大きな違いは、機能とサポート体制です。無料版は、診断項目や利用回数が限定されていることが多く、詳細な診断には不向きな場合があります。
一方、有料版は、より多くの診断項目に対応し、サポートやアップデートも充実していることが一般的です。
自社のセキュリティ要件と予算に合わせて、適切なプランを選びましょう。
ツールの更新頻度を確認する
サイバー攻撃の手法は日々進化するため、脆弱性診断ツールが最新の脆弱性情報に対応しているかどうかの確認が重要です。
更新頻度が高いツールを選ぶことで、新たな脅威にも迅速に対応できます。
ツールの公式サイトやベンダーへの問い合わせで、更新頻度を確認しましょう。
ツール診断にも限界はある
脆弱性診断ツールはあくまでも診断を支援するツールであり、全てを任せきりにするのは危険です。
自動化ツールでは検出が難しい、複雑な脆弱性も存在します。
そのため、必要に応じて手動診断やペネトレーションテストを併用し、多角的にセキュリティ対策を講じることが重要です。
ツールはあくまでも補助的なものと捉え、過信は禁物です。
まとめ:ツール診断と手動診断の組み合わせで、より網羅的なセキュリティ対策を
脆弱性診断ツールを選ぶ際は、診断範囲、費用、サポート体制など、9つのポイントを考慮することが大切です。
しかし、ツールはあくまでも診断を支援するものであり、全てを任せきりにするのは危険です。
特に、無料版は機能が限定的で、詳細な診断には不向きな場合もあります。
また、ツールが最新の脅威に対応しているか、更新頻度の確認も重要です。そして、ツールでは検出できない複雑な脆弱性も存在することを忘れてはいけません。
弊社の手動診断では、経験豊富なセキュリティエンジニアが、ツールでは見落としがちな脆弱性も丁寧に検査します。
ツール診断と手動診断を組み合わせることで、より網羅的かつ効果的なセキュリティ対策が可能です。
まずは無料相談で、お客様のシステムの状況や、セキュリティに関するお悩みをお聞かせください。
最適な診断プランをご提案いたします。

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この記事を書いた人

みらいと
セキュリティサービス事業部 コンサルタント/プログラマーからシステム運用を経て情報セキュリティ全般の業務に従事。現在は培った情報セキュリティの経験を活かしお客様の課題に向き合った企画やマーケティングを担当。