AWS脆弱性診断の流れ?システムは止まる?担当者が最初に知っておくべきことを解説!
「会社からAWS脆弱性診断をやるよう言われた。でも、そもそも何をする作業なのか…、調査中にシステムが止まったりしないのか、何を見られるのか…。」
そういった疑問を抱えたまま担当者になった方も多いはずです。
脆弱性診断という言葉自体は聞いたことがあっても、実際に何が起きるのかが分からないまま進めると、準備が後手に回ったり、社内の関係部署に誤解が生じたりします。
この記事では、AWS脆弱性診断が「何をする作業なのか」を最初に整理し、実施の流れ・AWSへの影響・かかる期間まで順番に説明します!
- AWS脆弱性診断で「何を調べられるのか」
- 診断中にAWSは止まるのか、止まる可能性があるのはどんなケースか
- 依頼から完了まで、どのくらい期間がかかるのか
- 自社でできる部分と、専門家が必要な部分の切り分け方
- 専門会社を選ぶときの3つの確認ポイント
みらいと
セキュリティサービス事業部 コンサルタント/プログラマーからシステム運用を経て情報セキュリティ全般の業務に従事。現在は培った情報セキュリティの経験を活かしお客様の課題に向き合った企画やマーケティングを担当。
目次
AWS脆弱性診断とは「設定に穴がないかを確認する検査」!

まず言葉を整理しておきましょう!
「脆弱性」とは、不正アクセスや情報漏洩につながる可能性がある「設定の穴」や「システムの欠陥」のことです。AWS脆弱性診断とは、AWSを使って動いているシステムや設定に、そういった穴がないかを調べる作業です。
AWSを使っている会社の多くは、「Amazonが管理しているから安全だろう」と感じています。確かに、データセンターや物理的なサーバーはAmazonが管理しています。ただ、S3(ファイル置き場)・IAM(アクセス権限)・Security Group(通信の出入口)といった「設定」は、ユーザー自身が行うものです。
この設定に問題があっても、Amazonは何もしてくれません。気づかないまま放置すると、外部からファイルが見える状態になったり、不要なアクセスが通り続けたりします。
脆弱性診断は、そういった「設定の穴」を外部の目で探して報告する作業です。
脆弱性診断では、何を確認してくれるの?
担当者が最初に気になるのが、「一体何を調べられるのか」という点でしょう。
AWS環境で行われる診断には、大きく3種類あります。依頼先によってどの診断を実施するかが変わるので、最初に把握しておきましょう。
|
診断の種類 |
何を調べるか |
主な対象 |
|---|---|---|
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Webアプリ診断 |
ログイン・フォーム・決済など、ユーザーが操作する部分への不正アクセスの可能性 |
Webサイト・会員システム・社内ポータル |
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プラットフォーム診断 |
サーバー(EC2)・ネットワークの設定不備(古いソフトウェア・不要なポートなど) |
EC2インスタンス・ネットワーク機器 |
|
AWS設定診断 |
AWS固有の設定の穴(S3・IAM・Security Groupなど) |
AWSアカウント全体の設定項目 |
「ファイルの中身を全部読まれるのか?」と心配される方もいますが、設定診断の目的は「設定が正しいかどうかの確認」です。S3であれば「誰でも中身を見られる状態になっていないか」という設定の可否を確認するものであり、ファイルの内容を読み込んで持ち出すことではありません。
専門会社との打ち合わせで「どこを対象にするか」「何を確認するか」を合意したうえで進めるのが通常の流れです。
診断中は「AWS」を利用できないの?
「診断の間、AWSが使えなくなるのか」は、担当者にとって気になる点の一つですよね。結論から言うと、通常の設定診断であれば、AWSは“止まりません”。
設定診断は、AWSの管理画面やAPIを通じて「設定情報を読む」作業が中心です。本番環境で動いているサービスを止めたり、データを書き換えたりすることは原則ありません。
ただし、診断の種類によって注意が必要なケースがあります。
- 設定診断:サービスは止まらない。設定情報の読み取りが中心なので、本番への影響は原則なし
- Webアプリ診断(本番環境で実施する場合):診断ツールが実際にシステムへアクセスするため、一時的に応答が遅くなる可能性あり。深夜・早朝の実施や、別途テスト環境での実施を推奨。
- ペネトレーションテスト(攻撃者の視点で侵入を試みる診断):本番環境への影響が出る可能性があるため、実施範囲・タイミングは専門会社と必ず事前に確認すること。
もう一点、社内の監視ツールへの影響も事前に関係者へ共有しておきましょう!
診断中は専門会社が意図的にシステムへアクセスするため、社内の監視ツールが「不審なアクセス」として検知することがあります。IT担当者や開発チームに事前に伝えておかないと、「攻撃を受けている」と誤解して診断を中断させてしまうケースがあります。
AWSの脆弱性診断はどのくらいの期間がかかる?
結論からお伝えすると、依頼から報告書の受領まで、通常2週間〜1.5ヶ月かかります。
内訳としては以下のようなイメージで進みます。
|
フェーズ |
内容 |
目安期間 |
|---|---|---|
|
事前準備 |
診断範囲の合意、AWSアカウント情報の共有、日程調整 |
1〜2週間 |
|
診断実施 |
専門会社による設定確認・テスト |
数日〜2週間 |
|
報告書作成・報告会 |
診断結果の整理と担当者への説明 |
1〜2週間 |
|
修正・再診断 |
指摘箇所の修正と、正しく直っているかの確認 |
別途 |
リリース前や、取引先への提出期限がある場合は、逆算して2ヶ月前には動き始めるのが安全です。
「診断だけなら1週間くらいで終わるのでは」と思う方もいますが、事前の打ち合わせと報告書の作成にかかる時間を合わせると、全体では想定より長くなるケースが多いですね!
診断の全体の流れは「3段階」!

ステップ1:診断範囲を決める!
どこを調べるかを最初に決めておくことで、余分な費用を抑えながら、重要な箇所を確実に診断できます。打ち合わせの前に整理しておくと話がスムーズになる3点です。
- 個人情報・決済情報を扱っている機能はどこか(最優先で診断対象に入れる)
- インターネットから直接アクセスできる機能はどこか(攻撃者が直接触れる部分)
- Webアプリ診断・AWS設定診断のどちらが必要か、または両方か
「とりあえず全部」で依頼すると費用が膨らみやすいため、この3点で洗い出した箇所から優先しましょう!
なお、診断の種類によってはAWSの利用規約で実施できないテストがあります。知らずに進めると規約違反になる可能性があるため、専門会社と事前に確認しておきましょう。
ステップ2:診断実施の準備を行う!
診断の実作業は専門会社が担当します。この期間に担当者がやることは主に2つです。
専門会社との進め方の確認
本番環境を対象にする場合は、作業の内容・実施タイミング・緊急時の連絡先をあらかじめ確認しておきます。
サービスへの影響が懸念される場合は、深夜や週末の実施を相談しましょう!
社内関係者への事前共有
前述の通り、監視ツールが誤検知するケースに備えて、IT担当者・開発チームには診断の実施日時を事前に知らせておきますしょう。
ステップ3:報告書を受け取ったら修正・再診断まで完了させる!
報告書を受け取ったら、指摘された箇所を修正し、再診断で「本当に直っているか」を確認して初めて完了です。
修正の優先順位を決めるとき、報告書に付いている危険度の数値(CVSSスコア)だけで判断すると間違えやすいです。同じスコアでも、インターネットに公開されているシステムと社内限定のシステムでは実際のリスクが大きく違います。「外からアクセスできるか」「止まったら業務に影響が出るか」を一緒に見ることが大切。
再診断を省いてしまうと「直したつもり」の状態でリスクが残ります。報告書を受け取って終わりにしないよう、修正と再診断までセットで計画に入れておきましょう。
また、定期診断のタイミングをあらかじめ社内ルールにしておくことも大切です。「年1回・サービスのリリース前・AWSの設定を大きく変えたとき」を目安にすると、後回しを防げますね!
自社でできることと、専門家に任せるべきこと
ここまでお読みいただいて、「まず自分たちでできることはないか」という担当者もいるでしょうか?
ここからは自社でできることと、専門家に任せるべき点について解説します!
自社でできる:AWSの監視ツールをオンにする!
AWSには、設定の問題を自動で検出してくれるツールが標準で用意されています。
- Amazon Inspector:EC2サーバー・コンテナ・Lambda関数のソフトウェアの欠陥を自動で継続スキャンする
- AWS Security Hub:「S3バケットが公開になっていないか」「MFA(多要素認証)が無効なユーザーがいないか」といった設定不備を自動チェックする
- Amazon GuardDuty:不審な通信やアクセスを24時間検知してアラートを出す
この3つのツールをオンにするだけで、日常的な「見張り」としては機能します。費用も比較的低く、今すぐ始められます。
ただし、これらのツールには届かない問題もあります。
- ある操作をすると、別のユーザーのデータが見えてしまう
- 設定AとBは単体では問題ないのに、組み合わさったときだけ危ない
- 大量の指摘のうち、どれを優先して直すべきか
こうした問題は、攻撃者の立場で実際に操作してみないと分かりません。Inspector・Security Hubなどの自動チェックはここまで届きません。ツールに任せられる「毎日の見張り」と、専門家が担う「見張りでは分からない穴を確認する作業」は、役割が違うわけですね。
専門家が必要な3つのケース
では、どのタイミングで専門家に依頼すればよいのか。次の3つのいずれかに当てはまれば、依頼を検討する段階にあります。
ケース1:初めてAWS環境を診断する場合
「どこを確認すればいいか分からない」「問題があるかどうかを自分では判断できない」という状態で自己チェックをしても、見落としが出ますよね。
最初の1回は専門家に全体を診てもらい、自社環境のリスクの全体像を把握することをおすすめします。その結果が基準になり、その後の継続管理に活かせますので、初めての場合はまずは専門家と相談しながら進めることを推奨しています。
ケース2:ツールで「問題なし」でも安心できない場合
実はツールが検出できるのは「既知の問題パターン」です。
複数の設定が重なって初めて問題になるケースや、アプリ固有の処理に潜む不備は、ツールには映りません。定期的に専門家による診断を組み合わせることで、ツールが見落とす穴を確認できます。
ケース3:診断の証明書・報告書の提出が求められている
取引先・業界団体・官公庁から「脆弱性診断の証明書を提出してほしい」と求められるケースが増えています。
第三者の専門家による診断でないと、証明として認められません。クレジットカード情報を扱う場合のPCI DSS対応やISMSの取得など、診断が実質的に義務になっているケースもあります。対応が必要かどうか不明な場合は、まず専門会社に確認してみてください。
まとめ:AWS脆弱性診断はまず設定の棚卸しから始めよう
AWS脆弱性診断について、担当者が最初に知っておくべき内容をまとめます。
この記事で確認した内容をまとめます。
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診断とは何か:AWSの設定に「穴」がないかを外部の目で確認する作業
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何を調べられるか:S3・IAM・Security Groupなどの設定の可否。ファイルの中身を持ち出すものではない
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AWSは止まるか:設定診断は原則止まらない。Webアプリ診断を本番環境で実施する場合は事前に確認が必要
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かかる期間:依頼から報告書受領まで2週間〜1.5ヶ月。提出期限がある場合は逆算して早めに動く
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流れ:診断範囲の整理→専門会社との連携・実施→報告書受領後の修正・再診断
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専門家が必要なケース:初回診断・ツールが届かない問題・証明書の提出が必要な場合
本記事でも紹介したように、特にAWSの脆弱性診断がはじめての場合、まずは「専門家への依頼」を推奨しています。
当社IFTの脆弱性診断では、このようなシステムの抜け穴を確認するのはもちろん、ホワイトハッカーが実際に起きた被害事例をもとにハッキングテスト(実際に攻撃)を行う『ペネトレーションテスト』も実施可能です。
またテスト後の報告はもちろん、「どこを/どう直せばいいか?」というレポートもお出ししておりますので、システム担当者にレポートを共有するだけでOK。
“もしも”への備えとして、定期的な確認を推奨しています。セキュリティに関するどんな些細な質問でも構いませんので、ぜひ一度ご相談くださいませ。